【祝10周年!】ピコ太郎・世界的大ヒット『PPAP』の"音の秘密"を徹底解剖!

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2026年08月25日 07:20  週プレNEWS

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「こんなに話すの初めて!」と語るピコ太郎さん


「こんなに話すの初めて!」と語るピコ太郎さん

一大ブームを巻き起こした『PPAP』がYouTubeに投稿されてから10周年! あの曲は、なぜここまで人の耳に残り、国境を越えて広がったのか?

「こんなに話すの初めて!」とご本人が言うほど、どこよりも細か〜く『PPAP』のこだわりを掘り下げます!

【写真】『PPAP』から10周年を迎えたピコ太郎

【目指したのはお笑いと音楽の融合】

――10周年、おめでとうございます! 現在は10周年企画として計80・8曲をリリース中で、9月には約10年ぶりのワンマンライブも控えています。この「80・8」の由来でもあるのが、『PPAP』にも使われたドラムマシン「TR-808」(以下、808)。

音作りを担った古坂大魔王さんから聞いた話も含めて、改めてどんな機材なんでしょうか?

ピコ太郎(以下、ピコ) Rolandという日本のメーカーの機材なんですが、ダンスミュージックの歴史をつくったような機材ですね。簡単に言うと、ドラムの音を組み合わせてリズムを作る電子楽器です。今でもEDMやK−POPなんかに808の音は使われていますピコ。

そもそもの始まりは30年くらい前、(古坂さんが)バンドをやろうと思ったんですけど、一緒にできる友達がいなかったんですよ。だから、ひとりで曲を作るために機材を集め始めたんですけど、同じRolandの「MC−303」という機材の中に808を再現した音が入ってたんですピコ。「ポコッ」みたいなタムやカウベルの音色が面白くて。

ヒップホップでも、演奏する環境のない若者たちがドラムマシンに乗せてラップしてきた歴史がある。そういう背景まで踏まえて、808の音で作ったトラックに短くて意味のない歌を乗せたのがピコ太郎の始まりなんですピコ。

――カルチャー的な成り立ちまで押さえていたんですね。

ピコ ちゃんと知識が裏打ちされた上で、バカのふりをすることが大事だと、古坂さんはいつも言ってるんですピコ。ずっと「お笑いと音楽の融合」を掲げていた古坂さんが、ただのリズムネタではなく、ミュージシャン視点でも笑えるものは何かと考え続けて、行きついたのが808だった。

808って、爆音で鳴らすとスピーカーが驚くほど震えるんですよ。重い低音を出しながら、最終的にやることはリンゴにペンを刺すっていう(笑)。その落差ですよね。

808は後々、実物も買いましたピコ。ただ、実機を毎回使うのは大変なんですピ。ノイズは乗るし、低音は出すぎるし。だから実際の制作で808の音を使いたいときは、実機からサンプリングしたデータとかを使うことが多いですピ。実機の音をキレイに出すのは、本当に難しいんですピコ。

そもそも、どれだけ(808のような)アナログな音にこだわっても、今の時代、デジタルなスマホで聴く人がほとんどですよね。だから細かい音の違いを見抜く人は、ごく少ない。

例えば、聴く人が1万人いたとしたら、半分くらいの人はなんとなく違いを感じて、100人くらいが明確に気づくけど、音の出どころ(使用機材)までわかる人は5人くらいだと思いますピコ。でも、その5人の声が大切だったりするので、その5人を納得させるために、プロは皆、頑張ってるんじゃないかと思いますピコ。

――『PPAP』は、スマホで聴いたときの鳴り方まで考えて作られているそうですね。

ピコ 『PPAP』は低音だけディストーションをかけて、ちょっとひずませてるんですピ。そうすると、実際に低音を大きく出さなくても、「低音で割れている」ような感じになって、スマホで聴いたときに実際よりハデに、大きく聴こえるんですよ。

2拍4拍のカウベルも、スネアを足して鳴らしてるんですピ。「コン」だけじゃなくて、重ねると「ゴン」になる。それがスマホだと、「爆音で鳴った」ように聴こえる。

尾田栄一郎さんがマンガでパンチを描くときに、拳を全部画面の中に収めず、枠からはみ出させることがあるじゃないですか。それと同じで、実際以上の大きさを頭の中に作り出すんだ、と古坂さんが言ってましたピコ。......こんなマニアックな話ばかりで大丈夫でしょうか?(笑)

【声色、リバーブ、発音へのこだわり】

――『PPAP』は、声も面白いですよね。声色だけで「この人、なんかおかしなことをやっているな」と伝わるような感覚があります。

ピコ いつも古坂さんには「『笑顔声』で歌え!」と言われてるんですピ。古くは植木等さんのような。笑いながら歌うと、聴いてるほうもつられて笑っちゃうっていう。芸人さんの間では「誘い笑い」といわれてて、低レベルな笑いだとされてるらしいんですけど(笑)。

歌はお笑いほど「笑うぞ」と集中して聴かれていないので、一瞬で「なんか面白い」と思ってもらうためには、笑顔で歌う声が効くんだと思いますピコ。

――声のリバーブ(残響)にもこだわっているそうですね。

ピコ そうですね。リバーブが深すぎると、聴いてる人が「1対1」に感じなくなっちゃうと思うんですピ。

お笑いって本来、密室芸がベストで、ひとりの芸人を3人くらいで見るのが理想だと思うんです。お笑いをやる規模の限界はキャパ300人くらいで、1000人とかになると、音楽じゃないと伝わらない気がしますピ。

