
日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。ビーバーがあふれて止まらない!着ぐるみ大スペクタクル!
『FEVER ビーバー!』
評点:★2点(5点満点)
最も根源的な活劇部分が一番面白い
© 2022 SABLJAK RAVENWOOD HOGERTON
着ぐるみのビーバーの大群が襲い来る、一風変わったインディペンデント映画として、海外版DVDがリリースされた折から話題になっていた作品だ。
ビーバーだけでなく、ウサギ、オオカミ、馬なども可愛い着ぐるみで登場、それが殴ったり転がったり走ったり、カートゥーン的な視覚効果でバタバタ死んだりする様子にはニコニコさせられてしまう。
それは人間も同様で、さまざまな映像的な趣向を凝らした映画ではあるものの、一番笑えるのは人間が実際に転んだりひっぱたかれたりするところだ、という点には一考の余地がある。
本作は白黒でほとんど台詞もないため、つい「サイレントの白黒映画」という歴史的文脈と関連づけてしまいそうになるが、実際に本作が多くを負っているのは『スーパーマリオブラザーズ』のようなレトロ・ゲームやインターネット・ミームとして流通するGIF動画であり、あるいはやはりミームとして消費されるショート動画である。
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ポスト・モダンですらないエンドレスなミーム消費との関連で本作は語られるべきだが、にも関わらず、人間が実際に転んだりするところが一番面白いのは、そこに活劇としての映画の本質があるからではないだろうか?
STORY:りんご酒売りだった男は、失業を機にハンターとなる。毛皮引換所の娘と運命の出会いを果たした男は、彼女との交際を父親に認めてもらうため、何百匹ものビーバーの毛皮をとることに。やがて冬の森は壮大な決戦場へと変わっていく
全国公開中
