【F1】角田裕毅「僕はレースがしたい。それがF1であれば」 2027年のシートをつかむ三度目のチャンス到来

0

2026年09月11日 16:40  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

 二度あることは三度ある──。

 この使い古された諺(ことわざ)は、角田裕毅(レーシングブルズ)がつかんだこのチャンスには当てはまらない。

 幸運にも巡ってきた最初のチャンスで実力を見せ、自分の力で二度目のチャンスを引き寄せた。その二度目のチャンスでは入賞という結果も示したからこそ、この三度目がある。

 F1初開催となるマドリンク(第14戦スペインGP)に姿を見せた角田は、過去2戦以上にリラックスしていた。

「マシンの挙動もどんどん理解が深まってきていますし、自分自身のどこをさらに改善できるかもわかっているので、今まで以上にワクワクしています。レギュラードライバーの時に、次のレースでさらに改善できるように取り組んできた。そういうプロセスをこの3戦で経てきているので、さらに気持ちよく走れるようになってきています」

 舞台となるマドリンクは、マドリードの空港に近い国際展示場IFEMA周辺の公道に、新たに造成されたパーマネント区間を組み合わせた半公道サーキット。後者は24度のバンク角がついた550メートルの高速ロングコーナーに代表される、流れるようにコーナーが連続するセクションだ。

「まだ歩いていないのでシミュレーターで走っただけですけど、サウジアラビアのようでもなく、モナコのようでもなく、どことも違っていてユニークなサーキットだと思います。シミュレーターで走ったのと比べて、どのコーナーがどこかというのを覚えてしっかりとコースを理解するのに、けっこう時間がかかりそうですね。でも、楽しそうです」

 サーキットの"こけら落とし"として行なわれたFIA F3の公式テストでは、2日間で19回もの赤旗が出され、3台のモノコックが全損になったという。速度域が高いにもかかわらずコース幅は12メートルと狭く、特にコーナー出口にはマシンを誘い込むように壁が迫る。

 そのリスクを理解しつつ、それでも角田は特にひるむわけでもなく、平常心でこの週末に臨む。

【サーキットがハイリスクであろうとも】

「普通の市街地サーキットと同じような感じだと思うので、最初から全開でプッシュするようなことはせずに臨むべき。特にここは路面がスリッパリーで、トラックエボリューション(路面改善)もかなり大きそうなので、普通の市街地サーキットのようにイージーにアプローチするつもりです」

 クラッシュして走行時間を失うようなことはせず、少しずつマシンとサーキットに対する自信をビルドアップしていく。必要なのはフリー走行の順位ではなく、予選でフルに実力を発揮すること。それがこういったサーキットでは重要だ。

 角田としては急遽ドライブすることになった初戦のオランダGPに比べ、イタリアGPを経て2026年型マシンへの理解と習熟は格段に深まっている。

「レースごとに理解は順調に深まってきていますし、違和感というかマシンに慣れきっていない感覚もだんだん薄くなってきているので、それはいいことだと思います」

 当初に懸念していたブレーキのフィーリングも、モンツァ(第13戦イタリアGP)のハードブレーキングでかなり習熟が進んだという。また、複雑な2026年型エネルギーマネジメントに関する経験値も、モンツァで深まった。

 モンツァの予選ではアウトラップのバッテリー準備でミスを犯し、わずかなバッテリー状況の差が大きなタイムロスにつながり、Q1落ちを喫してしまった。だが、イタリアGP後にシミュレーターでしっかりと学習して、このマドリードに乗り込んできたという。

「モンツァの経験で、アウトラップは慎重にやらなければいけないのを痛感しました。アウトラップの準備については、イタリアGPのあとにマドリードに向けてさらにシミュレーターで練習してきました。モンツァほど難しくはないので、いいほうには進むかなと思います」

 マシンへの理解が深まり、結果も伴い、自信を持って臨むことができる3回目のチャンス。サーキットが特殊でハイリスクであろうと、その自信があるからこそ、角田はリラックスしていられるのだろう。

【どれだけレースを欲していたのか】

 2027年のシートを巡る状況も気になるところ。しかし、角田自身はそれに気を取られず、交渉に関してはマネジャーに任せて、自身はパフォーマンスを発揮することに全力で集中するだけだと割りきっている。

 ただ、望むのはF1。それも、リザーブではなくレースシート。

「来年も(リザーブドライバーとして)ピットガレージに立っている、なんてことは考えていないですね。そういうことはやりたくないので。僕はレースがしたい。ほかのマシンと一緒に走ってレースがしたいです。できれば、それがF1であればと思っています」

 代役出場のチャンスに恵まれたからこそ、あらためてわかった。どれだけレースが好きだったのか。どれだけレースを欲していたのか。

 巡ってきたチャンスから実力で二度目、そして三度目につなげたように、さらなる未来を切り拓く。スペインGPはそんな週末にできるだろうか。

 F1に残り、F1でレースがしたい──。これまで漠然としていた思いは今、はっきりと角田のなかにある。

米家峰起●取材・文 text by Mineoki Yoneya

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定