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「歌舞伎の舞台に、立ち続けさせていただけたら」
女優であり舞踊家の市川ぼたん(堀越麗禾・14)が、父・市川團十郎白猿(48)、弟・市川新之助(堀越勸玄・13)とともに、12日放送の『SUNDAYブレイク』(フジテレビ系)に出演した。
團十郎は「ぼたんが歌舞伎の舞台に立ち続けられる環境も、こういう時代でもあるので、文化だとか決まりだってことのみならず、親としてという意味と團十郎ということの中で考え直す立場でもあるってことをわきまえて捉えたい」と親心をのぞかせた。そのうえでの冒頭のぼたんの発言があった。
いま3人は歌舞伎座「七月大歌舞伎」夜の部「春興鏡獅子」で親子共演真っ最中。團十郎が務める小姓弥生の優美な舞いと、後半の獅子の精のダイナミックな毛振り舞いとともに、ぼたんと新之助が可憐な胡蝶の精として華やかに舞い踊る、格調高く華麗な歌舞伎舞踊の大作だ。
この親子共演を一目観たいと歌舞伎座に足を運ぶ成田屋推しのファンも多い一方で、客席からは「歌舞伎座の舞台に女性が立てるの?」「女はダメなんじゃなかった?」という疑問の声も聞こえてきた。
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歌舞伎に造詣の深い日本女子大名誉教授・細川幸一氏に解説を求めた。「ぼたんと新之助が演じる胡蝶の精は、子役が演じるのが通例です。子役であれば女性でも可能です」(細川氏、以下同)
では、すでに14歳という大人の入り口に立つぼたんが、今後も歌舞伎の舞台に立ち続けたいという願いはかなうのだろうか。
「子役以外の女性が歌舞伎座の舞台に立ったケースは過去にあります。最近では、2023年10月に七代目尾上菊五郎の長女・寺島しのぶ(53)が『文七元結物語』で中村獅童 (53)と夫婦役を演じ、大きな話題になりました。おそらく興行主である松竹にとって、世論を測る意味合いもあったのでしょう。松竹としては、観客からの賛同が得られるのであれば、今後も女性が舞台に立つ機会を増やしていこうという考えがあると思います」
その好感触を受けてか、2025年12月には寺島が再び『芝浜革財布』で獅童と夫婦役として歌舞伎座の舞台に立った。
「しかし、寺島の出演はあくまで『客演』、『ゲスト』的な位置づけであり、歌舞伎俳優として認められたわけではありません」と細川氏。過去の例も同様だという。
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では、市川ぼたんの場合はどうか。
「幼少期から弟の新之助とともに歌舞伎の舞台経験を積み、現在14歳。彼女の今後の舞台活動の可否は、歌舞伎界における女人禁制のあり方を大きく左右するでしょう。彼女の資質と家の格を考えれば、歌舞伎俳優として認められる可能性もあると思います」
父が名乗る團十郎は大名跡であり、ぼたんはその長女である。
「以前、團十郎から娘を歌舞伎俳優にしたいという意向を聞いたことがありますし、寺島しのぶも大名跡尾上菊五郎の娘です。また、同じく大名跡である松本幸四郎に歌舞伎の定義について尋ねたことがあり、『男だけで演じる演劇と定義したら歴史の教科書を塗り替えなければならなくなる』と答えました。歌舞伎の起源は出雲阿国(いずものおくに・女性)の『かぶき踊り』とされているからです。
案外、歌舞伎界内部からの反対は少ないように思います。最も興行主である松竹が気にしているのは観客の反応でしょう。ただし、これはフェミニズム的な文脈とは切り離して考えるのが無難です」
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脈々と受け継がれてきた女形という巧みな芸を壊すべきではないとも指摘する。
「男性が女性を演じることは女性ではないゆえに工夫が必要で、それが技となり、究極の美となっている側面があることは確かです。
ですから新しい演目や演出を変えた現代的な趣向で女性が登場する機会を設けるのが伝統を守りながら時代に合った変革を遂げる歌舞伎として相応しいのではと思います。寺島が出演した『文七元結物語』では、山田洋次監督が脚本・演出を務め、舞台装置も従来のものではなく、現代的な意匠が施されていました。もともとは『人情噺 文七元結』です。まずは古典歌舞伎とは違う形で松竹は寺島を起用しようとしたのだと思います」
歌舞伎の世界は、イメージとは異なり、実に柔軟で「なんでもあり」の世界でもある。
「中村獅童と初音ミクのダブル主演による『超歌舞伎』が歌舞伎座等で上演されています。歌舞伎に最先端のデジタル技術を融合させた舞台です。観客がペンライトを持って『推し』を応援するかなり異色の舞台です。歌舞伎俳優の登用でも、二代目市川猿翁の息子の俳優香川照之(60)が46歳で歌舞伎俳優・市川中車としてデビューしたときは『異例』、『ありない』と騒がれましたが、今やすっかり溶け込んでいます」
歌舞伎には伝統を守りながらも、時代に合わせて変化を重ね、興行を維持してきた歴史がある。
伝統の壁を柔軟に越えながらも、エッセンスを引き継ぎ、次代へつなげていけるのか。今後もぼたんの活躍には期待せずにはいられない。
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