「早く観たい」と原作ファンから期待の声 松村北斗×今田美桜W主演『白鳥とコウモリ』 東野圭吾作品をどう映像化した? 制作陣が語る裏側

0

2026年09月02日 19:04  ねとらぼ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

ねとらぼ

(C)2026『白鳥とコウモリ』製作委員会

 松村北斗(SixTONES)さんと今田美桜さんがW主演を務める映画『白鳥とコウモリ』が9月4日に全国公開されます。原作は、ベストセラー作家でミステリー界の巨匠・東野圭吾氏による累計発行部数195万部突破の同名小説。『白夜行』、『手紙』の系譜を受け継いだ本作は、ミステリーの枠を超え、罪と罰という核心的なテーマを重厚な物語として描きます。


【動画】解禁された場面写真・予告映像


あらすじ

 善良な弁護士・白石健介(中村芝翫)が、刺殺された事件。「私がやりました。“すべての事件”の犯人は私です」 容疑者として浮上した一人の男・倉木達郎(三浦友和)。彼の自供により事件は解決したはずだった――。だが、容疑者の息子・倉木和真(松村北斗)と、被害者の娘・白石美令(今田美桜)は、互いの父の言動に違和感を抱く。 「なぜ父は、殺人を犯したのか――?」「なぜ父は、殺されないといけなかったのか――?」出会ってはいけない、容疑者の息子と被害者の娘が手を取り合ったとき、"真実"が揺れ動く。


松村北斗と今田美桜に加え、豪華キャストが集結

 同作品には、倉木和真と白石美令を演じる、W主演の松村北斗さんと今田美桜さんのほか、港区海岸弁護士殺害事件を追う、警視庁捜査一課刑事の五代努役を柄本佑さんが。美令の亡き父であり、港区海岸弁護士殺害事件の被害者である白石健介役を、中村芝翫さんが演じます。


 また、白石健介を殺した犯人として自供する倉木達郎役には三浦友和さん、小料理屋「あすなろ」店主の浅羽洋子役を風吹ジュンさん、洋子の娘・浅羽織恵を井川遥さん、突然夫を亡くし、喪失感を抱える美令の母を吉田羊さんが演じるなど、豪華キャスト陣がそろいます。


制作陣の熱意が手繰り寄せた、映画化プロジェクト

 長編小説『白鳥とコウモリ』※は、2017年から21年にかけて『小説幻冬』上で連載。数々のベストセラー作を世に送り出した東野圭吾さんをして「今後の目標はこの作品を超えることです」とまで言わしめた作品です。2018年の『人魚の眠る家』で東野作品の映画化に挑んだ経験を持つ新垣弘隆プロデューサーは、いち早く本書に注目していた1人でした。


※『小説幻冬』連載時の独立した中編群を加筆修正し、単行本化の際に『白鳥とコウモリ』のタイトルで再構成。


「容疑者の息子と被害者の娘が手を取り合って事件解決に挑むという、設定の斬新さに惹かれました。『人魚の眠る家』は“脳死状態の娘を最新技術で生かし続ける”物語でしたが、東野先生は荒唐無稽なものではなく“今後起こるかもしれない”未来予知的なテーマを扱うことが多い。そうした現実性と、この2人が交わったらどんなドラマが起こるんだろうというワクワク感から『ぜひとも映画化したい』と手を挙げました」(新垣)


 東野作品は大人気のためライバルも多かったとのことですが、映画化に向けた第一関門を突破したのは、新垣プロデューサーの並々ならぬ熱量と創意工夫でした。


 映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023)などでタッグを組んだ西麻美プロデューサーと共にプロット(映画の内容を短くまとめたもの)を自作し、プレゼン。


 「小説は刑事の五代から始まりますし、魅力的なキャラクターが数多く登場するため誰を主人公にしても成立しますが、我々は『白鳥とコウモリ』というタイトルの“顔”でもある和真と美令の物語を主軸にした構成をご提案させていただきました」(新垣)


