
元宝塚歌劇団星組トップ娘役の妃海風(37)がビルボードライブツアー「Magic hour」を大阪(25日)、横浜(10月2日)で開催する。宝塚退団から10年。舞台、ドラマ、ライブと精力的に活動する彼女の姿は明るく、生き生きとしている。そんな彼女の人柄に迫った。【取材・構成=阪口孝志】
◇ ◇ ◇
16年11月に宝塚を退団し、まもなく10年になる。宝塚音楽学校から数えると、退団後の芸歴の方が長くなった。
「千と千尋の神隠し Spirited Away」など多くの舞台で活躍。24年度後期NHK連続テレビ小説「おむすび」に看護師桑原美和役で出演した。直近でも、元宙組トップ凰稀かなめ主演「TARKIE」や、星組、宙組スターとして活躍した七海ひろきがプロデュースし、宝塚OG9人が出演した「MISSDIRECTION」でも存在感を示した。
「ありがたいことに立て続けにお話をいただいて。ずっと働いているのも好きですのでうれしい。七海さんとは星組時代にご一緒させていただいてすごく優しくしていただきました。私がトップ娘役をしていたときも、くじけそうなときに袖で落ち込んだりしていると、そっと『大丈夫だよ』って支えてくださった。退団してからも気にかけてくださって、ことあるごとに連絡をくださったり、お食事に行ったりしていました。そうしたら、まさかのお声がけをいただいて。プロデューサーとしてしっかりオファーをくださって、そういった面もステキだなって」
|
|
|
|
千と千尋の神隠しで共演した女優橋本環奈とは、おむすびでも共演。仲がいい。
「千尋役とリン役で、たまたま意気投合して、そういったご縁から朝ドラでもご一緒させてもらって。環奈ちゃんしかりですけど、どこから人と出会って、どのお仕事につながっていくのか全然分からない世界なので面白い。突然決まって、また次の出会いがあって。舞台で密に一緒にいた人たちが千秋楽が終わって一気に解散して、会わなくなる人はまったく会わなくなる。でも、カンパニーの中に1人か2人、ご縁が続く人がいて、環奈ちゃんもすごく続いた1人だった感じですね。最近感じるのは、私がこうしよう、ああしようとし過ぎるよりも、自分が『好きやなぁ、わくわくするなぁ』って直感に従った方がいろんなものが集結していく感じがしています」。
この考えが根底にあるからこそ、活躍の場は舞台やライブだけにとどまらない。カンテレの情報番組「よ〜いドン!」の名物コーナー「となりの人間国宝さん」では町ブラに挑戦。関西弁全開の明るいキャラクターを見せたかと思えば、“国宝さん”のエピソードトークに共感しすぎて涙を流すなど、感情豊かなロケでMCの円広志らをうならせた。
「おうちでクヨクヨ悩んだり悲しくなったりっていう繊細な部分ももちろんありますよ。でも、ファンの方々も『見ていると元気をもらえる』と言ってくれて、『あ、自分って元気を与えられる存在なんや』っていうのを知りました。悲しいときも思い悩むこともあるけど、すごく元気を与える存在、明るいんやとファンの方々から教えられて、妃海風というのが作り上げられている気もします。笑ってる方が気持ちいいですしね。自分が好きなタイプの人もクヨクヨしているよりは笑顔で一緒にお仕事したいし。エンタメをしているうちは明るく元気を与えられる存在でありたいなと思います」。
「TARKIE」で演じた笠置シヅ子さんや、ショーで松田聖子に扮(ふん)して歌う姿はエンターテイナーそのものだった。
|
|
|
|
10月18〜19日には、元雪組トップ娘役舞羽美海とともに吉本新喜劇の「末成歌劇団特別公演〜それでも私たちは夢を見る〜」にゲスト出演する。
「出たかったですよ。出たくありません? みんな思うでしょ。学校終わって、チャーハンかそうめん食べながら吉本新喜劇…みたいな環境で見て育ってるんで!一番感動したのは出演を発表したときに今までにないくらい、宝塚に入ったとき以来くらい、関西の友達から『おめでとう』『デビューやん』『映薫さんから学びや』みたいな連絡が(笑い)。根付いているものがありますからね。その人たちと同じ舞台に立てる。かなりしびれます」と根っからの関西人らしい喜びを口にした。
宝塚95期生。全5組にトップを輩出した黄金世代として知られる。雪組トップ朝美絢、宙組トップ桜木みなとらが現役として活躍しており「同期が出てると行きますね。応援しに行きますね。元気ももらえますから」と定期的に観劇している。
