「有名俳優でも“出禁”になる」元ホテルマンが見た、残念な客の共通点/「お客様は神様」はもう昔? 厚労省が挙げる“ホテルが宿泊拒否できる行為”を調べてみた

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2026年08月08日 16:01  日刊SPA!

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※画像は生成AIによるイメージです
どれだけ年収や肩書きが立派でも、レストランやホテルのスタッフに対する態度で、その人の評価が180度変わってしまう——。お連れの女性が帰り際に「すみません、彼がご迷惑をおかけして……」とスタッフに謝罪する光景は、高級ホテルの現場では決して珍しくありません。
「お客様は神様」という空気は、いま静かに変わりつつあります。厚生労働省によると、2023年12月に施行された改正旅館業法では、悪質なカスタマーハラスメントを行う客の宿泊を、ホテルや旅館側が拒否できるようになりました。スタッフへの横柄な態度は、もはや法律のレベルで“見られている”時代に入っているのです。

今回ご紹介するのは、過去に大きな反響を呼んだ実録エピソードから、元ホテルマンが見た「残念な男性客」たちの姿。年収数千万円クラスの富裕層や、名の知れた著名人であっても、スタッフからは冷ややかな目で見られてしまう瞬間があるといいます。

記事の後半では、宿泊業界のカスハラ対策をめぐる法制度の動きを、より具体的にご紹介します。「客だから」という言い訳が通用しない時代、あなたの振る舞いは、本当に大丈夫でしょうか。

*  *  *

「すみません、彼がご迷惑をおかけして……」

帰り際、女性客がそっと謝罪してくる。都内の外資系高級ホテルで6年間ソムリエとして働いた筆者は、こうした光景を何度も目にしてきた。著名人を含む多くの富裕層を接客する中で気づいたのは、年収や肩書きは申し分ないのに、なぜか女性からの評価が低い「残念な男性」が一定数いるという事実だ。

彼らに共通するのは「振る舞い」の問題である。高級ホテルのスタッフは、客の何気ない仕草や言動を細かく観察している。そして残念ながら、富裕層や有名人であっても「この人は残念だな」と感じる瞬間は少なくない。

今回、京都の高級ホテルで現役マネージャーとして働く女性にも取材協力を得た。彼女が見てきた「残念な男性客」の共通点を、リアルなエピソードとともに紹介する。

◆女性の前で赤っ恥!「ワイン知ったかぶり男」の末路

「俺、ワイン詳しいんだ」

レストランでワインリストを手にとり、自信満々にそう言う男性は少なくない。しかし、スタッフから見ると「あれ?」と首を傾げるケースが意外と多い。

筆者が遭遇したのは、このような場面だった。女性を連れた40代くらいの男性客が、ワインリストを見ながら得意げに語り始めた。

「このシャブリはね、ボルドー地方の……」

産地が完全に間違っている。シャブリはブルゴーニュ地方だ。様子を伺っていると、同席していた女性のほうが明らかにワインに詳しい様子だった。彼女は小さく苦笑いを浮かべ、「あの、シャブリってブルゴーニュじゃなかったかしら?」と控えめに指摘した。

男性は一瞬、言葉に詰まった。その後も知識をひけらかそうとするが、細かい部分で間違いが目立つ。最終的に筆者がおすすめのワインを提案すると、「じゃあそれで」とバツが悪そうに注文した。

デート中、女性の前で恥をかくほど辛いものはない。知ったかぶりは自分を大きく見せようとする行為だが、実際には逆効果だ。むしろ「ワイン好きだけど、詳しくないんだ。スッキリした味わいのものが好きなんだけど、おすすめある?」と素直に聞ける男性のほうが、圧倒的にスマートに見える。

◆ホテルスタッフが見ている“本性”

高級ホテルで働くスタッフたちは、客の「二面性」を敏感に察知する。特に気になるのが、同伴者には紳士的なのに、スタッフに対してだけ態度が変わる男性だ。

京都の高級ホテルの現役女性マネージャーは、こう証言する。

「お連れの女性には優しく接しているのに、私たちスタッフには横柄な態度をとる方がいます。中には、明らかにセクハラととれる発言をする方も。『今日は綺麗だね』『夜、部屋に来ない?』といった言葉を軽い調子で投げかけてくるんです」

こうした発言は、本人には冗談のつもりかもしれない。しかし、スタッフにとっては不快以外の何物でもない。富裕層だから、あるいは常連客だからといって、許されるわけではない。むしろ、ホテル側は従業員を守るため、悪質な場合は出入り禁止の措置をとることもある。

女性客が帰り際に「ごめんなさい」と謝ってくるケースは、決して珍しくない。スタッフへの態度は、将来的にパートナーに対してどう接するかを映す鏡だ。女性たちはそれを本能的に理解している。

◆年収数千万でも“貧乏性”に見える瞬間

年収数千万円クラスの富裕層であっても、「この人、ケチだな」と感じる瞬間がある。それは、ホテルの会員特典に異様に執着する姿を見たときだ。

上級会員制度があるホテルの場合では、ステータスに応じてさまざまな特典が用意されている。割引やポイント制度、ドリンクサービスなどがあるのだが、セコすぎる使い方をする客が一定数いる。

現役女性マネージャーが目撃したのは、このような行動だった。

「会員特典のシャンパン目当てで、1日に何度もラウンジに来る方がいるんです。朝来て、昼来て、夕方また来て。注文は最低限のコーヒー1杯だけで、とにかく特典のシャンパンを飲むのが目的。友人と一緒に来て、わざとテーブルを分けて座り、特典を2倍もらおうとする方もいました」

特典を利用すること自体は問題ない。しかし、必死に「元をとろう」とする行為は、スタッフから見ると「貧乏性」に映ってしまう。富裕層であるはずなのに、数千円のシャンパンにここまで執着するのか……?