岸監督の決め手は、容疑者の息子と被害者の娘の関係性

 映画化権を獲得後も、原作サイドと打ち合わせを重ねて骨子を形成していったと語る新垣プロデューサー。その際に東野さんから出たリクエストの中で特に印象に残ったのが「令和の時代に沿った警察組織を意識してほしい」というものでした。


 個人が人情や情熱に任せて突破、判断する昔気質な刑事モノではなく、正しいことを正しく行おうとする人々の在り様、さらには組織捜査や機動力をきちんと描く“いま”の映画にすること。


 新垣プロデューサーは、『ある男』(2022)や『愚か者の身分』(2025)を手掛けた脚本家・向井康介さんを交えて脚本の大枠を固めつつ、並行して演出を託す監督探しに乗り出しました。新垣プロデューサーの脳内には、『正欲』(2023)などで複数の映画賞に輝いた岸善幸監督が浮かんでいたそうです。


 「『正欲』は物語こそ静かに進みますが、心のアクションが激しくてものすごく感動しました。岸監督なら和真と美令の複雑な関係性を丁寧に描いてくれるのではないかと感じ、知り合いの伝手を辿って半ば強引にお会いする機会を作っていただきました」(新垣)


 岸監督が新垣プロデューサーと対面したのは、2024年1月ごろ。何度か打ち合わせを重ねる中で「ミステリーとしての面白さがありながら、最終的に容疑者の息子と被害者の娘の間に予想がつかない絆が生まれていく」という方向性を提示。


 これが岸監督の心を掴み、作品への参加が決定しました。ドキュメンタリー分野で研鑽を積み、保護司を題材にした連続ドラマ・映画『前科者』(2021〜2022)でも知られる岸監督は、これまでの活動の中でさまざまな加害者・被害者の家族と接してきたクリエイターです。


 「加害者の家族たちは“なぜ罪を犯してしまったのか”、被害者の家族たちは“なぜ殺されたのか”という一生解決しない気持ちを抱えて生きていかなければなりません。そういった人々が出会い、バディとして結びつく展開に興味を惹かれました」とオファーを受けた理由を語っています。


 そこからは岸監督も加わり、脚本のブラッシュアップ作業が加速。「容疑者の息子と被害者の娘がどういうキャラクターなのかをきちんと立てないと、2人が惹かれ合うリアリティが生まれない」という岸監督の意見を軸に、さらなる掘り下げが行われていきました。


“禁断のバディ”に現実味をもたらす細やかな人物描写

 容疑者の息子・和真と被害者の娘・美令が“禁断のバディ”を組む展開にどう説得力をもたらすか。岸監督は2人の「共通項」と「落差」をポイントに定め、まずは和真と美令が置かれた状況の整理を図りました。


 「和真は安城市の実家を出て東京で暮らしていて、父・達郎の現在をあまり知りません。そんな状態で事件が起こり、父が面会を拒絶しているため国選弁護人と五代からしか情報を得られません。一方で美令は、同居はしていても父・健介との間に会話があったわけではなく、事件後に被害者参加制度を使って手に入れた供述調書が唯一の手掛かりになる。2人とも父が殺した/殺されたことに疑問を持ち、供述される父親像に違和感をおぼえるけれど、情報が限られているわけです。このお互いの前段が共通しないと、2人が手を取って疑いを晴らしていく条件が揃わないと思いました」


 和真と美令が手を組むのは「事件の真相を突き止めるためには、お互いが持っている情報をすり合わせる必要がある」という合理的な判断からです。しかし、各々の父が容疑者/被害者という残酷で決定的な違いが、2人の前に立ちはだかります。この部分がいわばロミオとジュリエット的な禁断の関係における障害や試練として機能していきますが、映画版ではその要素をさらに先鋭化させているとのこと。


 和真は容疑者の息子としてマスコミや世間から激しいバッシングに遭い、心身が追いつめられていく描写が強化され、美令は真相に近づくにつれて苦しみが増していく姿をしっかりと捉えるため、あえて合間に事件当日の回想シーンを挟む構成にしなかったのだそうです。こうした和真/美令の当事者性を重視した演出によって、痛々しくも切実な現実味の付加を成し遂げています。


