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東京メトロの路線名にもなっている「副都心」。
そもそも副都心とは、東京都が策定した都市構想の一つである。新宿、渋谷、池袋の3地区が1958年に指定され、その後、上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎が追加。さらに臨海副都心が加わった。都心への一極集中が進みすぎたため、その機能を分散させる目的で副都心が設けられたものである。
東京メトロ副都心線は、最初に副都心に定められたエリアである池袋駅、新宿三丁目駅、渋谷駅などを結ぶ路線だ。いずれも多くの人が利用する駅であり、非常に混雑している。
並行するように、JRの山手線や埼京線、湘南新宿ラインも走っており、こちらも混雑している。特に山手線の池袋〜新宿〜渋谷間は混雑が激しく、平日昼間の比較的空いている時間帯でも、乗車すると窮屈に感じることが少なくない。
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この新宿・渋谷・池袋には、分かりやすい共通点がある。いずれも巨大なターミナル駅を抱えていることだ。
しかし、同じ副都心でありながら、池袋は新宿や渋谷と比べると、「一人負けしている」と語られることがある。それはなぜなのか。
池袋のある豊島区の事業者数は2021年時点で1万9141。新宿区は3万3094、渋谷区は3万3284と、職場などの数は新宿エリアやb渋谷エリアよりも、池袋エリアでは少ない。そのあたりが理由だと考えられる。
本稿では、新宿・渋谷との違いを考察するとともに、池袋の立ち位置や、今後目指すべき方向性について探っていきたい。
●副都心の3駅、どんな駅?
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池袋を新宿や渋谷と比較する前に、まずは3駅の概要を確認しておきたい。
池袋駅にはJRのほか、西武鉄道、東武鉄道、東京メトロが乗り入れている。新宿駅にはJR、京王電鉄、小田急電鉄、東京メトロ、都営地下鉄が乗り入れており、周辺には新宿三丁目駅や西武新宿駅など、「新宿」と名の付く駅が複数ある。渋谷駅にはJR、東急電鉄、東京メトロ、京王電鉄が乗り入れている。
この3駅の規模を示すものとして、1日当たりの駅の利用者数がある。JR東日本の乗車人員(2024年度)を見ると、新宿駅が66万6809人で1位、池袋駅が49万9128人で2位、渋谷駅が32万4414人で5位となっている。
一方、東京メトロの乗降人員(2024年度)を見ると、池袋駅は51万8135人で1位、新宿駅は19万9942人で7位、渋谷駅は19万1505人で9位となっている。ただし、新宿駅は丸ノ内線のみ、渋谷駅は銀座線のみのデータだ。
こう見ると、池袋・新宿・渋谷の3駅は、いずれも多くの人が利用している巨大ターミナルであることは間違いなく、池袋は新宿や渋谷に引けを取らないことも分かる。
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では、新宿・渋谷と、池袋の違いはどこにあるのか。
●池袋は、新宿・渋谷と何が違うのか
新宿で大きな存在感を放っているのは都庁だ。1991年に都庁が丸の内から移転して以降、新宿は行政機能が集積する街となった。周辺には高層ビルがあり、多くの企業がオフィスを構えている。駅周辺の繁華街が注目されがちだが、行政やオフィスの集積地となっているのが特徴だ。
渋谷は、長らく流行の発信地として知られてきた。近年ではスタートアップをはじめとするIT企業も多く集まり、渋谷駅周辺の再開発によってさらに多くの企業がオフィスを構えるようになった。流行の発信地から、働く街としての存在感も高めてきた。
一方、池袋は同じ副都心でありながら、オフィス街としての印象は新宿や渋谷ほど強くない。再開発が進んでいるものの、その動きが広く認知されているとは言い難い。巨大ターミナルであり、多くの人が行き交う街であるにもかかわらず、都市としての役割や特徴がやや見えにくいのである。
●池袋の特徴は?
池袋駅に降り立つと、まず駅構内の広さに驚く。地上にはJRや東武東上線、西武池袋線のホームがあり、地下には乗り換え通路や地下鉄の駅がある。
西口に出ると、東武百貨店や駅近くの飲食店街が目に入る。オフィスと商業施設が一体となった複合ビル「IT tower TOKYO」もある。ただ、飲食店街とオフィスビル、マンションが混在しており、雑多な街という印象を受ける。西口エリアには古い小規模な建物も多く、生活感も強い。
東口には西武池袋本店がある。パルコやビックカメラ、ヤマダデンキなどの大規模商業施設も点在し、駅から少し離れたところにはジュンク堂書店もある。周辺には居酒屋なども多く、買い物や飲食の場としての色合いが濃い。そんな中で、特に存在感を放っており、池袋の象徴となっているのが、オフィスや商業施設、文化・レジャー施設などが集まる「サンシャインシティ」である。
こうして池袋を見ると、巨大ターミナルである池袋駅を中心に、商業、飲食、オフィス、住居が集まる大きな街であることが分かる。
しかし、弱点として挙げられるのは、多くの企業が入居できるような大規模オフィスビルの存在感が、新宿や渋谷ほど強くないことだろう。もちろん、池袋にオフィスを構える企業はある。しかし、都庁を中心に高層オフィスが集まる新宿、再開発によって新しいオフィスや商業施設が次々と生まれている渋谷と比べると、池袋はその特徴がやや見えにくい。駅利用者は多く、商業施設も充実し、生活の場としての側面もあるのだが、それらが一つの街のイメージとして結びつきにくいのである。
これが、池袋が“一人負け”と語られる理由だと、筆者は考えている。
●池袋が目指すべき方向性
しかし、池袋にも変化の兆しがある。西武池袋本店が、「池袋の逆襲」という広告を西武鉄道の池袋駅に出したのである。西武池袋本店は2026年に、リニューアルオープンする予定だ。
新宿や渋谷が、行政機関や新興企業が集まる街として存在感を強める中で、池袋は多くの人が集まり、買い物や飲食を楽しみ、仕事帰りにも気軽に立ち寄れる街であり続けている。確かに、新宿や渋谷と比べると、行政やオフィス街としての印象は強くない。ただ筆者は、池袋の価値は「人々のための街」として機能している点にあることだと考えている。
新宿や渋谷が、「行政」や「ビジネス」の機能を強めてきた街だとすれば、池袋は「消費」や「生活」を支える街である。働くためだけの街ではなく、買い物をし、食事をし、家へ帰る途中に立ち寄ることができる、人々の日常に近い街なのだ。
池袋は、新宿や渋谷と同じ物差しで比べられることで、「負けている」と言われてきた。しかし本来、街の価値はオフィスの数や再開発の華やかさだけで決まるものではない。
駅の利用者数が示しているように、池袋には今も多くの人が集まっている。そして、その多くは単なる通過客ではなく、買い物や食事など生活の一部として池袋を利用している。そう考えると、池袋は決して「負けている」わけではなく、新宿や渋谷にない価値を提供している、個性あふれる街なのである。
(小林拓矢)
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