予選好調も決勝苦戦のダンロップ×GTA-GT300の2台。スバルBRZ井口とシンティアムLC500河野が語る「あと一歩」

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2026年08月27日 16:20  AUTOSPORT web

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SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝) 2026スーパーGT第5戦鈴鹿
 8月23日に三重県の鈴鹿サーキットで行われた2026スーパーGT第5戦。GT300ではPACIFIC ウマ娘 NAC BMW(冨林勇佑/藤原優汰)がポール・トゥ・ウインでチーム初優勝を果たしたが、予選3番手のSUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝)、予選4番手のSyntium LMcorsa LC500 GT(吉本大樹/河野駿佑)は決勝でトップ争いに絡むことができず、持ち込んだダンロップタイヤとマシンのマッチングに苦戦。Syntium LC500が13位、スバルBRZは28位で終え、ともにレース後に悔しさを語った。


■「できることは全部やった」も防げなかったスローパンクチャー

 Syntium LMcorsa LC500は予選で4番手を手にしたが、決勝直前のウォームアップ走行で右フロントタイヤのスローパンクチャーが発生。残された時間で対処を進めたうえで、タイヤを守る方向へセットアップを修正して決勝へ臨んだという。

 スタート担当の吉本は、タイヤに過度なダメージを与えないよう労わりつつも上位争いを続け、ピット作業後は2番手のD’station Vantage GT3の前でコースインすることに成功。ドライバー交代した河野は終盤、背後から迫るCARGUY Ferrari 296 GT3 EVOやUPGARAGE AMG GT3を抑えながら粘り強く走行を続けていったが、決勝でもウォームアップと同様のパンクが起き、表彰台争いから脱落した。

「本当に悔しいというか……、悔しい以上の言葉がないくらい悔しいです」と話す河野。レース後、深いため息とともに悔しさを言葉にした。

「ウォームアップでのパンクは前兆が全然なかったんですけど、レースではちょっと前兆があって。振動が数周前から出始めました」

「持ち込んだタイヤは今回も新しいスペックでしたが、ロングランのペースは今までよりも良さそうで、さらに予選でもこのタイムが出せるなら勝負できるんじゃないかと期待した部分もあったのですが」と河野。パッケージには手応えを感じていたが、ラストスパートで右フロントタイヤの内圧が低下してしまった。

「次第にエアが抜け始めて、まっすぐ走るのも難しくなっていきました。内圧センサーでも数値が落ちていくのが分かりましたし、エアが抜けきる前にバーストする手前に判断してピットに戻れたのは、不幸中の幸いでした」と状況を明かした。

 最終的に13位でフィニッシュし、最低限のポイントを確保したものの、逃した順位が大きいだけに悔しさはぬぐえない。「目の前に2位があったので、悔しいの一言しかないですよ。良いところを探してもポイントが獲れたことくらいしかない」と河野は肩を落とした。それでもチームの働きと自身の走りには胸を張る。

「決勝はピット作業も良かったし、自分もアウトラップも含めてタイヤを守りつつ攻めた走りができたと思います。アウトラップの18号車(UPGARAGE AMG GT3)も抜けたし、後ろの7号車(CARGUY Ferrari 296 GT3 EVO)とのバトルでも守れていた。できることは全部やったと思います」

 河野は、タイヤとマシンのマッチングで流れが変わった要素について、昨年の規定変更によるフロントタイヤサイズの小径化(※編注:330/710・18から300/680・18に変更され、幅/径ともに30mmダウン)が一因としてあると指摘。「ダンロップさんは昨年も対策をしていますし、今年もさらに開発を進めているのですが、まだまだ強いタイヤを作らないといけなかったということでしょう。マルチメイク最終年でもダンロップさんは毎レース新しいタイヤを持ってきてくれるくらい力を入れてくれていますので、こっちもやる気満々で一緒に頑張りたいと思います」

 最後には「表彰台まであと一歩だったんだけど……やっぱり鈴鹿での2位は獲れないのかな」と、昨年の第5戦鈴鹿で車検落ちにより2位を失った記憶を重ね合わせ、悔しさと手応えが入り混じる歯がゆい思いをこぼしていた。


