2026年F1第11戦ハンガリーGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ) 大きな責任を担うF1チーム首脳陣は、さまざまな問題に対処しながら毎レースウイークエンドを過ごしている。チームボスひとりひとりのコメントや行動から、直面している問題や彼のキャラクターを知ることができる。今回、筆者のF1ジャーナリスト、ネイト・ソーンダースは、ハンガリーGPでのフェラーリ代表フレデリック・バスールに焦点を当てた。
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■期待が高まるなか、ミスの連発でいつものパターンに陥る
今シーズンここまでのフェラーリは、どこか奇妙なシーズンを送っている。
ルイス・ハミルトンがバルセロナ・カタルーニャGPで優勝した時には、フェラーリはいよいよタイトル争いに加わることができるのではないかという期待が高まった。シャルル・ルクレールがシルバーストンで挙げた勝利も、チームの士気を大いに高める結果となった。
しかし、それ以降は、とりわけハミルトンに関して言えば、「いつものフェラーリ」に戻ってしまったかのような展開が続いている。優勝したバルセロナの後、ハミルトンは繰り返しペナルティを受けている。その中には自身の責任によるものもあれば、そうでないものもあった。
シルバーストンではフライングスタートによって5秒加算ペナルティを受けた。スパ・フランコルシャンではオープニングラップでジョージ・ラッセル(メルセデス)と接触したとして5秒加算ペナルティを科され、ブダペストでは予選でオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のアタックを妨害したとして3グリッド降格処分を受けた。さらに決勝ではピットレーン速度違反により5秒加算のペナルティを受け、その結果4位を失うことになった。
F1史上最大の成功を収めてきたドライバーにとっては、規律を欠くような奇妙な流れであり、フェラーリでの初優勝によって得た勢いを失う結果となっている。
ハンガリーGPで期待外れの結果に終わった後、フェラーリ代表フレデリック・バスールは、すべての責任をハミルトン一人に負わせることはできないと語った。
「すべてのペナルティを同じように扱うのは難しい。私に言わせれば、(スパでの)ジョージ・ラッセルとの接触はレーシングアクシデントだ」とバスールは述べた。
「仮にもう一度同じ場面があったとしても、私は彼にまったく同じ行動を取るよう求めるだろう。縁石の上へ逃げることはできないのだから。今日は、おそらく一連のミスが重なった。ピットストップではタイヤをロックさせ、そのためにコンマ数秒を失った。そして、その遅れを取り戻そうとしてピットリミッター解除のタイミングを限界まで攻めた結果、最適なタイミングよりわずかに早く解除してしまったのだろう」
ハミルトン自身は、すべての責任は自分にあると述べている。
「ポジティブな気持ちで夏休みに入れるとは言えない。この3戦はひどいレースだった。全体として見れば、僕たちはまだ戦える位置にいるし、そう遠くない位置にいる。でも、こういうレースでタイトルは失われていくものなんだ」
この最後の言葉は、近年のフェラーリを見続けてきたファンなら誰もが共感するものだったはずだ。期待を大きく膨らませながら、それに応えられずに終わる――そんなフェラーリらしいいつものパターンにはまり始めている。シーズン前半は大きな期待を抱かせたものの、サマーブレイクを前にして、その嫌な既視感が再びチームを覆い始めているように見える。
■絶好のチャンスを逃したハンガリー。「あらゆる面で改善が必要」
ハンガロリンクは、本来であればフェラーリに最も適したサーキットの一つと考えられていた。タイトでコーナーが連続するレイアウトはフェラーリのマシンコンセプトに合っており、エンジンパワー不足という弱点も比較的露呈しにくいからである。
それにもかかわらず、勝負どころでフェラーリは後手に回った。ハミルトンは金曜日のフリー走行でトップタイムを記録したものの、土曜日の予選ではマクラーレンのランド・ノリスにポールポジションを奪われた。メルセデスが精彩を欠いていた時だけに、これは極めて大きなチャンスを逃したと言える。
しかし、本当の失望は決勝で待っていた。
フェラーリはスタート時にソフトタイヤを選択し、グリッドからの発進でより高いグリップを得られるはずだったにもかかわらず、すぐさま優勝争いから脱落してしまった。
ハミルトンとルクレールはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の後塵を拝することになった。フェルスタッペンは予想外の2位でフィニッシュし、ランキング首位のアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)が3位に続いた。
ハミルトンはチェッカーを4位で受けたものの、ピットレーン速度違反によるペナルティのため、最終的にはチームメートのルクレールにも逆転を許した。
フェラーリにとって、実に歯がゆい週末だった。何がうまくいかなかったのかを説明するバスールの表情には、明らかに苛立ちがにじんでいた。
「レースペースを本当に理解するのは難しい。金曜日に1位と2位だった場合、日曜日にはもっと良い結果を期待するものだ。しかし実際には4位と5位だった。つまり良い日曜日ではなかったということだ」とバスールは語った。
「首位争いをするには、今日はミスが多すぎた。スタートでのミス、ペナルティ、マックスにコース上で抜かれたこと、そしてピットストップのたびにコンマ2〜3秒を失い、そのたびにポジションを落としてしまった。今日はすべてがうまくいかなかった。間違いなく、あらゆる面でもっと良い仕事をしなければならない」
彼の言うとおりだ。フェラーリは、サマーブレイクを最高の形で迎える絶好の機会を逃した。それはタイトル争い全体の流れを変えられるかもしれない、大きなチャンスだった。
しかし現実では、ポイントリーダーのアントネッリがハミルトンの前でフィニッシュしたことで、サマーブレイクを前にふたりのギャップは50ポイントに拡大することとなった。
[オートスポーツweb 2026年08月03日]