

「じゃあ、お父さんはあなたが可愛くないから仕事をしていたんだって……そう思う?」母にそう言われて、俺はふと気が付く。父は俺たちとずっとそばにいたい気持ちを持ちながら、だからこそ頑張って仕事をしていたんだろう。

俺は「なんとかなる」っていう楽観的な考え方をしていた。その気持ちもたしかに大切なのかもしれない。けれど女性の身体的な辛さは共有することができない分……金銭面での苦労はかけさせないように、頑張る必要があるのだろう。

義姉の言葉は俺の心にガツンと響いたし、両親の言葉は温かい気持ちを思い出させてくれた。いろいろな夫婦の考え方があっていいし、いろいろな形があっていい。ただ、それを決めるのは「俺」じゃなくて「俺たち」だというところが完全に抜け落ちていた。
安易に「育休を2年とる」と決めた俺に、ツバサが不信感を抱くのは当然だ。だからツバサは俺にイライラしていたし、実家に帰ってしまったんだろう。そこを乗り越えられるかどうかで、夫婦の未来、家族の未来は変わっていくはずだ。いますぐツバサのところに行って、ちゃんと謝って話し合いたい。心からそう思ったし、コウタロウにも会いたくて仕方なかった。
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