最終周のセーフティカー退去は問題なし。2021年アブダビGPの教訓をもとに、運用を徹底/新時代のF1解説第8回

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2026年07月13日 17:00  AUTOSPORT web

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2026年F1第9戦イギリスGPの決勝レース終盤、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のコースオフによりセーフティカーが導入された
 今年のF1第9戦イギリスGPはレース終盤に導入されたセーフティカー(SC)が排除されることなく、SC先導のままチェッカーフラッグが振られ、レースが終了した。

 SC先導のままレースが終了したことは過去にも何度かある。最近では、2025年のカナダGPでマクラーレン勢が同士討ちしたことによって出動したSCがそのまま残って、レースはSC状態のまま終了した。

 SCが導入された原因は、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)のマシンがトラブルでコースオフし、ストウ・コーナーの外側にあるグラベルにハマって動けなくなってたことだった。フェルスタッペンがコースオフしたのは、47周目だが、先頭のシャルル・ルクレール(フェラーリ)はすでに48周目に入り、6コーナーを通過した直後だった。すぐにフェルスタッペンのマシンを撤去するための作業者がグラベルに入る。作業者に牽引されたフェルスタッペンのマシンがコース外へ撤去されたのは2周後の50周目だった。

 コースマーシャルからの連絡を受けて、レースコントロールは「LAPPED CARS MAY NOW OVERTAKE(周回遅れ車両は追い越し可)」のメッセージをすべての競技参加者に送り、12番手を走行していたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)以下の周回遅れのマシンをSCの前に出した。

 このタイミングがポイントとなった。というのも、レギュレーションではセーフティカーの撤去に関する規定が次のように定められているからだ。

■競技規則B5 第13条5項 『セーフティカー(SC)期間の長さ』a. B5.13.4c項に規定されている場合を除き、セーフティカーは少なくとも先頭車両がセーフティカーの後方に並び、残りの車両がセーフティカーの後方に並ぶまで使用されるものとする。

b. レースディレクターが、セーフティカーの存在が引き続き必要であると判断しない限り、「"LAPPED CARS MAY NOW OVERTAKE"(周回遅れ車両は追い越し可)」のメッセージがすべての競技参加者に送られたら、B5.13.4c項に従いセーフティカーは次の周回の終了時点でピットへ戻る。

 レースコントロールが「LAPPED CARS MAY NOW OVERTAKE(周回遅れ車両は追い越し可)」のメッセージをすべての競技参加者に送ったのは50周目の終盤だったが、実際に周回遅れのマシンがSCを追い抜き始めたのは51周目に入ってからだった。レギュレーションでは上記『b』の最後の一文で、「セーフティカーは次の周回の終了時点でピットへ戻る」となっており、51周目の次の周回である52周目にしか退去することができない。

 これは2021年のアブダビGPで、一部の周回遅れしか前に出さず、かつ周回遅れに追い抜き可のメッセージを出した次の周にSCが退去して、メルセデスが抗議するなか、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが逆転で王者となった混乱を教訓に、以後徹底されている現在のレギュレーションだ。

 では、なぜ51周目に「Safety Car Ending(この周回中にセーフティカー終了)」のメッセージが出されたのか。国際自動車連盟(FIA)はこう説明している。

「『この周回中にセーフティカー終了』というメッセージが表示されたのは、ソフトウェアのエラーによる誤表示だった」

 つまり、メッセージの表示はミスしたが、レースの運用に関して、このイギリスGPのレース運営部門は間違いを犯していなかった。ただし、最も肝心なタイミングでの誤表示によって、見ている者が混乱したことは事実。レース終盤にSCが導入された場合のレギュレーションおよび、観客や視聴者への情報開示に関しては見直すべきことがあるように強く感じたイギリスGPだった。

[オートスポーツweb 2026年07月13日]

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