白黒パンダGR86を「偶然」集結した漫画キャラと同名の4人が駆る。精密板金加工会社が挑む最速伝説【S耐マシンフォーカス】

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2026年04月30日 18:40  AUTOSPORT web

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2026スーパー耐久第2戦鈴鹿 K・M・S・D GR86(今井慎吾/大原佳祐/久米田昴/梅原拓臣)
 ENEOSスーパー耐久シリーズ2026 Empowered by BRIDGESTONEのST-4クラスに今季から参戦を開始した木附製作所モータースポーツ事業部。トヨタAE86を彷彿させる白黒“パンダカラー”が施された86号車『K・M・S・D GR86』について、チーム代表兼ドライバーの梅原拓臣氏にマシン製作やカラーリングデザインの経緯などを聞いた。


■ 「作れるものは自社で作る」本業の技術を注ぎ込んだマシン製作

 チームの母体となる『木附製作所』は神奈川県綾瀬市に本社と工場を構え、半導体製造装置や紙幣読取装置、郵便物自動仕分け装置、医療機器といった精密板金加工品製作を手掛ける会社。代表取締役社長は梅原洋一氏が務め、息子の拓臣がモータースポーツ事業部のチーム代表兼監督、そしてドライバー業務も行っている。

「全然、とうふ店じゃないんですけどね(笑)」と言うのは梅原拓臣。スーパー耐久では昨シーズンまで60号車Zenyaku GR86をドライブしていたが、父であり木附製作所代表である洋一氏の『自社チームが欲しい』という意思を受け、今季から木附製作所モータースポーツ事業部としてスーパー耐久に参戦を開始した。

 参戦マシンである86号車『K・M・S・D GR86』は、木附製作所が精密板金加工を手掛ける会社ということで、燃料タンク一式や給油口の台座、車内センターコンソールのパネル、隔壁などは「自社製作」の金属やアルミパーツが使用されている。

「ボディ自体はしっかりとメーカーさんに外注で組んでもらいましたけど、自社で製作できるものは自分たちで作っています。レース用部品の経験はなかったのですが、もともとクルマの部品を作らせていただく機会はあったので、そういったことを含めて『会社の事業としてできないか』という考えもありました。また、僕は整備士でもあるので、細かい部品の取り付けや調整などはレース前に自分たちで行っています」


■パンダカラーは予算不足から生まれた? ドライバーラインアップも偶然の連続

 木附製作所の技術が光るK・M・S・D GR86だが、サーキットで注目されているのが、白黒“パンダカラー”のマシンカラーリング。かつてのAE86を彷彿とさせるデザインの誕生秘話は意外にも現実的なものだった。

「すごくお恥ずかしい話なのですが、レースの予算をカラーリングに充てきれなかったので、一番安く済んで、かつ目立ち、塗料代も高くないデザインは何かと考えた結果です。フェンダーを黒くしてAE86っぽさを出したり、ライン分けなどのデザインを自分で考えてみたら『わりと良いんじゃないか』ということで、このカラーリングになりました」

 ちなみにAE86モチーフの白黒パンダカラーを使用するにあたり、念のためトヨタ自動車に確認をしたところ『カラーリング自体に特許があるわけではないので全然大丈夫です』と快く返事をもらったそう。また、最終的にこのデザイン使用を決定づけたのが、自身の名前だった。

「自分の名前が拓臣ということもあって『話題性が生まれるのでは?』と(笑)。かけられるお金も限界がありますし、クルマは製作したので、白黒カラーですが注目度があり、ファンの皆さんに認識していただけるようなマシンになれば良いなという思いもありましたしね」

 また、K・M・S・D GR86の驚きはカラーリングだけではない。話を聞いた梅原拓臣(たくみ)を筆頭に、今井慎吾(しんご)、大原佳祐(けいすけ)という白黒パンダカラー86を一躍有名にしたしげの秀一さん原作の大人気作品『頭文字D』に登場するキャラクターと同名のドライバーが揃っている。さらに、チームにはもうひとり久米田昴(すばる)がドライバーとして名を連ねており、こちらもしげのさんが現在連載中で頭文字Dの続編にあたる『昴と彗星』の主人公、佐藤昴と同名になる。

 ドライバー4名とも、しげのさんのクルマ漫画に登場するキャラクターと同じ名前になることを狙ったのかと思いきや、梅原によると「まったく狙っていません! 本当に偶然なんですよ(笑)」と猛否定。念のため他のドライバーにも聞いてみたが、本当にたまたま4名が集まった結果、作品に登場するキャラクターと同じ名前のドライバーラインアップになったとのことだ。カーナンバーの86番も偶然空いていたため、その番号を取得して参戦するに至ったという。


■2戦連続完走も、最速伝説はまだ序章

 幾多の偶然が集まったK・M・S・D GR86だが、実際は参戦初年度の駆け出しチーム。代表も務める梅原は「予算のない中でも頑張ってるチームだと思っていますが、ほぼ自社資金でレースに参戦しているので、スポンサーさんも募集中です」と言う。

 初陣となった第1戦もてぎでは「僕自身、Aドライバーやスタートドライバーを担当することは初めてでしたが、ドライバー陣のレベルが非常に高く安定していました。S耐経験者が揃っていたこともあり、予想よりもかなり良い戦いをすることができました」と、ST-4クラス7位フィニッシュ。第2戦鈴鹿では木曜日の特別スポーツ走行でエンジンブローに見舞われてしまったものの、載せ替えを経て予選7番手、決勝7位と2戦連続完走を果たした。

「最速伝説を目指しますよ」と笑顔をみせた梅原が率いる木附製作所モータースポーツ事業部。K・M・S・D GR86がスーパー耐久の舞台で刻む新たな物語は、まだ始まったばかりだ。

[オートスポーツweb 2026年04月30日]

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