松村北斗・今田美桜が魅せた陰と陽のコントラスト

 生身で演じる上で相当な難役である和真と美令に抜てきされたのは、松村北斗さんと今田美桜さん。新垣プロデューサーは、それぞれの起用理由をこう語ります。


「和真は都内の広告代理店で働く人気者で、事件によって転落していく人物です。華やかさがあり、かつ“受け”の芝居や繊細な心情表現が巧みな方にお願いしたく、松村さんにご相談しました。実は、脚本の向井さんと雑談している際にも彼の名前が上がっていたくらいぴったりな方だと思います。そして今田さんはテレビドラマ「民衆の敵〜世の中、おかしくないですか!?〜」(2017)の頃から“とんでもない女優さんがいる!”と注目していました。美令とは実年齢も近く、凛とした一輪の花のような強さと柔らかさはご本人にも通じるように感じます。松村さんと今田さんがそれぞれ持つ陰と陽のバランスの良さも、重視した部分でした」(新垣)


 対する岸監督は、独自の審美眼で両者を評価します。


「松村さんは『夜明けのすべて』(2024)が何も言うことがないほど素晴らしかったですし、『ファーストキス 1ST KISS』(2025)での本当に寝ているようにしか見えない寝姿が絶品でした。『白鳥とコウモリ』でもベッドから起き上がるシーンがありますが、絶妙でしたね。そして今田さんは『わたしの幸せな結婚』(2023)で、大きな美しい目が暗い顔に変化する様子が印象的でした。本作のように心理的にどんと落ちる芝居も見てみたいと思っていたんです。また、NHK連続テレビ小説『あんぱん』(2025)での下駄をはいて走るシーンが様になっていたので、今回も走るシーンを入れてみました」(岸)


 撮影時は「お互いにどん底状態の中で感情をどこまで出すか」の調整に腐心し、松村さん、今田さんと熱心に話し込む姿も多く見られた岸監督。そのハイライトが、喫茶店で互いの父親について話すなかで感極まるシーンです。


 「もうちょっとエモーショナルにしましょうと伝えたのですが、特に印象深いシーンになりました。2人とも一言ささやくだけですぐ演技で反応してくれるので、本当に面白かったです」(岸)


柄本佑が披露した人物理解度、佇まいで雄弁に語る三浦友和

 キーパーソンとなる刑事・五代役は、満場一致で即決だったという柄本佑さんが演じます。東野さんの要望だった「令和の刑事像」をどう立体化させていくかを皆が試行錯誤するなか、柄本さんの俳優としての役への解釈が一つの指針となったのだとか。


 「撮影が何日か終わった段階で佑さんがふと『この人は刑事の仕事が嫌いかもしれませんね』と言ったんです。五代は事件に出合うたびに被害者・容疑者と向き合い、自身も傷ついてきたんじゃないかと。一見クセがないようで優しさや温かみが醸し出された新しい刑事像を生み出してくれました」(岸)


 なお、令和の刑事像を描き出すにあたり岸監督が発案したのが、五代の出勤シーン。


 「多くの人が改札を抜けて会社のあるビルへ行列で出勤していくのに、彼だけはそこから外れて殺人現場に向かう。刑事という職業の異質な部分を入れさせてほしいと相談しました」(岸)。


 組織と個人を象徴する、さりげなくも重要なシーンに仕上がっています。


 また、岸監督が作品性を象徴するキーワードに挙げたのが、手でした。劇中のあるシーンで和真と美令は手をつなぎますが、この切なくもエモーショナルな展開が引き立つように、いくつかのシーンで「手に感情を託す」仕掛けが施されています。


 岸監督こだわりのキャスティングである和真の父・達郎役の三浦友和さんにおいても、演技力はもちろんのこと「手が絶品なんです」と岸監督。言葉で語らずとも感情を伝える三浦に敬意を表し、セリフをあえて削る決断に踏み切ったといいます。父との面会シーンで三浦さんの芝居を全身で受け止めた松村さんは「向き合うだけで息子役としてこみ上げるものがあった」と振り返っています。


