“本当の友だち”をつくるのは難しい 唐沢寿明&広瀬アリスが『トイ・ストーリー5』を語る

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2026年07月18日 09:10  クランクイン!

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クランクイン!

(左から)広瀬アリス、唐沢寿明  クランクイン! 写真:松林満美
 おもちゃの時代は、もう終わり…? 公開中の映画『トイ・ストーリー5』では、シリーズ史上最大の危機がウッディらおもちゃに迫る。今回の最大の敵は、最先端タブレットのリリーパッド。8歳になったボニーは、友だちづくりのためにおもちゃで遊びたい気持ちにフタをしておもちゃを“卒業”し、リリーパッドに夢中。タブレットを黙々と触り続けるボニーを見て、「このままでは遊びの中で輝いていたボニーの笑顔が失われていく」と危機感を感じたジェシーは、ウッディに助けを求め、ボニーの心を取り戻すため立ち上がる。今回クランクイン!は、ウッディを30年以上演じる唐沢寿明と、リリーパッドに抜てきされた広瀬アリスにインタビュー。新作発表の際は、“おもちゃVSデジタル”の構図に、「まだ語られるべき物語があった!」と納得したファンも多いと思うが、長年シリーズを見守ってきた唐沢は物語の本質は変わっていないと語る。

【写真】プライベートでも親交のある唐沢寿明&広瀬アリスの仲良しショット

■広瀬「リリーパッドには彼女なりの正義がある」

 テレビドラマ『ハラスメントゲーム』(2018)での共演をきっかけに、プライベートでも仲を深めてきた唐沢と広瀬。そんな二人が演じるウッディとリリーパッドは、敵対する関係で物語が進む。

 前作『トイ・ストーリー4』でウッディは、ボニーのもとを離れ、“迷子のおもちゃ”の道を選択した。あの時、ウッディ役に別れを告げるような感覚になったかと唐沢に尋ねると、「『ウッディを演じるのは今回が最後かな』と毎回思っています。作品の間隔が長いんですもん。もうちょっとマメにやってほしいよ」と本音を漏らす。

 広瀬は、すでに本作を収録時と、米ロサンゼルスで開催されたワールドプレミア、吹替の試写で3回も見ているそう。本作について「おもちゃで遊びながら育ってきた人間としては、今の時代をしっかり描いているなと感じました。リリーパッドはおもちゃと対立するのですが、彼女なりの正義があるんです。時代とともに、友だちづくりの方法が変わってしまったんでしょうね。見ていて泣いてしまったシーンもあったので、やっぱり『トイ・ストーリー』が好きだと改めて感じさせられました」とファンも納得の出来栄えだと称する。

 本作で描かれる子どもたちは、タブレットにくぎ付けだ。時代とともに子どもたちの遊び方が変化したが、変わったのはそれだけではない。ウッディも“劣化”が目立つようになった。唐沢は今回のウッディの見た目について、本国でウッディ役を務めるトム・ハンクスのインタビューを読んで、納得したことがあったとのこと。

■唐沢「この作品のテーマは普遍的」

 「トム・ハンクスさんのインタビューを読んだのですが、ウッディは帽子の着脱を何十回も何百回もやるから、今回頭の塗装がハゲてしまった。お腹が出ているように見えるのは、経年劣化で綿が下にずれてくるんだと。それを読んで、なるほどなと思いました。予告編を見た時は、子どもか何かに引きずられてハゲちゃったのかなと考えていたのですが、ウッディは髪の毛じゃないから、そりゃあハゲないよなって(笑)」とトムの言葉に納得させられたと明かす。

 時代の流れを受け、変わったものがたくさんあるが、一方で“時が流れても変わらないもの”も。唐沢は『トイ・ストーリー5』について「物語が初期の頃に戻ったんじゃないか」と分析。

 「30年前はもちろんタブレットはなかったわけだけど、第1作目ではアンディの家に最新のおもちゃとしてバズ・ライトイヤーが来る。子どもは新しい物に夢中になるから、ウッディは嫉妬するんですよ。その流れは本作でも変わらなくて、今回はバズからリリーパッドになっただけ。デジタルうんぬんというより、やっぱり子どもは新しい物に食いついちゃうんですよね。そう考えると多分同じ構図と言えるんじゃないかな」

 「この作品のテーマは普遍的なんです。今1作目の『トイ・ストーリー』を見ても、古さを感じさせないですし、見応えがあると思います。“子どもたちが眠った後に、おもちゃたちが動き出す――”。この普遍的な設定は、時代に左右されないんじゃないかと感じます」と時が流れても物語の核は変わっていないと語る。

 加えて、本作は“忘れられる側”の感情もうまく描いていると唐沢は続ける。「今回登場するスマーティー・パンツ、スナッピー、アトラスの“テック・トリオ”は、まだ使えるのに使われなくなったおもちゃ。子どもって食いつくスピードも速いけど、飽きて手放すのも速い。そこにフォーカスを当てると、悲しい物語が生まれる。本作は、そんな“忘れられる側”の感情をうまく表現していますね」と述べる。

 “変わらないもの”といえば、唐沢の芝居もずっとわれわれの記憶にあるウッディのままだ。30年前に立てた演技プランが功を奏したのかと聞くと、「演技プランという大層なものというよりかは、絵を見て、その動きに合わせて気持ちを乗っけていくだけなんです」と意外にも目の前の芝居をシンプルに続けてきただけなのだと説明。「普通の芝居だともう少し余裕があるんですけど、『トイ・ストーリー』はテンポが速いから、どんどん先に進んでしまって、乗り遅れそうになるんです」と食らいつくような思いで声を吹き込んでいるとも明かす。

 ところで、本作は「友だちづくり」が1つのテーマとして描かれるが、二人にとって「友だちづくり」は容易だったのだろうか? 質問を投げかけると、唐沢は「“友だち”といえば、アリスしかいないでしょ。“友だち”を語らせると右に出る者はいないよ」と広瀬に無茶振り。広瀬は「わたしがどれだけ友だちいないか知ってるでしょ!!」と言いつつ、一人でも理解してくれる人がいればいいと、友だちは数ではなく質が大切だと語る。

 「本作の子どもたちは、黙ってタブレットを見続けて、画面上で友だち同士のつながりや絆を感じていますが、個人的にはたった一人だとしても理解してくれる友だちのほうが欲しいかもしれません。わたしはワンちゃんを飼っているのですが、(ジェシーが偶然迷い込む家で暮らす少女の)ブレイズに相棒の豚さんがいるように、友だちは人間でなくてもいい。数は少なくてもいいので理解してくれる人がいればいいかなという考えです」と語る。

 また唐沢も、“本当の友だち”をつくるのは難しいと同調。「俺なんかも友だちっていっぱいいるけど、よく考えたらただの知り合いなのかもしれない。“本当の友だち”ってなかなかできづらいと思うんです。きっと『トイ・ストーリー5』が刺さるのは、そういう部分を描いているからじゃないかと思うんです。簡単にできないからこそ、みんなが難しいと思っている。だから響くんだと思います」(取材・文:阿部桜子 写真:松林満美)

 アニメ映画『トイ・ストーリー5』は公開中。

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