35℃超えで“ビール離れ”? 各社が“気候”をもとに新商品を開発、猛暑とビールの新しい付き合い方とは

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2026年07月18日 09:10  オリコンニュース

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キン冷えのビールと枝豆は夏の風物詩!
 猛暑の夏に、お酒の飲まれ方が変わりはじめている。「暑すぎて、ビールが飲みづらい」……そんな声が、広がっているのだ。実際、35℃を超えた猛暑日となると、ビール特有の“苦み”や“コク”が飲みにくさにつながるという。各社が気候と関連付けた新商品の開発や販促を行っているが、“猛暑”という逆境があっても、"夏の風物詩"としてのビールの価値を保ち続けることができるのか。代表してサントリー株式会社マーケティング本部ビール・RTD部の永尾真紀氏に話を聞いた。

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■苦味・コクが“飲みにくさ”に…猛暑下で進む、ビール以外への流出

 年々“暑さ”が更新されるなかで浮かび上がった「35℃以上では、ビールの売上が鈍化する説」。2022〜2025年の「食MAP」調査をもとに気温帯別の飲酒指数(年間平均を100とする)を分析したところ、気温が上がるにつれて酒類全体やRTD(そのまますぐに飲める缶チューハイなど)の指数はほぼ横ばいから上昇傾向を見せる一方、ビール類の指数は35℃以上で明確に落ち込むことが確認できたという。

 サントリーが行った2026年4月の調査(ビール類週3以上飲用者・n=931)でも、「1杯目はビールだが2杯目以降はビール以外を飲むことが増える」が54%、「1杯目からビール以外のものを飲むことが増える」が16%と、合わせて7割が猛暑下でビール以外に流れる傾向が示されている。「ビールしか飲まない」は24%、「お酒自体を飲まなくなる」は6%という結果だった。

 お酒を飲む人の間には“最初の一杯はビール”という価値観が長らくあり、人によってはグラスやジョッキの半分以上が最初のひと口で無くなってしまうこともある。思わず「クーッ!」と発してしまうビール本来の“味わい”や“コク”の部分が、暑すぎる環境下では「飲みにくさ」につながってしまうという。

 気温が高いと注いだビールもグラスの中で早く温まっていくため、一般論として、冷えていたはずの飲み始めに比べ、時間が経過したものは“苦味”がより際立ってしまう。ビールの苦味はホップ由来の個性であり、簡単に取り除けば“ビールらしさ”自体が失われかねない――このジレンマこそが、各社が頭を悩ませ、初夏のビール商戦で試行錯誤を重ねているポイントといえる。

 アサヒビールは2026年5月に冷涼感を生むホップと0度以下の貯蔵製法で「飲んだ瞬間の冷涼感」と「澄み切ったキレ」を訴求する数量限定品『アサヒスーパードライ冷涼辛口』を発売。「仕上げに3分冷凍庫DRYキャンペーン」として、『スーパードライ』を飲用前に冷凍庫で3分冷やす飲み方を提案する販促キャンペーンも行っている。キリンビールも6月30日に、冷やすと朝顔や花火の絵柄が浮かぶ『一番搾り 限定夏示温インキデザイン缶』を発売。視覚面から“冷感”を演出する動きを見せている。猛暑の常態化に向け、各社が味わいや体験の設計を問い直している段階にある。

■猛暑下で求められるビールとは?「単純に適温を保てばいいわけではない」

 サントリーでは『サントリー生ビール』の初の限定商品として『サントリー生ビール〈夏生〉』を7月7日に発売した。「暑すぎるとビールが飲みづらい」という声を受けて、暑い夏にこそおいしく感じる生ビールを体現した商品になっているという。

「35℃を超えるとビールの販売が鈍化する傾向があり、改めて調査したアンケートでも『暑すぎると他のものを飲む頻度や量が増えていく』という結果が出ました。ビールからの流出先としてあがるのは、氷を入れて飲める柑橘系チューハイやハイボールなど、炭酸で割るタイプのお酒です。当社では、ビールの適温は夏だと4〜6℃、冬で6〜8℃をおすすめしていますが、単純に適温に保てばいいわけないということも、分かってきました」(サントリー株式会社マーケティング本部ビール・RTD部の永尾真紀氏)

