奈緒、女優をやっていて一番の喜びは「打ち上げが好きなんですよ」映画「死ねばいいのに」で熱演

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2026年07月05日 08:00  日刊スポーツ

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昨年、海外出張中に癒やしてくれたのが動画配信サイトで見たドラマの奈緒さんの笑顔でした。本人の笑顔を撮影でき感無量です(撮影・滝沢徹郎)

ホラーからコメディーまで、スッとなじむ印象がある。女優の奈緒(31)。30本目の映画は「死ねばいいのに」(公開中)とインパクトの強いタイトルになった。自然流に見える演技の裏には五感を全開にした繊細な役作りがあるようだ。【相原斎】


★伊東蒼と絶妙コンビ


「『死ねばいいのに』というタイトルにドキッとし、企画書を読んで、これは挑戦になる作品だと思いました。原作を読むと、読後にタイトルの響きが全然違って伝わってくるんです。私も今、生きたくて生きているんだ、と」


映画やドラマでは目を細めた柔らかな笑顔が印象的だ。が、間近にするとまっすぐこちらを向いた目は丸い。黒目が大きい。


今回の作品は京極夏彦氏の原作。主人公は、何者かに殺された友人女性について、付き合いのあった人々を訪ねてまわる。さまざまな証言をたどるうちに、友人女性の知られざる姿が明らかになっていく…。


「私が演じた映子は、映し出す子。子どものようにそこにいて、共演者の心や見ていただく方の気持ちも映し出せたら、そんな風に思いました」と、まずはそのまっすぐな目で読んで役のイメージを描く。劇中でコンビを組んだのは、ドラマ「サバ缶、宇宙へ行く」が記憶に新しい伊東蒼だが、最初の(台)本読みでその声に魅せられたという。耳で聞いてイメージが膨らんでいく。


「こうして(目をつぶって)声を聞くと、響きがすごくすてきなんですよ。言葉ではいいにくいんですが、魅力がある。音の1つ1つに気持ちが流れている気がして、それが伝わってくる。彼女となら私も映子になれるんじゃないか。そんな気がしてきたんですね」


見て、聞いて−五感を開いた役作りが自然な演技につながっているようだ。


★私生活で助けられ


劇中では同年代に見えるが、実は伊東とは10歳差がある。


「ギャップを感じたとしたら、お仕事の場ではなくて、食事をした時ですかね。蒼ちゃんはチャットGPTを使いこなしていて、ずいぶん教わりました。日常でここまで使えるんだ、と。今では私もスケジュールを組んでもらってます。私のことを分かってくれるので、あと15分しかないとあきらめている時に、チャットGPTが『いやいや5分でこれ、10分でこれとできますよ』と。あらら、水回りの掃除もちゃんとできたじゃない、とか(笑い)。いろいろ気付かされることが多くて、すごくすごく私生活で助けられてます」


★金井監督座長評価


「マイ・ダディ」以来5年ぶりのタッグとなった金井純一監督は「伊東さんを食事に誘ったり、俳優同士の信頼関係を自然に作ってくれました」と「座長」ぶりも評価する。伊東もチャットGPT以上のものを得たようだ。「奈緒さん演じる映子と過ごした時間で出会った景色のすべては幸せそのものだったと思います」と振り返った。


心象シーンは静岡県東伊豆町の桃野湿原で撮影された。


「椅子やテーブルの位置関係は現実社会の実寸そのままに配置したのですが、草原の中に置くとこぢんまりとした印象になるんですね。そこはみんなで話し合って広げたり、視覚的な工夫をしましたね」


★すごい数の虫に…


映画出演も30本を数え、スクリーンの中の見え方もイメージできるようになってきたようだ。


ロケではままならないこともある。桃野湿原での撮影はちょうど1年前だった。


「ムシですね。金井監督がムシが大嫌いで(笑い)、監督がいらっしゃるモニターの周りはみんなで気をつけていたんですが。夜間は照明を目指して大きいのから小さいのまですごい数が。映画に映っていないのが不思議なくらいです。で、私はしっかり刺されてしまい。蚊とかではないです。痛くて脈打ってましたから。今でも痕が残ってますよ。一番の反省はムシ対策が至らなかったことですかね(笑い)」


★地元福岡でスカウト


高校1年の時、地元福岡の天神でスカウトされた。


「今のように役者としてずっとやっていこうという意識はありませんでした。ただ、早く働きたいという気持ちがあって、この仕事なら年齢制限がないからいいかな、くらいの気持ちでした。大学を卒業する年齢になったら、普通に就職するんだろうな、と思ってましたから」


18歳の頃に地元のワークショップに通って意識が変わった。


「演技って分からないところが多いというか、今でもそうですが、説明しきれないじゃないですか。そういうものを追い求めた方が、自分は長く続けられるんじゃないかって。自分の人生を生きていく上で知り得なかった気持ちに出会わせてもらえる。他者の思いや自分自身の理解にもつながる。お芝居って面白い。楽しい。感謝しかないですね」


★いつかは頼られるように


8年前、NHKテレビ小説「半分、青い。」でヒロインの幼なじみを演じたことが飛躍のきっかけになった。


「朝ドラ(テレビ小説)のオーディションは3回目だったんです。受けるんだったら、楽しもうという心境でした。実際一番楽しかったんです。楽しかったことを克明に覚えているくらいに。朝ドラって特別で、初めての本読みの日にとんでもない数の人が集まるんですよ。こんなに大勢の人で1つのものを作る。時には誰かを頼りながら。私は頼るばかりでしたが、いつかは頼られるようになりたい。そんな思いになりましたね」


女優をやっていて一番の喜びは。


「打ち上げが好きなんですよ。撮影初日から考え始めてしまいますね(笑い)。撮影中は各部署がいろんな思いを孤独に抱えながら、その日その日を全力投球します。全部終わって、あぁ良かった! となって、まずそれが大きいんですけど、終わったからこそ話せることってあるじゃないですか。それを語り合うのが好きなんですよ」


▼金井純一監督(43)


本読みも非常に熱心に付き合ってくれましたし、座長として現場の空気を作り続けてくれました。(フィルムを)編集していて、(シーンを追って)彼女の芝居が微細に変化していることに驚きました。この人が一番芝居を楽しんでいたんだな、と。


◆奈緒(なお)


1995年(平7)2月10日生まれ、福岡出身。13年ドラマ「めんたいぴりり」でデビュー。16年「雨女」で映画初出演。19年「のの湯」で連続ドラマ初主演。母親とともに吉田拓郎の大ファン。22年にはそのラストアルバム「ah−面白かった」のジャケットモデルを務めた。日本酒好きで「吉田類の酒場放浪記」をよく見ている。

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