
盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎さん
『R-1ぐらんぷり』第16代王者にして、盲目のピン芸人・濱田祐太郎のコラムが週刊プレイボーイで好評連載中! その名も「盲目のお笑い芸人・濱田祐太郎の『死角からの一撃』」。
第22回は、テレビ収録の現場でのサポートについて。
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僕がテレビ番組に出演するとき、スタッフの皆さんは目の見えない僕のためにいろいろな工夫やサポートをしてくれます。これが本当にありがたい。今回は、これまでの収録現場でどんなサポートをしてもらってきたかを話しますね。
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まず、芸人にとっては定番のトーク番組。芸人がトーク番組に出てしゃべるのは、いわば基本の仕事で、すし職人が炊いた米に酢を混ぜるのと同じようなものです。
炊いた米に酢を混ぜて握る。だから「お酢し」って名前がついたんですよね。......あれ? 違いましたっけ。もしかしたら今、「目が見えないのに漢字でボケてきたぞ」と驚いた人もいるかもしれませんが、それはそれとして。
トーク番組のときは、事前にスタッフの人に大まかな位置関係を説明してもらいます。見えないと、誰がどこにいて何がどこにあるのかわからないので、大まかでも把握しておくのは僕にとってとても重要なんです。
例えば、「濱田さんの右前にMCの人がいます」とか「左側に置いてあるカメラで撮ってます」とか「スタジオの四隅にピンク岩塩を置いてます」といった説明を受けます。おかげで収録時にイメージがしやすいし、「盛り塩をピンク色の塩にして、おしゃれさを出そうとするな!」とツッコめます。
続いて、ネタ番組。テレビでネタをやるときも劇場と同じように、スタジオの端から舞台に上がってセンターマイクまで行く流れがあるので、スタッフさんかマネジャーにマイク前まで連れていってもらいます。
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それも収録前の打ち合わせで、「うちのスタッフが、マイクの前までお連れします」とか、「うちのスタッフが、結婚してるのに遊びまくってるプロデューサーの前までお連れします」とか言ってもらえるので、とても助かります。
まあプロデューサーのほうは遠慮しておきますけどね。前までお連れされても、どうしたらいいのかわからないので。
ちなみに、普段の劇場では進行係の人にマイクの前まで連れていってもらいます。ただ、たまに芸人仲間がふざけて「今日は俺が連れていきます」と言って、マイクとは全然違う舞台の端まで連れていくことがあるので、そういうときは「どこ連れていってんねん!」とツッコみます。
それでお客さんも笑ってるので「よしよし」って感じです。
あと、ロケ番組など、収録中に移動するタイプの番組では、共演者の人に誘導してもらったりします。例えば、僕の冠番組『濱田祐太郎のブラリモウドク』(ABCテレビ)では、一緒に街ブラをする藤崎マーケットのトキさんに誘導してもらってました。
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次にドラマや映画の仕事。よく聞かれるのが、「目が見えない濱田さんは、どうやって台本を覚えるんですか?」という質問です。
答えはシンプルです。台本の内容をLINEで送ってもらい、スマホの音声読み上げ機能を使って聞く。そうやって自分のセリフを覚えていきます。
僕が2021年に出演したドラマ『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』(日本テレビ)では、スタッフの人が台本を音読した音声データを用意してくれました。これもありがたかったです。
良かったですよ、それが黙読した音声データじゃなくて。そしたらもう完全にお手上げでしたから。
こんな感じで周りにサポートしてもらってるおかげで、僕はお笑い芸人の活動を続けられているんです。
●濱田祐太郎(はまだ・ゆうたろう)
1989年生まれ、兵庫県神戸市出身。2013年より芸人として活動を開始し、『R-1ぐらんぷり2018』(フジテレビ)で優勝。関西の劇場を中心に舞台に立つほか、テレビやラジオなどでも活躍。公式X【@7LnFxg25Wdnv8K5】
撮影/梅田幸太

