誕生日前に福島へ旅行しました 橋田壽賀子脚本の人気長寿ドラマシリーズ『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)で10歳から12年間、“加津ちゃん”こと野々下加津役を演じていた宇野なおみさん(37歳)。かつて“天才子役”と呼ばれた宇野さんは現在、フリーライター、エッセイストとして活動中です。
そんな宇野さんが30代女性として等身大の思い、ちょっとズッコケな日常をお届けするエッセイ連載。今回は1年間エッセイを書き続けて、自分のなかで変化したことを綴ります(以下、宇野さんによる寄稿)。
◆連載開始から1年が経ちました
エッセイを書き始めて1年。
今、人生がとっても楽しいです。書くことが自分を癒すというのは、本当かもしれませんね。
皆様、ごきげんよう、宇野なおみです。まだまだ暑いですね。お盆あたりの涼しさはなんだったのでしょうか……。
さて、このエッセイ「話そ、お茶しよ、元気だそっ」連載開始から、なんと1年が経ちました! なんとめでたいことでしょう!
読んでくださった皆様、応援してくださった皆様、ありがとうございます。今回は一周年記念ということで、ちょっと思い出語りを。
ちなみに8月26日に誕生日を迎え、ますます立派なアラフォーでございます。貫禄ついたかな?
◆エッセイを書くことで環境も自分も変わっていった
この1年、「エッセイ読んだよ」「Yahoo!ニュースで見たよ」といった声を、友人や知人、元共演者の方など、たくさんいただきました。月に1〜2本エッセイを書くというのは、大変ですが面白く、また、私の人生には今までなかったことです。
今でこそ、こんなふうに全世界に向かってベラベラと己のことを書いているわたくしですが、実は「自分のことを書いたって、需要なんかないだろう」とずっと思っていたんですよ。
ライターとして、記事なら、クライアントやインタビュー相手、読者の方、みんなが幸せになれる、質の良い記事を書くことができる、という自負はありました。
ブログを長年書いてきて、YouTubeもやってはいましたが、なんというか、ドラマチックな生い立ちでも育ちでもなく、今普通にのほほんと生きている元子役の経験談を「仕事で」話しても、たいして面白くはないだろうと思い込んでいたんですよ。小さい時に『いつ見ても波瀾万丈』観過ぎたかな……。
でも、女子SPA!さんから「チャレンジしてみませんか」とお話をいただいて、挑戦してみることに。
いざ始めてみるとうまく書けない。でも仕事ですから、書くしかない! 嗚呼、私って、生粋の真面目。
最初は、全3回の短期連載の予定。ほうほうの体で提出してから公開までずっと不安でした。
「どうしよう」
「本当に公開になるんだ」
「あれでよかったかなあ……」
「面白いと思ってもらえるかな?」
と、はらはらしておりました。いくら私が、共演者やスタッフの皆さまから神経が太いと散々言われてきた、ふてぶてしさではほかの追随を許さないといっても、当初、それはそれはいじらしいものだったのです。自分で言わなきゃもっといいのに。
しかも短期連載ですから、反響がなければそこで終わりです。拝む・祈るような日々が続きました。
◆「読んだよ」という声が届いて、ちょっとずつ調子に乗り始める
しかしまあ、インターネットの中の出来事とは現実には関係ありませんので、黙々と仕事をしていました。ちょうど『ウチ、断捨離しました!』の収録やら、取材で飛び回っては記事を書きまくるという時期がかぶってだったので、バタバタでしたしね。意外と忙しかった、昨年の夏。
実感がわいてきたのは、Instagram(@naomi_1826)のフォロワーが増え始めた時でした。
読んだよ〜! という連絡をもらったり、コメントをもらったり。あれ〜もしかして結構読んでもらっているのでは……と思ったのでした。オーストラリアの友人も翻訳機能で読んでくれたそうな。
無事3本目の英語ネタが公開になり、ほっとしていたところ、本連載決定のご連絡をいただきました。
「あれ、これ、いけるのかな!?」
ハイ、まじめなくせに調子に乗り始めたわけですね。僕の悪い癖。
◆エッセイストになったぞ!と思いきや……
エッセイストって名乗っていいんだ! とウキウキしながら続きを書き始めて、アップされたものをチェックして。
ここで調子に乗った弊害が即、出ます。モデルナワクチンの副作用並みに早い。
――あら、なんか、あんまり読まれてないカモ……?
こういうのは数字を見せてもらわずとも、肌感でわかるものです。
「打ち切り」
ジャンプ愛読者だった私の脳裏にこの4文字がよぎりました。Webの連載枠など、数字がなければ嵐の海辺の落ち葉並みに儚いものです。
いやだー! せっかくいただいたチャンス! ということで、編集さんに相談しつつ、反響とニーズなどをすり合わせる、フックをちゃんと作る、オチはしっかり練るなど、いろいろ試行錯誤を繰り返しました。
現在まで続けられているということはなんとかなったということでしょう。連載とは別に、大ファンの高殿円先生に取材できたのもよい思い出です。
◆さらけ出す!自分が変わったなあと思ったエッセイとは?
エッセイってキラキラした毎日や丁寧な暮らしなど、素敵な生活をつづるものだと思っていたので、書くときにアロマキャンドルなど焚いてみたこともあったんですが、倒して火事になりそうだったので早々にやめました。
どうにも『ズッコケ三人組』のハチベエみたいな性格なので、どうあがいてもおしゃれな生活にはなれない。まあ仕方ないと、どんどん素直に書くようになっていきました。でもこれが、読んでいただけるフックにもなったみたいで。
特に転機となったのは、渡鬼でお世話になった方の訃報について書いた時かもしれません。自分の痛みと後悔と感謝と、全部書きました。
あとは、オーストラリア日記とか、最近書いたバイト経験についてとか、弱さをちゃんと言語化できるようになった気がします。
文章にして、エッセイにするには、先に自分の中で考え尽くさねばなりません。突き詰めて考えることで、ある種客観性が出てくるのだと知りました。友人に愚痴や弱音を言うときも、ちゃんと「エピソードトーク」に仕立てられるようになったという、謎の副産物も。
◆自分の書いた文章を、自分を、個性だと受け入れられるように
プロとして自分のことを書く、という機会を通じて、書いた文章と己自身を個性だと、受け入れられるようになったと感じます。
日記など、書くことはセラピーだとよく言われますが、本当かもしれません。
最近は人に送り付けるずうずうしさも持つように。変わりすぎでは? これからももっと頑張ります! 乞うご期待!
<文/宇野なおみ>
【宇野なおみ】
ライター・エッセイスト。TOEIC930点を活かして通訳・翻訳も手掛ける。元子役で、『渡る世間は鬼ばかり』『ホーホケキョ となりの山田くん』などに出演。趣味は漫画含む読書、茶道と歌舞伎鑑賞。よく書き、よく喋る。YouTube「なおみのーと」/Instagram(naomi_1826)/X(@Naomi_Uno)をゆるゆる運営中