ビッグネームとのトリオ結成が示す“信頼関係”「この経験をホンダに持ち帰る」と太田格之進/鈴鹿1000km

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2026年09月13日 11:20  AUTOSPORT web

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予選後、チームメイトと話す太田格之進77号車メルセデスAMG GT3エボ(メルセデスAMG・チーム・クラフト・バンブー・レーシング) 2026年IGTC第4戦鈴鹿1000km
 日没直後、予選Q2のファーストアタック。1周のウォームアップ後に早くもプッシュラップに突入した太田格之進は、77号車メルセデスAMG GT3エボに鞭を入れ、猛然と鈴鹿サーキットを駆け抜ける。セクターベストを更新しながら疾走する緑色の“タクシーカラー”のメルセデスに、サーキット中の熱視線が注がれた。

 太田はAstemoシケインも難なくまとめると、最終コーナーでは右側タイヤをグリーンに落とさんばかりの勢いで“究極の小回り”。その様子からは、ホームコースで速さを見せつけるという強い意志が伝わってきた。前日プラクティスの赤旗時スピード違反によって決定していた3グリッド降格を挽回したい思いもあったのかもしれない。

 コントロールラインを横切ってマークしたタイムは1分58秒455。その後のQ3を含め、誰も破ることができない最速タイムとなったが、予選後の車検で2.5kg、最低車重に届いていないことが明らかとなり、77号車は予選の全ラップタイムが削除に。世界の舞台で速さをアピールした太田だったが、数字上、レコードタイムは“幻”となってしまった。


■「自分にとって一番大きな目標を大事にしたい」

「やっぱり、勝ちたいという気持ちは去年以上にあります」

 メルセデスAMG・チーム・クラフト・バンブー・レーシングから、2年連続のIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第4戦鈴鹿1000kmに出場している太田。今年は、IGTC第2戦ニュルブルクリンク24時間優勝者でもあるルカ・ストルツ、マキシム・マルタンというメルセデスが誇るトップドライバーふたりとトリオを組んでいる。

 太田は9月12日の予選前、今回のラインアップを「嬉しいし、刺激にもなる」と語った。

「昨年と同様にメルセデスが誇るワークスのふたりですが、今年ノルドシュライフェ(ニュルブルクリンク)も優勝してるし、そもそも彼らはIGTCのチャンピオンシップを争っているわけで。そんな状況で、僕を信頼してこのラインアップに入れてくれたということで、メルセデスとも、チームとも、いろいろなところといい信頼関係を築けていると思います。そこに対してすごく嬉しい気持ちが大きいですね」

 ホンダのドライバーである太田は、将来の海外レース参戦を見据えて、数年前からクラフト・バンブーとの協業を開始。その活動に対してはホンダも理解を示し、サポートしている。以降、さまざまなチームからデイトナ24時間やセブリング12時間をはじめ、今年はル・マン24時間レースにも出走するなど、ここ数年で急速に活躍の舞台を広げている状況だ。

 今回の鈴鹿1000kmを含め、それらレースで実績を残すことができれば、さらなるチャンス──たとえばIGTCに含まれるニュルブルクリンク24時間、スパ24時間など──も訪れるように感じられる。太田本人としても、そのあたりはしっかりと意識しつつも、“最終目標”に対してはブレることなく邁進しているようだ。

「皆さんご存じのように、僕の目標というのはアメリカのレースに出ることだし、そこへ向けて外国のチームとの経験を増やすということで、ホンダにも了承をもらって送り出してもらっていますから、やっぱり自分にとって一番大きな目標を大事にしたい。そこに対して、マイナスにはならない範囲で(レースに参戦したい)、とは思っています」

「ただもちろん、デイトナとか、ル・マンとか、ああいうレースに出ると、刺激にもなるし、やっぱりすごい成長できるんですよ。周りがみんな本気でかかってくるイベントだし、チームやドライバーの層も厚い中でレースができるので。コースへの適応とかドライビングはもちろんですが、そういったビッグイベントへ向かっていくときのメンタルの合わせ方とかで、ドライバーとして成長できる部分があって。そういった『ビッグレース慣れ』もすごく大事なことだと思っています」

「IGTCのスパやニュル、そしてバサーストは、僕の『出たいレースリスト』には入っているし、こうやってメルセデスの息がかかったチームで参戦して、そこで良い走りができれば、そういうところにも繋がってくると思います」

「もちろんホンダのファクトリードライバーなので、そこでのプログラムが優先度ナンバー・ワンですけど、ここで経験したことをホンダに持ち帰ることも重要だと思っているし、実際にそれができているのは間違いないので、そういうところも意識しながらやっています」

 走行前日の木曜日には、今回の特別カラーも記念してストレート上で記念撮影が行われたが、その際にはメルセデスAMGのカスタマーレーシング部門責任者であるステファン・ウェンドルと和やかな雰囲気で談笑する太田の姿も印象的だった。

 今週末は世界で5つの主要レースイベントが重複しており、どのドライバーをどのイベントに送り込むかはウェンドルも頭を悩ませたと明らかにしていたが、そんな状況下での今回のラインアップからは、太田が日本やアジア地区での“有力なオプション”となっているようにも見受けられる。

「もちろん人間関係や信頼も大事ですが、結局はスピードと結果で示していくしかない。飛び道具があるわけではないので、そこはステップ・バイ・ステップで、しっかりと結果を出していくだけだと思います」

 予選は残念な結末となってしまったが、6時間半におよぶ長丁場では、また違った見せ場を作ることは可能だ。13日の12時50分にスタートする決勝でも、“タクシーカラー”の77号車は注目の一台となる。

[オートスポーツweb 2026年09月13日]

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