 麦芽やホップ由来のたんぱく質や苦み成分からなる泡、強い炭酸が生む“のどごし”は、ビールならではの飲用体験である。他のお酒ではなかなか代替ができない部分。永尾さんも「その日の終わりを締めくくる一杯、区切り、労いといった要素は、穀物由来であるビールにしか担えないと感じている」という。

「だからこそ、ビールならではの“味わい”や“のどごし”を保ちながら、猛暑下でも美味しいビール、夏にこそ飲みたいビールとはどんなものであるのかを議論する必要がありました。『サントリー生ビール〈夏生〉』の開発段階では、この話し合いを徹底的に行いました」

 難しかったのは、通常の『サントリー生ビール』自体が2025年12月下旬から「沁みわたるのどごし」をコンセプトに中味・パッケージを刷新したばかりで、その評価を横目に見ながら〈夏生〉を並行して開発しなければならなかった点だ。同じ“沁みわたるのどごし”という言葉を掲げていても、夏ならではの気持ちいい沁みわたり方とはどんな体感なのか、イメージをすり合わせるのに時間を使ったという。

「“のどごし”という言葉は、ビールのほかに麺類をすする時ぐらいしか使いません(笑)。そうめんののどごしを引き合いに、“つるんとした”感覚を目指し、中味の開発を進めていきました。なかなか言語化しづらい部分でもあり、今回のように気候に合わせて味わいをチューニングしていくのは、チームとしても新しいチャレンジでした」

 猛暑下でビールが敬遠される理由として挙がった「苦味」「コク」。新商品の開発では、これらを単純に薄めるのではなく、“意識の向け先”を変えるアプローチを取ったという。

「サントリー生ビールの開発で大切にされているのは、喉で感じる刺激感です。〈夏生〉では、刺激感より“香り”や“爽やかさ”を先に感じやすくする設計を行い、スムースなのど通りにこだわりました。希少品種の『カリスタホップ』『サファイアホップ』を一部使用し、仕込み条件も工夫しています。苦味やコクを抑えたというより、他の要素の方に最初に意識が向くようにすることで、爽やかな香りとスムースなのど通り、ビールとしての満足感を両立させました」

 アルコール度数を通常の『サントリー生ビール』と同じ5%ではなく5.5%に設計したのも、この満足感を保つためだ。「飲み口が軽すぎると、飲み終わった後にビールを飲んだ満足感が損なわれてしまいます。香味の輪郭と後味のすっきりさのバランスをつくり込む目的で度数を微調整しました」。

■「猛暑限定」コンセプトに反響、出荷は計画の2倍で好調に推移

 パッケージのメインカラーはアイスホワイトが使用され、サントリー生ビール本体の爽やかな青色の印象を保ちながら、店頭での識別性を確保するための工夫が凝らされている。

 あえて「猛暑限定」という言葉を冠したのも、年々厳しさを増す夏へのストレスに寄り添いたい思いからだという。

「単に夏限定とするよりも、猛暑だからこその楽しみとして提案したいと考えました。『猛暑』は硬い印象になりやすいので、水色の爽やかな地の上に文字を載せるなど、バランスには苦労しました」

 発売は全国的に気温が30℃を超えるタイミングと重なり、出荷は計画の約2倍で推移しているという。SNS上でものど通りの良さや「猛暑限定」というコンセプトへの反応が好意的に寄せられている。「のど通りの部分を評価してくださる声が多く、『猛暑限定』という言葉自体にも興味を持っていただけているようです。想像以上の反響をいただいていて、嬉しく思っています」。

 ビールがのどをつたっていく感覚は、味わいに関する言葉だけではなかなか説明のつかない部分。だからこそ、「体感いただく難しさも感じている」と永尾さん。

「ビール自体が“体感するお酒”でもあります。『サントリー生ビール』の場合は、のどごしを体感いただくだけではなく、“沁みわたるのどごし”であることにこだわっています。ビールを飲んだ時に感じる気持ちいい“体感“。この感覚を追求してこそ、ビールのおいしさを伝えられると考えています。今回の〈夏生〉を入り口にして、ビールに対して改めて目を向けてもらいたい。夏に飲むビールならではの爽快感を、追い求めていきたいです」

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  • 日本のビールはコクのあるタイプしかないからダメなんだよ。ああいうのは秋〜冬、特に冬に冷やさず飲むのがうまいぞ。夏はオンザロックくらい氷入れて飲むべし。
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