■「新エンジンでストレートが速いだけではダメ」なスバルBRZ

 Syntium LMcorsa LC500が終盤のタイヤトラブルで表彰台争いから後退した一方、同じく上位スタートを切ったSUBARU BRZ R&D SPORTも、決勝では持ち込んだタイヤとマシンのマッチングに苦しみ、思うように戦えなかった。

 スタート直後に2番手のD’station Vantage GT3とサイド・バイ・サイドの攻防を演じた井口は「公式練習からタイヤの温まりはずっと良くて、計測1周目から十分にグリップ感があったので、1周目は本当に狙いどころだと思って行きました。でも、S字に入るときに際どくなってしまい『ここで接触するのも嫌だな』と思って引きました」と振り返る。

 しかし、そこからSUBARU BRZ R&D SPORTのレースペースは苦しくなっていく。「少し走り始めると、タイムに影響するようなグリップダウンが一気に大きくなってきました。そこからはもう後ろしか見ていないようなレースになってしまいました」と井口。タイヤのグリップが落ち、曲がりづらくなるマシンと格闘するなか後続はトレイン状態で連なり、そのなかでペースを上げていたPONOS Ferrari 296 GT3 EVOの川端伸太朗が迫ると、NIPPOコーナーで井口のリヤに接触。SUBARU BRZ R&D SPORTはスピンを喫し、上位争いから脱落した。

「とくに逆バンクでアンダーステアが強くて、とにかく曲がるのを待ちながら走るような状況でした。後ろのクルマのほうが速かったので差しに来るだろうとは思っていましたけど……。際どい距離で僕も(NIPPOコーナーに)入っていましたし、結果的には接触された感じでしたね」。接触したPONOS FERRARI 296にはペナルティが科されたが、井口は「接触があるなしではなく、そもそもグリップダウンが大きくてペースが遅かったので、しょうがないかな」と淡々と受け止めていた。

 スバルBRZはコースオフィシャルの助けでコースに復帰し、ルーティンピットでセット変更を施したうえで山内が第2スティントを担当。レース後半はテスト的な走行として使いながら最後まで走り切った。

 井口は今回の苦戦の背景に「クルマとタイヤのマッチング」という課題があると話す。

「2025年に新しい車体になったことで、フレームの作り込みとしては硬い方向になっていると感じています。今年は新エンジンで、幸い一発のタイムは出せるんですけど、重量増が影響しているのか決勝ではタイヤとのマッチングが難しく、現状ではロングランで悪い方向にいっていますね。ショートランとロングランのバランスをどう落ち着かせるかが、このクルマの課題だと思います」

 今回のタイヤは、富士戦で続いたバースト対策で硬めの仕様だった。それでも井口は「バースト自体はなかったんですけど、フルの距離で走れていない以上、本当の答えはまだわからない。現に60号車(Syntium LC500)もスローパンクチャーを起こしていますし」と、まだ対策が万全とは言い切れない様子。

 そのうえで、同じダンロップを履くD’station Vantage GT3が重いサクセスウエイトを背負いながらも4位に入った事実を踏まえ、問題はタイヤだけではなく、クルマ側の作り込みの重要性も強調した。

「同じダンロップでもD’stationはすごく上手にタイヤを使って4位で完走しているわけで、そこを参考にしなければいけません。全く同じタイヤというわけでもないのが難しいのですが、今のグリップレベルとマシン構造の方向性も併せて考えれば、GTA-GT300規定車両はタイヤへの入力が強すぎる部分があって苦戦しているのではないかと思います。GT3マシン勢があれだけ戦えているのを見ると、同じダンロップでもクルマとのパッケージとしては全然違う領域にいるように見えます。来年、ワンメイクタイヤになったときは余計に差が出る気もするので、真剣に考えなくてはならないと思いますね」

 最後に井口は、今のSUBARU BRZ R&D SPORTが抱える難しさを率直に語った。「エンジンが新しくてストレートが速いからって、それだけではダメなんです。もちろん予選だけでもいけないし、最後には安定したグリップや決勝の強さに繋げないといけない。方向性がまだ定まっていないし、迷子です」と口元を強く結んでいた。

[オートスポーツweb 2026年08月27日]

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