
「こんな世の中を生き抜く武器は愛の言葉しかありません この世のすべての問題を解く鍵は愛です 愛があれば戦争なんか起こりません」
6月20日午前9時30分、老衰のため91歳で亡くなった歌手で俳優の美輪明宏さん。冒頭の言葉は、生前、美輪さんが所属事務所に託した最期の直筆メッセージだ。
定期的に『女性自身』に出演してくれた美輪さん。本誌でも、「“自分より相手”。見返りを求めない、ひたむきに愛しぬく『無償の愛』こそが、世界中の人々を幸せにするのです」と語っていた。
特にこの20年近くは、毎年のように年末年始の発売号で、美輪さんの愛のメッセージを読者に届ける記事を掲載してきた。その年に起きた政治、経済、芸能、スポーツ、災害、事件、事故……。ありとあらゆる出来事を“美輪さん視点”で振り返ってもらい、最後に新たに迎える1年を生き抜くための“金言”をアドバイスしてもらうのが恒例となっていた。
取材場所は美輪さんのご自宅。本誌記者が年末近くに訪問すると、美輪さんは決まってこう言ってくれた。
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「そろそろ来ると思ったわ。あなたが来ると毎年暮になったと感じる」
ご自宅での取材であっても、毎回ご自分でヘアメイクをされて、素敵な宝飾と洋服を身にまといながら、オーラ全開で迎えてくれたことを昨日のように思い出す。取材前には、いつもお決まりの挨拶を交わすのが定番だった。ある年のやり取りを再現しよう。
本誌記者「お疲れさまです。今日はよろしくお願いいたします!」
美輪さん「何しに来たの」
本誌記者「金言を伺いにまいりました」
美輪さん「嫌よ(笑)」
年末年始企画以外でも、突発的なニュースが起きた際には、電話で美輪さんにコメントをもらうこともたびたびあった。その時もいつも同じ会話から始まった。
本誌記者「もしもし、お疲れさまです。女性自身の〇〇です」
美輪さん「……(2秒ほど沈黙の後)、愛してる?」
本誌記者「もちろんでございます。無償の愛でございます」
美輪さん「嘘おしゃい!(笑)」
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取材前に緊張する記者を和ましてくれる美輪さんの優しさに、いつも助けられてばかりであった。さらにその優しい気遣いは取材後も続く。ご自宅での取材が終わると、広いリビングからわざわざ玄関先までお見送りしてくれるのだ。
本誌記者「今日はありがとうございました。また来ます」
美輪さん「もう来なくていいです」
本誌記者「いえいえ、またお願いします!」
美輪さん「嫌!(笑)、じゃあね」
そう言った後、両手の手のひらを記者に向け、玄関の扉が閉まるまで笑顔でバイバイ―――。もうあの笑顔を再び見ることができないと思うと寂しいばかりだ。
戦争体験者として“反戦”と“平和の尊さ”を強く訴え続けてきた美輪さん。歌手、俳優としてだけでなく、“唯一無二の表現者”として、その生き方や言葉に励まされた人たちもたくさんいるはずだ。気骨のある巨星の『愛』は、心の中で生き続ける!
謹んでご冥福をお祈りいたします。
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