2026年F1第7戦バルセロナ・カタルーニャGP トラブルにより、コース上でマシンを止めたアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チームは、選手権争いを混乱させている一連のリタイアの根本的な原因を特定した。ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの不振に共通する要因として、バッテリー関連の問題が浮上している。
今回の発見は、重要な局面でチームが貴重なポイントを失う原因となった信頼性の問題を受けてのものだ。第5戦カナダGPではレースをリードしていたラッセルがリタイアを強いられ、第7戦バルセロナ・カタルーニャGPではアントネッリも2番手を走行中にリタイアするという同様の苦境に立たされた。
メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソンは、チームが問題の原因を正確に特定し、長期的な解決策に緊急で取り組んでいることを明らかにした。メルセデスは今シーズン、2台とも様々な信頼性の不具合に見舞われているが、アリソンは、最近の不具合はパワーユニット(PU)のバッテリーシステム内の同じ箇所に起因していると説明した。
「このスポーツを熱心に観戦している方なら、今シーズンこれまで、メルセデスのエンジンを使用しているマシンが何台かリタイアしているのをご存知だろう」とアリソンはメルセデスの公式YouTubeチャンネルで公開された『Nu Silver Arrows Radio Show』のなかで語った。
「すべてが同じというわけではないが、おおまかにバッテリーの同じ部分から(問題が)発生しているようだ。ほとんどのリスクのある箇所は把握できていると思う。我々はバッテリーのことをモジュールと呼んでいるのだが、その新しいモジュールを段階的に導入し始めれば、全体的な成績は向上するはずだ」
「もちろん我々にとって、これは非常に重要なことだ。これらのリタイアは非常に、非常に痛手だ」
これらのトラブルはメルセデスのワークスチームのオペレーションに影響を与えただけではなかった。カスタマーチームのマクラーレン・マスターカード・フォーミュラ1チームも電気系統のトラブルに見舞われており、できる限り早くしっかりとした解決策を見つけることの重要性が浮き彫りになった。
メルセデスにとって、トラブルの影響は甚大だった。カナダGPとバルセロナ・カタルーニャGPでのリタイアだけでも、コンストラクターズ選手権におけるチームのアドバンテージは大幅に減り、現代のF1において、絶対的なペースと同じくらい信頼性が重要であることをはっきりと認識することになったのだ。
■信頼性の問題が発生する理由
F1チームはテストとシミュレーションに莫大なリソースを投入しているが、アリソンは、一度レース週末の極限的な負荷にさらされたコンポーネントには依然として不具合が発生する可能性があると認めた。
「不具合が発生することは受け入れなければならない。不具合はテストやシミュレーション装置上で発生するようにし、チャンピオンシップポイント獲得を目指すレース本番では、できる限り発生しないように努めている。もちろん、常にうまくいくとは限らない。なぜなら、時折マシンがリタイアすることもあるからだ。これは間違いなく、我々のプロセスや、欠点なしでパフォーマンスを向上させるための努力における失敗だ」
またアリソンは、弱点が最初に発見された際は、エンジニアたちが舞台裏で根本原因の解明に取り組む間、チームはしばしば保守的なアプローチを取ると述べた。
「そのような不具合が発生した場合、最初のうちは、おそらく完全に(トラブルを)理解する前に、チームは機材の扱いにより慎重になり、負荷を少し抑えることで、明らかにダメージを受けている機材に少し耐久力を持たせようとする傾向がある。一方で、チームの別の部署は、その不具合の根本原因を突き止め、それを設計から排除し、検証し、しっかりとした機材を投入しようとする」
「つまり最初の介入は、脆弱な部分を少しでも楽に使えるようにすることであり、その後適切な対策に取り組み、思い切り負荷をかけられるようにするのだ」
これらのコメントは、メルセデスが現在直面している綱渡りのような状況を垣間見せるものだ。チームは、短期的にはさらなるリタイアを回避しつつ、同時にF1の過酷な要求に耐えうる恒久的な解決策を開発しなければならない。第8戦オーストリアGPを皮切りに、今後5週間で4つのレースが予定されているため、時間は極めて重要だ。メルセデスは、問題点を特定してリスクも理解していると考えているが、改良型バッテリーを導入し、その性能がレースのコンディションで実証されるまでは、“用心”が合言葉になりそうだ。世界選手権のタイトルを目指すチームにとって、警告のサインはこれ以上ないほど明白だ。信頼性が伴わなければ、スピードだけでは十分ではないのである。
[オートスポーツweb 2026年06月22日]