アンジュルム卒業から10年の田村芽実が演劇ユニット主宰 アイドル時代の忘れ物と向き合う

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2026年09月13日 08:00  日刊スポーツ

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舞台「オンリー・ロンリー・ガールガールガール」で企画、脚本、演出、出演全てを手がける田村芽実(撮影・鈴木みどり)

アイドルグループ、アンジュルムを卒業して10年になる。田村芽実(27)。今やミュージカル界の超売れっ子となる中、自ら脚本、演出、出演する「シアターユニット小梅ちゃん」を旗揚げした。第1回公演「オンリー・ロンリー・ガールガールガール−普通になれなかった私たちに捧ぐ物語−」(10月1日から、東京・I’M A SHOW)で、アイドル時代の忘れ物と向き合っている。【梅田恵子】


★脚本、演出、出演全て


27歳にして演劇ユニット主宰。脚本、演出、出演をすべて自身が行う挑戦である。その思いを聞くと「ファンの皆さんとの約束を果たすため」と即答した。


きっかけはコロナ禍。配信ミュージカルを企画し、200万円を調達するためクラウドファンディングを募ったところ、約3000万円集まった。「余ったお金で本公演やります、と言ったまま、大きなお仕事をどんどんいただけているうちに25歳を超えてしまった(笑い)。せっかくなら新しい挑戦をして、その姿を見てもらいたいなって」。


グランドミュージカルの主演、出演が途切れることがない人気者だが、表現者として「このままだと死ぬ」「終わる」と、新しいレールを模索していた時期でもあったという。


「ミュージカルは海外の人物を演じることが多いんですよね。異なる文化や宗教を勉強したり、強い女の子を演じたりするのは楽しいけれど、それが続くとアイデンティティーが迷子になる感覚がある」。群馬県に生まれ、父は公務員、母は専業主婦。「そんな私の心とリンクする作品にも出たいけど、なかなか声がかからない(笑い)。じゃあ自分で作ろうと。大切にしたい世界観を見失わないためのホームを持っておきたかった。大好きな海外ミュージカルを長く続けていくためにも、必要なタイミングでした」。


★自身の少女性投影


描いたのは、児童養護施設出身の3人の女の子(田村、原田真絢、伊藤かの子)の日常だ。それぞれが夢にたどり着けない中、隠していた本音や孤独が、ある出来事をきっかけにあふれ出していく。「外から見れば普通に生きている女の子たちも、みんな何かを抱えて、もがいて生きている。世の中、みんなそうだと思うんですよね。それでも生きていく、という私自身のテーマを物語にしました」。


キャラクターの中に、自身の「少女性」を投影させたという。「12歳から芸能界という大人たちの世界でバリバリ働かせていただき、子どもでいたい時に子どもとして生きられなかったという思いがある。大人になりきれなかった何かが心の中にすみ着いている感覚。少女性やイノセントな部分など、等身大の自分を投影したらこうなりました、という感じです」。


★幼児期から歌劇曲


演劇好きな母親の影響で、幼稚園時代からミュージカルスクールで学んだ経歴の持ち主。「しゃべり始めたころから劇団四季さんのナンバーを歌っているビデオが家に残っています(笑い)。宝塚歌劇も大好きで、とにかく華やかな世界が大好き! 絶対に演劇やミュージカルの世界に行くと決めていました。夢はかなっているんですよね」。


夢への馬力の根源を聞くと「やりたいことはやってみないと気が済まない性格。何でもストイックにやってしまう」と笑う。「たまご焼きを作りたいと思ったら、テフロン加工がはがれていても作る(笑い)。焦がして『やっぱりね』となるまでがワンセット」。


★アイドル辛かった


舞台女優を目指しながら、12歳でハロー!プロジェクトのアイドルグループ「スマイレージ」(現アンジュルム)の2期メンバーとなったのも、気持ちに一直線な性格によるものだ。「小学5年の時に1期メンバーの方たちと舞台共演して以来、スマイレージの大ファン。2期メンバー募集と聞いて、グループの形が変わってしまうのがショックだった。嫌いになるくらいなら、自分がなってしまおうと」。とことん、実行力、実現力の人である。


