画像提供:マイナビニュース「コーヒーは脳にいい」と聞いたことがある人もいるかもしれません。
近年は、コーヒーに含まれるポリフェノールやカフェインが、脳の健康や認知機能とどのように関わっているのかを調べる研究が増えています。
○コーヒーが「脳にいい」と言われる理由
コーヒーが「脳の健康食品」として注目される最大の理由は、その豊富なポリフェノール含有量にあります。
ポリフェノールは植物が自身の身を守るために作り出す天然成分で、私たちの体内でも優れた働きをすることが解明されてきました。
特に「クロロゲン酸」と呼ばれる成分は、野菜や果物と比較してもコーヒーに非常に多く含まれています。
このクロロゲン酸は、強力な抗酸化作用を持ち、脳内の酸化ストレスや神経炎症を軽減します。
では、こうしたポリフェノールは、脳にどのような働きをしているのでしょうか。
○脳を“サビ”から守る抗酸化作用
私たちの脳は、体内で最も酸素の消費量が激しい臓器です。
つまり、非常に多くの酸素を消費するため、酸化ストレス(細胞のサビ)を受けやすい繊細な臓器なのです。
コーヒーのポリフェノールには強力な「抗酸化作用」があり、このサビから脳細胞を守ります。
○脳の血流を支える「血管」の健康
また、脳が正常に働くためには、絶えず新鮮な血液が送り込まれる必要があります。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、血管を広げ、脳全体の血流をスムーズにする手助けをします。
さらに、血管の機能を改善する働きもあります。
高血圧や糖尿病などの血管を痛めるリスク因子は、将来的に動脈硬化を誘発し、脳血流を減少させて認知症の原因となります。
コーヒーのクロロゲン酸には、血管内皮機能を保護し、炎症による血管の損傷を抑える働きが期待されます。
血管の内側(内皮細胞)を若々しく保つことで、動脈硬化を予防し、脳の血管が詰まったり破れたりするリスクを軽減するのです。
認知症の一種である「血管性認知症」は、脳の小さな血管のトラブルが原因で起こります。
日頃からコーヒー習慣で脳の血管の機能や血流を良好に保つことは、間接的に認知症予防の土台を作っていることになります。
○脳の神経細胞を守る可能性も
近年の分子生物学的な研究では、コーヒーの成分が脳内の「神経保護」に役立つ可能性も示されています。(※1)
具体的には、脳内のゴミである「アミロイドβ」の毒性から神経細胞を保護したり、神経細胞の死(アポトーシス)を抑制したりする働きです。
(※1) Siyuan Xiong et al. Frontiers in Immunology 2023
○認知症予防のカギは「血管」と「炎症」
認知症の進行には、脳の「慢性炎症」が深く関わっていることがわかってきました。
認知症の病態には、さまざまな脳の慢性的な神経炎症が関与し、炎症性サイトカインの産生が神経細胞死を誘発します。
コーヒーの習慣によって、脳内の炎症のスイッチを抑えることで、脳が炎症にさらされる時間を短縮してくれる可能性があります。
「血管を若く保ち、炎症を抑える」。
このダブルの効果が、コーヒーが脳にいいとされる科学的な根拠なのです。
○梶 尚志(かじ・たかし)
梶の木内科医院 院長・七夕医院総院長、総合内科専門医、腎臓専門医、家庭医、日本抗加齢医学会専門医、健康スポーツ医。1989年、富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業。2000年、岐阜県可児市に梶の木内科医院開設。年間約5万人の患者を診察する中で、通常の診察では解決できない不調が多いことに危機感を感じ、改善策を模索。分子整合栄養医学との出会いをきっかけに、不調の原因が栄養状態にあることを確信する。2025年7月、新たに栄養療法に特化した七夕医院名古屋分院を開設。大人から子どもまで栄養学的なアプローチで治療と生活指導を行い、不調の改善に取り組んでいる。()