2026年F1第13戦イタリアGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ) 誰がこんな結末を予想しただろう。アルピーヌのピエール・ガスリーが、2026年F1第13戦イタリアGPでF1キャリア初となるポールポジションを獲得した。大本命のジョージ・ラッセル(メルセデス)を0.060秒差で抑え、母国GPのフェラーリ勢やマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を0.2秒以上引き離しての堂々たるポールポジション獲得だった。
「予選Q1の1周目から、ずっといい感じだった。だからポールポジションを獲る気は、満々だったよ」
予選後インタビューでガスリーはそうコメントしていたが、直前のフリー走行3回目は首位ラッセルから0.6秒落ちの9番手。前日のフリー走行2回目は14番手が精一杯で、ポールポジションどころかQ3進出も厳しい状況だった。ただし、ストレートスピードはカスタマーといえど同じメルセデス・パワーユニット(PU)だけに、メルセデス・ワークスとほぼ互角レベルで、ガスリー自身も「僕たちのポテンシャルを反映した結果じゃない。Q3争いに加われる自信はある」と、あくまで強気だった。
その根拠は、まずはメルセデス製PUの優位だろう。長いストレートが続くモンツァ・サーキットでは、優れたエネルギー回生能力が特に大きな武器になる。そして車体面で言えば、前戦オランダGPに投入された大幅アップデートが大きかった。
アルピーヌにとっては今季初の大規模変更で、フロアの全面的な再設計をはじめ、サイドポッド、ディフューザー、リヤウイングにも新しいデザインが導入された。空気抵抗の軽減やフロア下のダウンフォース増大を目的としたこのアップデートが、モンツァの超高速コースで存分に機能したと言っていい。
ガスリーと言えば2020年、アルファタウリ・ホンダ時代に見せた予選10位からの劇的F1初優勝が、今も記憶に新しい。しかし決してモンツァを得意にしているわけではない。2020年の勝利を除けば、イタリアGPの最高位は8位。アルピーヌ移籍後は、予選では一度もQ3に進めず、レースもノーポイントが続いていた。
アルピーヌは昨シーズン中の改良を犠牲にして、今季マシン『A526』の開発をかなり早い段階から進めていた。その結果、去年は選手権最下位に沈んだ代わりに、今季は序盤からほぼ毎レースで予選トップ10入り、レースでも入賞を重ね、トップ4チームに次ぐ選手権5位を争うポジションにつけた。
しかしライバルたちの追い上げは素早く、第7戦バルセロナGP以降は予選で一度もQ3に進めず。夏休み前のハンガリーGPでは、ついにレーシングブルズに選手権5位の座を奪われてしまっていた。オランダGPでのアップデート投入はその意味で、待ちに待ったものだった。
モンツァは追い抜きが比較的容易なこともあり、決勝レースでガスリーがこのまま首位を守り切ることは、正直かなり難しいと思われる。さらに痛いことに、ガスリーはこの週末の直前、モナコGPでの3位表彰台を失った。その結果、レーシングブルズとアルピーヌのポイント差は12点まで広がってしまった。
レーシングブルズのアービッド・リンドブラッドは9番グリッドスタートを予定している(予選7番手のアンドレア・キミ・アントネッリ/メルセデスがグリッド降格のため)。ガスリーがどこまで踏ん張って見せるか。それも決勝レースの大きな見どころになるだろう。
(取材・文 柴田久仁夫)
[オートスポーツweb 2026年09月06日]