2026年F1第4戦マイアミGPレース後会見 3位に入賞したオスカー・ピアストリ(マクラーレン) マクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チームのオスカー・ピアストリは、いつの日か、F1においてある種の決断に直面するかもしれない。それは、スーパースターのチームメイトの陰に隠れてタイトル獲得マシンに乗り続けるか、あるいは新たなリーダーシップを求めてチームを離れ、真に成果を上げられないかもしれないチームにすべてを賭けるか、だ。
F1のふたりのベテラン関係者によると、誤った選択をしたドライバーは数多く存在するという。マックス・フェルスタッペン(オラクル・レッドブル・レーシング)のF1における長期的な将来を巡る憶測が飛び交うなか、ピアストリの名前はレッドブルにおけるフェルスタッペンの後任候補として次第に浮上するようになった。
理論上は魅力的な移籍に聞こえる。将来有望なアイザック・ハジャーとともに、レッドブルの次世代を担う中心選手となるのだ。しかし、かつてフェラーリやウイリアムズでエンジニアを務めたロブ・スメドレーや、アストンマーティンやアルピーヌでチーム代表の経験を持つオットマー・サフナウアーは、厳しい現実を突きつけた。
■ドライバーが陥り続ける罠
ポッドキャスト番組『High Performance Racing』に出演したスメドレーは、ドライバーが圧倒的な強さを誇るチームを離れて、すぐに別の場所でチャンピオンシップの実績を築けるというロマンチックな考えを否定した。スメドレーの意見は鋭いもので、フェラーリとウイリアムズのピットウォールで長年過ごし、大胆なチーム離脱後にキャリアが停滞するドライバーたちを目の当たりにしてきた経験に基づいていた。
「私は今フェラーリ時代を振り返っているのだが、もしあなたがそのチームのドライバーで、チームメイトに対して苦戦していたら、あなたにはどんな選択肢があるだろうか? 今いるチームを離れて、チャンピオンシップを獲得する可能性はないが、そのチームではあなたの方がより優れたドライバーかもしれない、というようなもっと弱いチームに移籍するのか?」
「そういう場面を何度も見てきた。ドライバーがそうするのを見たことがあるが、うまくいったことは一度もない。ドライバーが幸せになったのも見たことがない」
現在のマクラーレンにおけるピアストリの立場を考えると、この警告は非常に重みがある。ピアストリはすでに有力なプロジェクトに深く関わっており、少なくとも2027年まではマクラーレンの将来において中心的な役割を担っている。
■ナンバー1になるだけでは十分ではない
サフナウアーは、なぜ多くのこうした移籍が失敗に終わるのかについて説明するなかで、問題は単にナンバー1ドライバーになることではなく、ナンバー1である間に、ともにトップを目指せるチームを見つけることにあると語った。そして現代のF1では、ナンバー1の地位は長年にわたって固定化される傾向がある。
「そこではふたつのことが起こる。まずひとつは、移籍先のチームがベストなチームではないとしても、そこでナンバー1ドライバーにならなければならないし、自分にはそれができるとわかっているだろう」
「そしてそのチーム自体もベストなチームにならなければならない。これらふたつのことが同時に実現するのは少し珍しいことだ」
「特に3番手のチームから1番手のチームへ移籍する場合はそうだ。メルセデスなら6、7年、レッドブルなら4、5年、フェラーリとミハエル・シューマッハーの時代なら10年くらいかかる。だから、その10年間においてフェラーリで2番手だった人が『よし、どこかでナンバー1になりたい』と言ったとしても、どのチームに行っても10年間はベストなチームではない」
それはピアストリの将来の決断に付きまとう厄介な問題だ。もしフェルスタッペンが2028年より前にレッドブルを離れるとしたら、ピアストリにとっての誘惑は計り知れないものになるだろう。F1の最強のシートのひとつを引き継ぎ、新時代を牽引し、マクラーレンでの内部争いから逃れるチャンスは、グリッド上のほぼすべてのドライバーにとって魅力的なものだろう。
しかしスメドレーとサフナウアーのメッセージは、極めて正確にその幻想を切り裂くものだ。F1の歴史は、個人的な地位を求めて一流のマシンを明け渡したドライバーが間違ったチームのスターになることで結局は敗北に終わるということを、しばしば手遅れになってから悟ることを示している。
[オートスポーツweb 2026年05月13日]