勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1) 2026年WRC第11戦ラリー・デル・パラグアイ 8月27日(木)、2026年WRC世界ラリー選手権第11戦『ラリー・デル・パラグアイ』のシェイクダウン(カルメン・デル・パラナ、5.6km)が3本のアタックで行われ、TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)の勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が3走目に2分59秒5のトップタイムをマークした。
2番手以下にはいずれも3分1秒1でヒョンデ・シェル・モービスWRTのヘイデン・パッドン、ティエリー・ヌービル、アドリアン・フルモー(ともにヒョンデi20 Nラリー1)の3台が並んだ。TGR-WRTのエルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)が3分1秒2で5番手、Mスポーツ・フォードWRTのジョン・アームストロング(フォード・プーマ・ラリー1)が3分1秒8で6番手とつけた。
今大会はシーズン終盤の重要な1戦として、南米ダブルヘッダーの第1戦に位置づけられる。ドライバー選手権ではTGR-WRTのエバンスが首位に立ち、2位のTGR-WRT2サミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1)に30ポイントのリードを持つ。残りラウンドが限られてきた中で、ノーポイントのリタイアは致命傷になりかねない。各チームともミスなくゴールまで持ち込むことが最優先課題だ。
シェイクダウン当日のエンカルナシオン近郊は青空が広がり、路面は乾ききった完全なドライコンディション。しかしパラグアイ特有の粘土質を含む路面は、マシンが繰り返し走行することで圧縮・研磨され、乾燥しているにもかかわらずガラスのように輝く極めて滑りやすい状態へと変化する。走行量が増えるほど表面のグリップが失われるという独特の性質を持つステージだ。
天候面では、週末の土日に気温が31度まで上昇したのち雷雨が予報されており、雨が降り込めば路面は「氷の上」にも等しい超低グリップへと一変するという。タイヤ使用本数は週末全体で28本まで。大半のチームがソフトコンパウンドをメインに据えるが、路面には激しいジャンプ、コンプレッション、そして埋まった岩盤が点在し、一撃でタイヤを失いかねない局面も多い。むやみに全開で攻めるより、タイヤを守りながらゴールまで持ち込むサバイバル能力が、この週末全体の鍵を握る。
シェイクダウン1走目、地元パラグアイのファンが数日前からキャンプを張って待ち構える熱狂の中、ラリー1勢が次々とコースへ送り込まれた。選手権首位のエバンスがロードオープナーを務め、3分7秒9をマーク。続くパヤリがエバンスを0.7秒上回る3分7秒2で更新し、勝田も3分7秒7でほぼ横並びにつけた。オリバー・ソルベルグ(トヨタGRヤリス・ラリー1)は積極的なアタックで3分5秒8を刻み、序盤から上位争いに名乗りを上げた。
1走目のトップを制したのはヒョンデのヌービルだ。3分3秒6という1走目ベストを叩き出し、首位に立った。フルモーとセバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1)がともに3分4秒6で続き、1走目終了時点でヒョンデとトヨタが入り混じりながらトップ争いを形成した。勝田は暫定8番手と、この時点では上位陣からわずかに遅れる形となった。
2走目に入ると各陣営が一斉にタイムを更新した。パッドン・フルモーが3分1秒1、エバンスが3分1秒2、アームストロングも3分1秒8まで押し上げ、ヌービルも3分1秒7と迫った。勝田は3分3秒8まで短縮したが、ヒョンデ・フォード勢に対してなお差のある展開。オジエは2走目の走行を見送っている。
迎えた3走目、勝田が全車を圧倒する走りを見せた。2分59秒5──他の全車が3分1秒台にとどまる中、勝田だけが2分台に突入した。1走目からの短縮幅は約8秒に上り、2番手のパッドン・ヌービル・フルモーに対して約1.5秒の差をつける突出したタイムだ。ヌービルも3走目に3分1秒1まで更新してきたが、勝田の前には届かなかった。
競技本番のデイ1は8月28日(金)、日本時間22時3分のSS1『Cambyreta 1』を皮切りに、計8本のスペシャルステージが行われる。週末後半に予報される雷雨を前に、まずドライコンディションで始まる金曜日にどれほどポジションを固められるかが、この過酷なサバイバル週末を左右する最初の分岐点となりそうだ。
[オートスポーツweb 2026年08月28日]