不運の連続でもデイ2完走を果たした勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2026年WRC第10戦ラリー・フィンランド 8月1日(金)、フィンランドのユヴァスキュラを拠点に2026年WRC世界ラリー選手権第10戦『ラリー・フィンランド』のデイ2が行われた。SS2からSS10までの計9本(総距離約135km)が実施され、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が2位エルフィン・エバンスに16秒3差をつけて首位のままデイ2を終えた。
TGR-WRTのエバンスが2番手、TGR-WRT2のサミ・パヤリが3番手、TGR-WRTのオリバー・ソルベルグが4番手と、トヨタGRヤリス・ラリー1が上位4台を独占する展開となった。ヒョンデ・シェル・モービスWRTのアドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)は午後の豪雨で順位を大きく落とし、6番手でデイ2を終えている。
一方、日本の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合8番手でデイ2を終えた。
舞台はユヴァスキュラ周辺の林道グラベルステージ。大小のジャンプと高速コーナーが連続するフィンランド特有の難ステージに、市街地の特設コース(スーパースペシャルステージ)を加えた計9本で構成された。午前中はドライコンディションが続いたが、午後からは雷雨を伴う激しい豪雨がコースを直撃。路面はたちまち変貌し、各所に大きな水たまりが形成される過酷なコンディションとなった。
デイ2の出走順はドライバーズ選手権ランキングの逆順で決定する。前日デイ1の首位エバンスが1番手出走となり、路面の砂利や砂を掻き出す『ロードオープナー』の不利な立場を担うことになった。午前中はドライ路面のため出走順の影響は限られたが、午後の豪雨以降は早い出走順が大きなアドバンテージとなる奇妙な逆転現象が生まれることになる。
まずSS2『Laukaa 1』(18.16km)は逆走(リバース)仕様の超高速グラベルでスタート。オジエが8分26秒9でトップタイムをマークし、首位をキープする。勝田は10秒0差の10番手タイムにとどまり、総合9番手でSS2を終えている。
続くSS3『Saankas 1』(15.82km)ではパヤリが7分14秒9のベストを叩き出してステージウィン。SS2後に総合7番手だったパヤリがこの1本で一気に3番手まで浮上する。SS4『Sydänmaa 1』(19.04km)ではオジエが8分34秒7でウィン。パヤリが5秒差・エバンスが5秒差で続き、トヨタ勢が上位3タイムを独占する盤石な展開だ。
午前最後のSS5『Hoho 1』(9.55km)でもオジエが4分53秒8でウィン。SS4から2連続ウィンを達成した。一方、このSS5でヒョンデのティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)に悲劇が訪れる。高速区間で左フロントサスペンションを大破。SS4後に総合4番手だった順位が一気に12番手へと転落した。
それでもヌービルはリタイアを選ばなかった。ロードセクションの路肩で応急処置を敢行。予備のサスペンションアームを自力で装着し、サービスパークまで自走した。昼のサービスで緊急修復を完遂。午後のループへの参加にこぎつけた。
難を逃れたヌービルも含め、各チームが昼のサービスを終えて午後のループへと向かう。SS6『Laukaa 2』(26.16km)はパヤリがウィン。フルモーが4秒差の2番手タイムを記録し、総合順位はオジエ首位・パヤリ2番手・フルモー3番手(パヤリとわずか4秒差)という接戦が続く。
しかしSS7『Saankas 2』(15.83km)の直前、状況は一変した。猛烈な雷雨がステージを直撃する。序盤は雨が比較的弱く、1番手出走のエバンスと2番手の勝田がその恩恵を受けた。後半は路面が粘土状の泥に覆われ、グリップが完全に消失する。
エバンスは雨が強まる前に滑り込み、7分12秒9のステージウィンを飾る。勝田も7分15秒2の全体2番手タイムをマーク。SS6後の6番手から4番手へと浮上する。一方、豪雨の直撃を受けたフルモーは8分42秒7という驚愕のタイムを刻む。SS6後に総合3番手だった順位が、わずか1本で7番手へと大転落した。
雨の残る路面で迎えたSS8『Sydänmaa 2』(19.04km)では、状況がふたたび逆転する。今度は前半の出走者が最悪のコンディションを強いられた。この日最大の悲劇が勝田を待ち受けていた。スタート直前、フロントガラスが内側から完全に結露する。外気の冷気とエンジンの熱が衝突した現象だ。
除曇ツールを持ち込んでいなかった勝田に打つ手はなく、視界ゼロのまま時速200km超のグラベルへ飛び込むほかなかった。最終タイムは11分27秒3で、エバンスの9分30秒8からおよそ2分もの大差を喫して総合4番手から8番手へと一気に急落した。
一方、雨上がりのクリーンな路面を走ったソルベルグがSS8でステージウィン(9分10秒3)を飾り、オジエも9分14秒2で2位エバンスとの差を26秒1に広げて独走態勢を固めた。同様の結露トラブルに見舞われたパヤリも総合2番手の座をエバンスに明け渡し、3番手に後退した。
続くSS9『Hoho 2』(9.55km)では、フルモーがSS7の大転落からステージウィンで意地を見せる。ソルベルグも2番手タイムで猛追し、表彰台争いでパヤリとの差を14秒5まで縮めた。勝田はSS9でも滑りやすいジャンクションでバンクに激突しながらもコースに戻り、走行を継続している。
SS9を終えた各チームが市街地へと戻り、デイ最後のSS10『Harju 2』(2.58km)へと臨む。豪雨から約1時間半が経過した路面は依然ウェットのまま。このステージで勝田はヌービルとともに2分11秒5のラリー1最速タイムを記録し、同タイムトップを分け合う意地の走りを披露した。フルモーはコンクリートバリアへのクラッシュを喫したが走行を継続している。
午前ループではオジエがSS2・SS4・SS5の3本でステージウィンをマーク。午後の豪雨という荒れたコンディションの中でも首位の座を堅守し、2位エバンスに16秒3の余裕を持ってデイ2を締めくくった。TGR-WRTが1〜4番手を独占する強さを見せながら、いよいよデイ3へと向かう。
翌デイ3(土曜日)はSS11からSS18までの8本が行われる。フィンランドを代表する超高速ジャンプ林道を舞台に、日本時間午後2時1分にSS11『Parkkola 1』がスタートする予定。4番手ソルベルグがパヤリとの14秒6差を詰めて表彰台を狙うのか、また8番手の勝田がどこまで順位を取り戻せるかが注目だ。
[オートスポーツweb 2026年08月01日]