約5年間のアイドル時代は「つらかった」と振り返る。「誰より練習しても自分よりかわいい子がいたり、実力やルックスだけでは測れない人気というものに振り回されたり。なんでマルなのか、バツなのか、幼くて客観視できなくて、毎日泣いて、死ぬ気でやっていましたね。一番年下なのに熱すぎて、すごい浮いていたと思う(笑い)」。


★今への大きな財産


アイドル時代の経験は大きな財産という。「これでもかというほど田村芽実という個人を応援してもらった。そこの欲求が満たされたから、作品の一部としてお芝居を頑張れる今がある。今でも応援してくれるファンの方たちと一緒に年をとっている感覚があって、親戚のおじさんみたいで心強いです(笑い)」。


16年に卒業し、原点である演劇、ミュージカルの世界で再スタートした。本田美奈子.さんの歌手人生を演じた舞台「minako−太陽になった歌姫−」の歌声で一躍演劇界のニューフェースとなり、「ウエストサイド・ストーリー」ヒロイン、「プリティ・ウーマン」主演、単独ライブ活動、朝ドラ出演(「らんまん」「おむすび」)など幅広く活動。アイドル出身者の成功例のひとつとして、道を切り開いてきた。


★パニック障害公表


4年前にパニック障害の診断を受け、昨年公表。そんな経験も「よかった」と受け止めている。「常に頑張りたいし、1番にこだわってきたけれど、時には頑張らない自分も認めてあげないと、ある日突然終わっちゃう可能性もあったなって。表現にも出るんですよね。しんどかった時のパフォーマンスを見返すと、表情に余裕がない(笑い)。『みんな』がどう思うかも大事だけど、ちゃんと『私』と仲良くなろうって」。


自身の脚本を人に演じてもらう作業を通し、気付きも得た。「うまい、ヘタではなく、作品にどれだけ心を寄せていくかという心意気が人の心を動かすんだと、作る側になってひしひしと感じた。お芝居を愛しているということだけは100点という自信を強く持ち、人とのご縁をつないでいけば、行けるところまで行けるんじゃないかと」。


現在27歳。子役を振り出しに、アイドル、ミュージカル、演劇ユニット旗揚げと、夢はすべて実現させてきた。次の夢は「子どもたちへの福祉」という。


「子どものころから子どもが大好き」で、格差、虐待、難病など子どもをめぐる社会問題に演劇がどう貢献できるのか、現場に足を運び、何年も学んできた。作品に登場する3人の女の子を児童養護施設出身としたのもその第1歩だ。「いつか、自分で児童養護施設を作りたい。演劇とは違うベクトルだからできることがあるはず」。必ず実行し、実現させるのだと思う。


▼舞台「オンリー・ロンリー・ガールガールガール」音楽担当の吉澤嘉代子


田村芽実さんは夢を夢のままにしておかない人です。何年か前に「いつか舞台をつくりたい」と話してくれたこと、それを本当にかなえて現実にしたこと、そしてその舟に私も乗せてくれたこと。すべてが尊い宝物です。打ち合わせでは作品への愛情とひらめきをまっすぐに伝えてくれて、私の想像を何度も飛び越えていきました。また、音楽を作品の核として大切に扱っていただきました。少女のようなみずみずしさと、ものづくりへの強い信念を持った人です。この舞台がたくさんの方の心に届くよう、私も心ここに歌を書きました。


◆田村芽実(たむら・めいみ)


1998年(平10)10月30日、群馬県生まれ。11年、スマイレージ(現アンジュルム)に加入しデビュー。16年5月卒業。17年、舞台「minako−太陽になった歌姫−」で主人公の本田美奈子.さん役に抜てきされ話題に。音楽活動、ドラマ、エッセイなど幅広く活躍中。

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