ラリージャパン2026 表彰式の様子 5月31日(日)、2026年WRC世界ラリー選手権の第7戦『フォーラムエイト・ラリージャパン2026』の競技最終日となるデイ3が行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のエルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合優勝を飾った。
日本のファンからの期待を背負う勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合4位でフィニッシュし、トヨタ勢がトップ4を独占する最高の結果となっている。
■濡れた峠と灼熱のサバイバル。トヨタが全ステージを支配した週末
今季第7戦の舞台となったラリージャパンは、初日から予想外の波乱に見舞われた。前日までの雨による湿り気が路面に残り、スリッピーなコンディションとなるなか、オープニングのSS1で勝田が左リヤタイヤのパンクを喫し、出遅れる事態となった。一方、同じトヨタ陣営のエバンスは続く全長24.29kmの難関ロングステージ『伊勢神トンネル1』でライバルを圧倒するベストタイムを叩き出し、一気に総合首位へと躍り出た。
午後になると強い日差しで路面が乾き始めたが、深いインカットによってコーナーのイン側から掻き出される泥や砂利(ポリューション)が多く発生し、ラインを外せば一瞬でグリップを失うテクニカルな状況となった。そのなかでトヨタ勢は持ち前の安定感と速さを発揮し、初日を終えて首位エバンス、2番手オリバー・ソルベルグ、3番手セバスチャン・オジエ、4番手サミ・パヤリ(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)と、上位4台を独占する圧倒的な強さを見せつけた。
競技2日目となるデイ2は、朝から雲ひとつない快晴となり、気温がじわじわと上昇。午後には路面温度が50度に迫るほど過酷な環境へと変貌した。各陣営にとって、極限まで熱されたハードコンパウンドタイヤの摩耗をどう抑えるかが勝敗を分ける重要な鍵となるなか、午前中はソルベルグが果敢なアタックで首位エバンスとの差を縮め、激しいトップ争いを展開した。
しかし、午後最初のSS10『笠置山2』でクラッシュが発生。逆転でのラリージャパン制覇を狙い猛追していたソルベルグが、路面に掻き出された砂利に乗ってコースオフを喫し、立ち木(電柱)に激突して無念のリタイアとなってしまう。
一方、首位のエバンスは西日による視界不良やタイヤの熱ダレに苦しむライバルたちを尻目に、一切のオーバードライブを避ける緻密なタイヤマネジメントを徹底。冷静な走りでリードを20秒に拡大し、トップの座を盤石なものにして最終日を迎えることとなった。
迎えた最終日のデイ3は、額田、三河湖、そして鞍ヶ池公園を舞台に、6本のSS、計74kmで争われた。前日のクラッシュからマシンの修復を終え、リスタートを果たしたソルベルグは、スーパーサンデーのポイント獲得に向けてオープニングSS15『額田1』でいきなりトップタイムをマークする。続くSS16『三河湖1』では、地元の声援を背に受ける勝田がトップタイムを叩き出し、母国で意地の走りを見せた。
中盤のSS17、SS18『鞍ヶ池公園SSS』では、逆転優勝を狙うオジエが2ステージ連続でベストタイムを記録してエバンスにプレッシャーをかける。しかし、エバンスはリスクを冒さないクレバーなドライビングで応戦し、首位の座を譲らない。迎えた最終のSS20『三河湖2』は、トップ5にボーナスポイントが付与されるパワーステージとして行われ、ここではソルベルグが圧巻のベストタイムを記録。スーパーサンデーとパワーステージの両方でトップに立ち、貴重な最大10ポイントを獲得して意地を見せた。
そして、首位のエバンスは最終ステージもトラブルなく走り切り、トータルタイム3時間17分8秒で今季2勝目となる総合優勝を飾った。12.8秒差の2位にはオジエ、さらに51.4秒差の3位にはパヤリが続き、勝田も総合4位で完走を果たした。これにより、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームは母国ラリージャパンで上位4台を独占するという完璧な結果を残し、2023年大会から続く同大会での4年連続優勝という偉業を成し遂げた。
直下のWRC2クラスでは、最終日まで続いたニコライ・グリアジン(ランチア・イプシロンHF)とアレハンドロ・カチョン(トヨタGRヤリス・ラリー2)の息を呑む死闘が決着。最終ステージまでもつれ込んだ戦いは、カチョンが猛追を見せたもののグリアジンがわずか2.1秒差で逃げ切り、クラス優勝を飾った。また、日本勢トップの山本雄紀(トヨタGRヤリス・ラリー2)も難関のターマックラリーを着実に走り抜き、見事にクラス3位(総合12番手)で母国でのポディウムを獲得している。
今季のターマック戦を締めくくる過酷なサバイバル戦において、全20ステージでトップタイムを奪うという圧倒的な完全制覇を成し遂げたトヨタ陣営。次戦以降のグラベル戦線でも、この勢いを維持してタイトル争いを力強く牽引していくことが期待される。
[オートスポーツweb 2026年05月31日]