パフ・モータースポーツの9号車ランボルギーニ・テメラリオGT3 カナダ籍のパフ・モータースポーツは、母国における若手ドライバーの支援やカナディアン・タイヤ・モータースポーツ・パークでの新たな展開に注力するため、2026シーズン終了をもってIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権への参戦を一時休止すると明らかにした。
スティーブ・ボルトロッティ率いる同チームのスタッフには、先週末にロード・アメリカで開催された『モチュール・スポーツカー・エンデュランス・グランプリ』の期間中に、この決定が伝えられた。このレースでは、今年から実戦投入された同チームのランボルギーニ・テメラリオGT3が、耐久レース初優勝を飾っている。
パフ・オートモーティブの社長兼CEOであるクリス・パフがオーナーを務めるこのチームは、2019年からウェザーテック選手権の主力チームとして活躍してきた。これまでに『ウェザーテック・スプリント・カップ』の初代タイトルを獲得したほか、GTDクラスおよびGTDプロクラスでのシーズンチャンピオン、さらにはデイトナ24時間レースでのクラス優勝も果たしている強豪だ。
当初はポルシェのマシンを使用し、マクラーレンでの1年間の活動期間も挟み、近年GTDプロクラスではランボルギーニのファクトリーパートナーとして活動。ウラカンGT3 EVO2から切り替える形で、今年のセブリング12時間レースではテメラリオGT3を世界で初めて実戦投入していた。
ロード・アメリカでの歴史的勝利に先立ち取材に応じたクリス・パフは、チームとしての活動休止の決定は、パフォーマンスに起因するものではないと語った。
「いや、そういうわけではないんだ」と彼は言った。
「苦労はあったが、ランボルギーニとの仕事は素晴らしいものだった。彼らは我々のニーズに対して非常に迅速に対応してくれたらからね」
「まったく新しいマシンで挑む以上、間違いなく困難な挑戦になることは分かっていた」
「(レース活動は)一時休止するが、復帰の可能性は確実に残しておきたいと考えている。我々は長い間この活動を続けてきた。もし私が単に『もう終わりだ、別のことをする』とか『完全に撤退する』と考えているなら、そう言っているはずだ」
「しかし、実際にはまだ何も決まっていない。来年に向けていくつかの可能性を模索しているが、現時点で発表できるような段階にはないのだ」
「チームのメンバーに対しては、もし来年参戦しないことになった場合、彼らが別の就職先を探す機会を確保できるよう、早めに状況を伝えておく必要があった」
パフは、パートナーであるピーター・トムソンやアレク・クルスタジッチとともに2025年12月にCTMP(カナディアン・タイヤ・モータースポーツ・パーク)を買収したことや、カナダの才能あるドライバーを支援したいという個人的な思いが、今回の決断の要因になったと語った。
同ブランドはこれまで、ザック・ロビションやスコット・ハーグローブといったドライバーを支援してきたほか、最近ではザカリー・ヴァニエもサポートしている。ヴァニエは今年、ロングビーチで開催されたウェザーテック・チャンピオンシップにおいて、同チームのテメラリオGT3でデビューを果たした。
「サーキットに関しては、CTMPを買収したので、そこをどのように拡張していくかという大きな計画がある」とパフは述べた。
「その計画の一部には、モータースポーツのエコシステム全体を構築することや、カートに取り組む子どもたちを育成・支援することが含まれている。私自身、10歳の息子がカートレースに出場している。彼は幸運なことに、私が深く関わることができている」
「しかし、資金力などが充分でない子どもたちにもチャンスを作りたいと考えている。カートを卒業する段階で才能があれば、本格的なレーシングカーへとステップアップできるような環境だ」
「我々はそうした取り組みを検討している。パフ・モータースポーツとしての事業は間違いなく継続していくし、今後どのような活動を行っていくか、さまざまな可能性を探っている」
「IMSAから完全に撤退するわけではない。今後も関わりを持ち続けたいと考えており、まさに今、いくつかの興味深いプロジェクトに取り組んでいるところだ」
パフは、IMSAのトップカテゴリーからの離脱は一時的なものにとどまる可能性を示唆し、IMSA公認のワンメイクシリーズへの参戦についても選択肢から除外してはいないと語った。
「(2028年には)チームとして本格的に復帰している姿をお見せできるかもしれない」と彼は言う。
「何人かのアマチュアドライバーと話をしているのでで、必ずしも『GTDプロ』クラスではないかもしれないね。スーパー・トロフェオやポルシェ・カレラ・カップのような活動も行える、包括的なプラットフォームを構築したいと考えている」
BMW陣営のポール・ミラー・レーシングも(少なくとも現在の体制のままでは)2027年のグリッドに並ばない見通しであることから、同シリーズでは来シーズン、GTDプロクラスの参戦台数が減少する可能性がある。
しかし、Sportscar365が得た情報によると、ランボルギーニはGTDプロクラスへの参戦を継続する公算が高いようだ。現在、ファクトリー支援プログラムの引き継ぎに向けた入札プロセスが進行中で、ライリー・モータースポーツとウェイン・テイラー・レーシング(WTR)が応札しており、WTRが有力候補と見られている。
IMSAのパドックで、いまやトレードマークとなった赤い格子柄のカラーリングによりファンから愛される存在となった同チーム。その歩みを振り返り、パフは、チームがこれほどの成功を収めるとは当初想像もしていなかったと語った。
彼らの成功の大部分は、ポルシェとともに築いたものだ。ロビションとローレンス・ファントールが2021年のGTDクラスでチャンピオンに輝き、翌年にはマット・キャンベルとマシュー・ジャミネがGTDプロクラスを制覇(デイトナ24時間でのクラス優勝も含む)した。
「その功績の多くは、スティーブ(・ボルトロッティ)のおかげだ」とパフは述べた。
「彼こそがレース運営の実務を担っている。私はどちらかと言えばビジネス面、つまり資金の拠出はもちろん、スポンサーの獲得などを担当してきたが、実のところ、そうした役割を楽しんでもいるね」
「正直なところ、ここまでの展開は想像していなかった。いまやサーキットの所有・運営にも乗り出しているが、それはまた別のビジネスの側面と言える」
「自動車業界は、レースの世界と同様に劇的な変化を遂げている」
「モータースポーツへの関与は、自動車メーカーにとってますます重要な優先事項になりつつあると言えるだろう。だから我々もその一翼を担いたいと考えているし、豊富な経験もある。そこに大きなチャンスがあると感じているんだ」
[オートスポーツweb 2026年08月04日]