そのギャップが、品のなさを際立たせる。

本当に余裕のある男性は、特典があってもなくても自然に振る舞う。ポイントやサービスに過度に執着する姿は、女性から見ても「かっこ悪い」と感じられてしまうのだ。

◆スタッフへのタメ口は、同伴女性が幻滅する瞬間

レストランで、スタッフに対してタメ口で話す男性客は少なくない。同伴している女性には丁寧語なのに、スタッフには平気でタメ口――こうした態度は、女性から見て最も幻滅するポイントの一つだ。

筆者が接客したあるビジネスマンは、終始スタッフを呼び捨てにし、「おい」「ちょっと」と命令口調で話していた。同席していた女性は、明らかに居心地が悪そうな様子。食事が終わり、会計を済ませた後、彼女は筆者のところに駆け寄ってきてこう言った。

「本当にすみませんでした。不快な思いをさせてしまって……」

彼女の表情には、申し訳なさと同時に「この人とはもう来たくない」という気持ちが滲んでいた。

現役女性マネージャーも同様の経験をしている。

「お客様の中には、私たちを『サービスする側』だからと、下に見る方がいます。でも、お連れの女性はそういう態度をしっかり見ています。帰り際に『ごめんなさいね』と謝ってくださる女性は本当に多いんです」

スタッフへの態度は、その人の人間性を如実に表す。敬語で話す、「ありがとうございます」と感謝を伝える、たったそれだけで、印象は180度変わる。

◆有名人でも容赦なし!“要注意客リスト”の実態

高級ホテルには、実は「要注意客リスト」が存在する。これは、過去にトラブルを起こした客や、スタッフへの態度が悪い客を記録したもので、場合によっては出入り禁止の措置がとられる場合もある。

驚くべきことに、このリストには有名人の名前も含まれている。

「某有名俳優が、スタッフに対して非常に横柄な態度をとり続け、最終的に出禁になったケースがあります。どれだけ社会的地位があっても、人としての振る舞いに問題があれば、ホテル側は毅然とした対応をとるんです」

有名人だからといって、何をしても許されるわけではない。むしろ、立場がある人ほど、振る舞いには細心の注意が必要だ。ホテルのスタッフは客にサービスを提供するが、奴隷ではない。「一人の人間」として尊重してほしいと願っている。

年収や知名度がどれだけ高くても、人としての品格がなければ意味がない。高級ホテルという場所では、誰もが等しく試されるのだ。

高級ホテルで働くスタッフたちが見てきた「残念な男性」の共通点。それは、相手を尊重する気持ちの欠如だ。知ったかぶりやセクハラ発言、タメ口、特典への執着――これらはすべて、「自分さえ良ければいい」という姿勢の表れなのである。

<取材・文/オオサキサオリ>

*  *  *

◆■ 数字と法律で見る「客が試される時代」

スタッフに対する態度が、いかにその人の品格を映し出すか——今回のエピソードは、そのことを改めて突きつけるものでした。実は近年、この「客側のマナー」は、法律のレベルでも問われる時代に入っています。

厚生労働省の発表によると、2023年12月13日に施行された改正旅館業法では、「カスタマーハラスメントに当たる特定の要求を行った者の宿泊を拒むことができる」という新たな宿泊拒否事由が追加されました。旅館業法はもともと、公共性の観点から「宿泊しようとする者の宿泊を拒んではならない」と規定してきましたが、コロナ禍を契機に「営業者が無制限に対応を強いられている」という現場の声を受け、この規定が加わったのです。

具体的に「拒否できる行為」として厚労省が挙げているのは、以下のようなものです。

・不当な割引、契約にない送迎など、過剰なサービスの要求
・対面や電話等により、長時間にわたり不当な要求を行う行為
・要求を実現するための手段・態様が不相当なもの(暴行・傷害などの身体的攻撃、脅迫・中傷・侮辱・暴言などの精神的攻撃、土下座の要求等)

つまり、これまで「お客様は神様」という空気の中で泣き寝入りしていた現場のスタッフを、法律が明確に守るようになったということです。

さらに、2025年6月に成立した改正労働施策総合推進法により、2026年10月からは、宿泊業を含むすべての事業者に「カスタマーハラスメント対策」が義務化されます。ホテル側もこれまで以上に、悪質な客に対しては毅然と対応することが求められる時代に入っていくわけです。

高級ホテルに出入り禁止リストがある——今回の記事で紹介したこの事実は、決して大げさな話ではないのかもしれません。年収や肩書きがどれだけ立派でも、スタッフへの横柄な態度やセクハラ発言を繰り返せば、法律に則って毅然と対応されるのが、これからのスタンダード。

「サービスを受ける側」だからと相手を見下す振る舞いが、いかに時代錯誤であるか——それはもう、女性からの評価云々の前に、社会そのものが答えを出し始めているのかもしれません。

<再構成/日刊SPA!編集部>

【オオサキサオリ】
ライター、JSA認定ソムリエ。前職では都内の外資系ホテルでソムリエとして勤務。レストランにて著名人・芸能人・富裕層などを接客した経験を持つ。現在はホテル、飲食ジャンルを中心に執筆活動を展開中。X(旧Twitter):@writer_sosk

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