HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/卜部和久) 2026スーパーGT第1戦岡山 4月11〜12日に岡山国際サーキットで開催された2026年スーパーGT開幕戦。GT300クラスで2番手スタートから2位表彰台を獲得したのが2号車HYPER WATER INGING GR86 GT(堤優威/卜部和久)だ。
Bドライバーに若手の卜部を迎え、新たな布陣で臨んだ開幕戦で好発進を決めた。ちょうど一年前の開幕戦では予選Q1敗退の苦戦模様となっていたHYPER WATER GR86だが、今季は一転して好成績を収めたかたちだ。決勝後、セカンドスティントを担当した堤にレースの内容を聞いた。
■シーズンオフに見出した新たな走らせ方
練習走行トップで週末を戦い始めたHYPER WATER GR86は、予選でも2番手につけ、決勝でもトップを追い続けた。しかし堤は、走りながらどうしても埋まらない差を感じていたという。
「僕らなりに、セカンドスティントは自己ベストを更新するくらいかなり頑張りました。それでも、GT300は車種も違えばタイヤのコンペティションもあるなかで、今回は予選から『埋まらない差があるな』というのは痛感していました」
「正直、決勝では相手のタイヤが垂れてくれるかな? という願いもありながらの走行だったのですが、しっかりとペースを保っていましたね」
そう悔しさを滲ませつつも、堤は粘りの走りで食らいついた結果、卜部が第1スティントで抑え切ったapr LC500h GT(小高一斗/小山美姫)との差を広げて2位表彰台を手にした。
「トップに負けはしましたが、チーム力やクルマのセットアップの出来、ブリヂストンタイヤさんをはじめ各サプライヤーさんが尽力してくれたなかで、できる限りのことはやれたと思います。今年からチームメイトも(卜部に)変わりましたし、そのなかでは良い滑り出しになったと思います」
昨年はレギュレーション変更でフロントタイヤの幅が330mmから300mm、直径が710mmから680mmとなることで1インチほど小さくなり、接地面積が減っていた。HYPER WATER GR86はその対応を強いられたことで苦戦してしまったが、今季は開幕戦から上位争いに食い込んでみせた。そのきっかけのヒントは、セットアップの方向性にあるという。
「昨年は本当に苦しいシーズンでした。(レギュレーションが変わって)フロントタイヤが小径になり、セットアップがすごく難しくなっていたんです」
「フロントタイヤが大きかった時は、フロントに頼って走るセットがうまく機能していました。ただ、タイヤが小径になってからはそれができなくなりました」
「ですので、今までフロントに頼っていた部分の負担を減らして、リヤ寄りにだいぶ持ってくることができたといいますか、イメージとしては真逆じゃないですけど、それくらいセットアップの方向性が変わりました」
シーズン中は走行時間が限られることから、セットの方向性を大きく転換する決断は取りづらくなる。ようやく迎えたオフのテストで「リヤをもっと使う方向に振ってみた」結果、苦しんだ小径タイヤへの最適解が見えてきたと堤は振り返った。
「もちろん2位で満足はしていませんが、いろいろなデータが取れました。まだ課題もあるので、これからしっかりミーティングをして次戦に向けていい準備ができたらと思います」
2025年のフロントタイヤ小径化は、GTA-GT300勢に少なからず影響を与えたが、HYPER WATER GR86は大幅な車両変更ではなく、セットアップの方向転換によって新たな戦い方を見出し、開幕戦で2位表彰台を掴んだ。次戦の舞台は、岡山とは特性が大きく異なる富士スピードウェイ。長いストレートと高速コーナーが特徴的なレイアウトで、今回の手応えがどこまで通用するのか。HYPER WATER GR86の進化の価値が試されることになりそうだ。
[オートスポーツweb 2026年04月16日]