「大変やろうなって思いますよ。あのきらびやかな世界で、ショーの内容もてんこ盛り、踊ってる内容もすごい。よー頑張ってはるって」と敬意を表する。
一方で、「退団してみて、どっちの大変さもあると思いますね。劇団にいたときは守られている感もあったけど、外に出ると自分で開拓していかなきゃいけない。常に精いっぱい生きていますけど、今日一日、どうやって悔いなく生きていけるかシミュレーションしていかないと取りこぼしてしまうんじゃないか。目いっぱい1日を生きたいという感覚が年々、強まっている感じがします」という。
|
|
|
|
星組で苦楽をともにしてきた礼真琴も昨年、退団した。
「彼女とは昔から運命共同体と言いあってて、人にはわかり得ない何か心の繊細な部分がわかり合えるところがある。心の奥底で抱きしめ合ってる感覚があるんです。退団してからは、お出かけするときも会っただけでホッとしたり、おしゃべりしてても聞いてるだけでホッとするとか安心する存在やなって。退団して寄り合う機会は増えると思いますし、共演? 恐ろしい実力の持ち主ですから…。でも、共演してみたいですね。お互いの個性を見せられたら面白いと思う」。
英語を勉強し、ロンドンへ舞台を見に行くなど向上心は尽きない。
「お芝居っていうものが人の心を動かすと思っています。舞台に立つたびに『いいお芝居とはなんなんやろ?』って思っていて、魂をすり減らすほどお客さまに伝わって一体になっている気もする。そこをもっと深めていきたいという思いが貪欲(どんよく)にあるので、しっかりお芝居を学べる方々と共演してみたいですね。ロンドンで舞台を見させていただいても、リアルタイムで起こっている出来事を見ているような感覚で一緒に悲しくなったりという経験をさせてもらったので、それはどこからお芝居をしているんだろうっていうのを学びたい」。
そんな妃海が舞台と同じくらい情熱を注ぐのが歌だ。
「ミュージカルもするのも拝見するのも好きなんですけど、1曲1曲の歌がすごい好きなんですよ。特に昭和歌謡、Jポップ。1曲に思いを乗せる、情景が見える、というのが好き。詩を書くのも好きで、ほぼポエムなんですけど、日記を毎日書き続けていて、いつか歌にして皆さんにお届けできるのが夢ですね。言葉にすることができなくて、歌やったら伝えられるってありません? カラオケで酔っ払って歌ってて、何か泣いてるみたいな。言葉で言ってるより、歌に乗せた方が感情が乗っている、あの感じが好きです。だから、誰か曲を書いてください。募集します(笑い)」
その思いを体現する場がビルボードライブ。自ら“ロマンチックな空間”を演出する。スペシャルゲストに招くのは、小学生の時にファンクラブに入り、人生で初めて“あこがれた人”真琴つばさ。昨年開催した宝塚OGによるショー「EXPO2025 未来へのOne Step!」で初共演し、あふれる思いそのままにオファーした。
「今回の『Magic hour』っていうのが、今後の自分の人生の指針として、自分がときめく気持ちを忘れずに人生を生きていきたいというのがあって、ワクワクする、ときめくものを選んでいこうというテーマのライブにしたいと思っていました。それを航海にちなんだストーリーで、人生で初めてときめきを教えてくださった真琴さんをお呼びすることで一緒に歌わせていただく。昨年共演させていただいたときに、小学生の私の細胞が全部よみがえって涙があふれる、ときめく気持ちを一生忘れたくないと思いまして、今回オファーさせていただきました」。
大阪、横浜の全4公演でバラードのセットリストを入れ替え、港町のさまざまな恋模様を歌い上げる。
「曲は皆さんが分かる曲が多いと思います。真琴さんとのコーナーも『これを二人でデュエットするんだ』と当日までお楽しみにしてください。目いっぱい、ビルボードというステキな空間でお酒を飲んでいただきたい。『Magic hour』というタイトルにちなんだオリジナルカクテルも作りました。ときめく空間でゆっくりしてもらって、私も真琴さんとともにときめいてステージに立ちたいと思うのでぜひ見に来てください」と呼びかけた。
|
|
|
|
|
|
|
|
Copyright(C) 2026 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。