だから、古坂さんは楽曲の中で、狭くて近い「お笑い的なリバーブ」と、深くて遠い「音楽的なリバーブ」を使い分けているそうです。ピコ太郎はシンガー・ソングライターなので、歌で愛を届けているだけですけどね(笑)。

ちなみに、最初の『PPAP』を録音したときは、まだ古坂さんがスタジオを建てる前で、古坂さんの家のロフトみたいな制作スペースで録音しましたピコ。吸音のために布団をマイクのそばに立てて、駆動音が入るので夏なのにエアコンも消したから、もう汗だくで。

本当に理想的なのは、さだまさしさんの『恋愛症候群』。これは僕が最初に買ったレコードなんですけど、ライブ録音で、普通にお客さんの笑ってる声も入ってるんですね。ライブ盤じゃなくて、それがシングルなのですよ。ジャズのレコードみたいで、ああいう録音環境が理想ですピコ。

――歌詞が英語だったのは、最初から海外を意識して作っていたからでしょうか?

ピコ 『PPAP』を英語で作ったつもりはないんですよ。例えば「ミネラルウオーター」とか「ヘアスタイル」って英語ですけど、もう日本語じゃないですか。「ペン」も「アップル」も、僕らにとっては日本語なんですよね。

ただ、「パイナップル」ではなく「パイナッポー」としたのには理由があったそうで。古坂さんが30年くらい前に仕事で海外へ行ったとき、「パイナッポー」と言ったら外国人にやたらとウケたらしいんですピ。

おそらく、ほかはカタカナ英語というか、いかにも日本人っぽい発音なのに、パイナップルだけ急にネイティブっぽく言うのが面白かったんでしょうね。「なんでそこだけ急にパイナッポーなんだよ!(笑)」みたいな。

そういう経験が古坂さんの中にあって、曲を作っているときに「取りあえず一回やってみよう」とやったのが、「ペン、パイナッポー、アッポー、ペン」だったんですピ。

――それがバズったときはどういう感覚だったんですか?

ピコ 『PPAP』を公開するとき、事前に古坂さんがタレントの知り合いなどに、あらかじめ拡散の協力をお願いしていたんですピ。それで最初に少し広がって。そこからMixChannel(現ミクチャ)という動画SNSで、若いコの間で広がり始めて。

そこはアジア圏のユーザーが多かったので、BTSやBLACKPINKといったK−POPの人気グループの皆さんも反応してくれて。

――ジャスティン・ビーバーに届くまでの過程が、すでにすごかったんですね。

ピコ ええ、もうずっと驚きでした。ジャスティン・ビーバーについては、事務所の社長から電話が来たんですピ。「ツイッター(現X)でピコ太郎さんがシェアされてますよ!」みたいな感じで。ただ、うちの社長がよくわかってなくて「ビーバーって、あのダムとか作るヤツですか?」みたいな感じだったんですけど(笑)。

そこから取材がもうワーッと来て、自分を取り巻く世の中の動きが一変しましたね。映画『キック・アス』みたいに、無名だったのが急にネットで有名人になって......。トランプ大統領に会ったときは、『フォレスト・ガンプ』で主人公がケネディに会うシーンみたいでしたピコ(笑)。

――ジャスティン・ビーバーに『PPAP』を見せたのは、彼を見いだしたマネジャーのスクーター・ブラウンだったそうですね。

ピコ そうなんです。「変なヤツがいる。しかも808を使ってる」って、ジャスティン・ビーバーに見せたらしいんですよ。

それで「これ面白いからリツイートしよう」となったんだけど、「おまえがリツイートすると売れるぞ。こんなヤツをリツイートして大丈夫なのか? ジャスティン・ビーバーのブランドを傷つけないか?」って、チームで会議までしたらしいんですピ。


「『お笑いと音楽の融合』を掲げていた古坂さんが、ただのリズムネタではなく、ミュージシャン視点でも笑えるものは何かと考えて、行きついたのが808だったんです」

――『PPAP』をリツイートしていいかどうかの会議が。

ピコ そう、リツイート会議(笑)。最終的に「でも面白いじゃん。はやってるし、やろう」ってなったらしいですピコ。スクーター・ブラウンさんご本人から聞きましたピ。

スクーター・ブラウンさんは世界のトップで音楽をやっている人だから、808の文脈もわかる。さっきの「1万人のうちの5人」じゃないですけど、誰かひとりにわかってもらえればいいと思って作って、そのひとりがスクーター・ブラウンさんだったのかな、と思うんですピコ。

――そこでも808がきっかけだったんですね。改めて考えると、808はピコ太郎さんの運命を変えた存在ですね。

ピコ ええ。だから新作はピコ太郎から808への恩返しなんですピコ!

●ピコ太郎
千葉県出身。シンガー・ソングライター。2016年にYouTubeで公開した『PPAP』が大ブレイク。現在は『PPAP』10周年企画「Tottemo Release 80.8」を展開中で、9月27日には約10年ぶりとなるワンマンライブ「PPAP X PT 〜PPAP10周年プレミアムライブ〜」を開催予定。「Tottemo Release 80.8」の全配信曲を収録した完全版デジタルアルバムの発売も決定

取材・文/小鉄昇一郎 撮影/佐々木里菜

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