台湾の俊英が捉えた、繊細な光の物語。「その土地に生きる人々」が宿す嘘のない真実味

 キャスティングと同じく、スタッフィングも粋を集めた顔ぶれになりました。撮影を務めたのは『ボーダレス アイランド』(2022)の羅偉恩(ウェイン・ロー)さん。『悲情城市』(1989)や『珈琲時光』(2003)等を手掛けた台湾映画界の巨匠・侯孝賢(ホウ・シャオシェン)さんに学び、岸井ゆきのが出演した日台合作映画『シンシン アンド ザ マウス/SINSIN AND THE MOUSE』(2026)が控える逸材です。


 本作の助監督を務めた松尾崇さんが提案したところ、岸監督と新垣プロデューサーの琴線に触れ、起用が決定したとのこと。


 「彼の作品を観て、光を何とも繊細に考察して撮影する印象を受けました。ロケハンからロケまで4カ月間日本に滞在してもらいました。本人のキャラクターも温和で、とてもスムーズに進められました。自分はこれまで手持ち撮影の作品が多かったのですが、今回はウェインさんと相談し、初めて三脚を据えて照明を作り込んだ作品に挑戦しました」(岸)


 「いわゆる“言葉の壁”に悩まされることなく、皆がチームを盛り上げて、お互いがお互いを助けようという空気感が自然と出来上がっていました」(新垣)


 また、東野作品といえば“場所”も重要な登場人物の1人と言えます。『白鳥とコウモリ』でも東京都の門前仲町や隅田川テラス、愛知県の安城や常滑といった実在の場所がふんだんに登場し、それぞれの場所にちなんだ謎やドラマが展開していきます。映画化に際しては、その土地での撮影はもとより実際に暮らしている地域の方々の起用にこだわったのだとか。


 「事件解決の糸口になるやきもの散歩道はもちろん、鬼崎漁港などを含めて和真と美令が手がかりを求めて歩き回り、一緒に時間を過ごすことで『手をつなぐ』行動に繋がっていくと考えました。その部分に真実味を出せるよう、俳優ではない現地の方々に実際に出演してもらいました。土地それぞれに空気感があるとしたら、そこに生まれた人にしか出せない雰囲気もあると思うんです。和真と美令が置かれた悲しい状況を包み込む土地と、そこで日常を送っている人のリアルな空気感が上手く作用してくれました」


 演技経験のない地元民の抜てき、しかも松村さん、今田さんと共に重要なシーンを任せる采配は大きな賭けでもありました。岸監督の背中を押したのは、不朽の名作『砂の器』(1974)だったとのこと。


 「同作の巡礼シーンに顕著ですが、人間の業(ごう)と風景は作品に大きな力を与えてくれるものだと思います。本作でも、いかにその地に生きる人々の匂いや味わいを画面に出せるかが深みにつながるはずだと考えました」(岸)


SNSに寄せられる期待の声

 映画『白鳥とコウモリ』についてSNSでは「早く観たい」「東野作品は外れはありません」「原作からどんな感じになるか、楽しみすぎる」「立場の違う2人がどこかで繋がっていて、点と点が繋がっていく東野作品ならではの視点が面白い」「予告を見て、『映画を絶対見る! それまでに原作も読んでおこう!』と決めてました」など、期待の声が続々と寄せられています。


作品概要

原作:東野圭吾 『白鳥とコウモリ』(幻冬舎文庫)


製作幹事:松竹 日本テレビ


監督:岸善幸


脚本:向井康介


出演:松村北斗 今田美桜


柄本佑 / 前原滉 井之脇海 宇野祥平


松岡依都美 松尾諭 丸山智己 三浦誠己 斉藤陽一郎


原田琥之佑 のせりん 漆山拓実 五頭岳夫


中村芝翫(特別出演) 井川遥 吉田羊 風吹ジュン


三浦友和


制作会社:テレビマンユニオン


配給:松竹


コピーライト:(C)2026「白鳥とコウモリ」製作委員会


公開:9月4日(金)全国公開




    ニュース設定