
(左から)吉崎敏文さん、笹川友里
吉崎敏文さんは外資系IT企業を経て、2019年にNECに入社し、生体認証・AI・クラウドなどのデジタル事業および変革を推進。2021年からは、プラットフォームと先端SI技術のビジネス化を主導し、戦略コンサルティング機能の新設やDXオファリングの体系化・標準化を通じて、事業モデルの高度化を実行。その後、2023年にCDO(Chief Digital Officer)、2024年に執行役副社長に就任し、全社のDX事業を「BluStellar(ブルーステラ)」として統合したビジネスモデルの変革を実施。2026年にはCOO(Chief Operating Officer)に就任し、全社の製品開発、サービス、研究、事業開発を統括しています。
◆赤字を乗り越え、新たな成長へ
NECは、日本初の外資系合弁企業としてスタートし、創業から120年以上の歴史を持つ大企業です。現在ではグローバルに事業を展開しており、従業員数は世界に10万人以上、売上規模は約3.4兆円にのぼります。
事業領域は幅広く、世界の通信の90%以上を支えるといわれる光海底ケーブルを水深約8,000mに敷設する技術や、半世紀以上にわたって、約80基の人工衛星を開発・製造するなど、通信インフラから宇宙開発まで多岐に渡ります。
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その中核にあったのが、人事や組織の変革です。吉崎さんは「“カルチャーから変革してきた”ということが、NECの最大の特徴だと私は思っています。カルチャーって、なかなか難しいですからね。地道なコミュニケーションであったり、変革の同志を地道に育てていき、そういった人材が現場から変えていく。なので、ある意味、一番難しいところから始めたから、入社して7年目になるんですけど、ものすごくやりやすいです」と話します。
◆DX推進の要となる3つの要素
NECは近年、AIや生体認証、クラウド、セキュリティといった分野にも注力しています。なかでも、DX事業を成長エンジンとして位置づけており、2024年には、2019年から進めてきたDXの集大成として「BluStellar」というブランド名を展開。「BluStellar」について、吉崎さんは「簡単にいうと、売り方、売り物、売り手のケイパビリティ(組織全体の能力)を変えていくもの」と説明します。その考え方をグループ全体に浸透させるため、同じフレームワークを繰り返し続けることで、社員一人ひとりに根付かせてきたと言います。
また「BluStellar」を単なるブランドではなく、顧客の経営課題の解決に向けたデジタル変革を実現する価値創造モデルとして定義しています。「そのために、NEC自身のDXの実践値、それを我々は『クライアントゼロ』と呼んでいるんですけど、お客さまを想定する前に、我々自身が成功パターンも失敗パターンも知見を高めて、そのうえで『BluStellar』という体系化したものでサービスとしてお客さまに体系化していく。そのなかに、AIやセキュリティの先端技術も入れているので、お客さまにとっては、非常に価値の高いサービスを早く受けられるというメリットがあります」と力を込めます。
DX推進の軸となるのは、「ビジネスモデル」「テクノロジー」「組織・人材」の3要素です。ビジネスモデルは、顧客の経営課題を起点に新たな価値や収益機会を創出し、それをAIやセキュリティといったテクノロジーが支えます。そして、最も重要なのが、それらを実行する組織・人材です。吉崎さんは「継続的に3つの軸でアップデートしていくことで、真のDXを実現できると思っています」と強調します。
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◆「変化が普通」のカルチャーへ
NECの成長を支える柱の1つが、人材の確保と育成です。吉崎さんは入社した2019年の段階で、当時はまだ一般的でなかったクラウドエンジニアやデータサイエンティストといった職種を想定し、将来を見据えてDXを担う人材を定義しました。
また、人材育成の特徴は段階的な教育設計です。まずは、DXに関する基礎的な理解を養うリテラシー教育をおこない、製品やサービスに関する専門教育、そして、顧客へのコンサルティングに対応できる実践的なコースの3層構造を構築しました。これらは当初、社内向けに整備されたものですが、現在では「BluStellar Academy for DX」として外部にも提供しており、開始からわずか3年で約540社が導入しているなど、高い評価を得ています。
しかしながら、日本企業全体を見渡すと、DXが思うように進まないケースも少なくありません。その原因について吉崎さんは“2つの壁”を挙げます。1つは本質的な課題設定です。「“いったい何のためにやるのか”という目的を常にセットしてあげないと、なかなか動けないと思います」と解説します。
もう1つが現状維持バイアスです。変革の必要性には理解を示しながらも、日々の業務に追われるなかで「今のままでいい」と考えてしまう心理が働きがちです。こうした壁を乗り越えるために、「どうやってみんなでブレイクスルーしていくか、というとこだと思います。なので『変化をすることが普通なんだ』というカルチャーにしていくことが一番大事なんですよ」と話していました。
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/
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