96号車レクサスRC F GT3(K-チューンズ・レーシング)に乗った阪口晴南 2026年IGTC第4戦鈴鹿1000km 9月13日(日)に三重県・鈴鹿サーキットで行われた2026IGTCインターコンチネンタルGTチャレンジ第4戦『第50回 鈴鹿1000km』。阪口晴南/松井孝允/山内英輝組という、GT500・SFの現役ドライバーとGT300元王者ふたりという豪華ラインアップがドライブしたK-tunes Racingの96号車レクサスRC F GT3は、20番手スタートながらも決勝で9位まで追い上げた。
これは日本国籍チームでは2番目に高い順位となり、阪口は「チームのオペレーションやドライバーのミスしないドライビングのおかげ」と評価したが、一方で優勝争いの主役となった海外勢に対してはあらゆるコンディションに対応できるセットアップの“幅”で劣っていたと認める。どこに差を感じたのか、阪口に聞いた。
■海外勢と走ると「ラバーの乗り方やライン取りが変わる」
まず阪口が強調したのは、この週末が「非常に充実した時間だった」という点だ。
「K-tunesで、いつもとは違う鈴鹿1000kmというレースに挑戦させてもらえて、またレクサスRC Fで走れたことも嬉しかったですし、新たに山内選手と松井選手と組むことができて、非常に充実したレースウィークを過ごせた」と語るように、国内トップカテゴリーとは雰囲気の異なるIGTCレース、さらに初めてのラインアップに刺激を受けた様子。
さらに、セットアップを詰めていく過程では「今回は普段と違うタイヤやBoPということもあり、エンジニアさんにとっても難しい挑戦だったと思いますが、だからこそ改めてK-tunesのエンジニアのレベルの高さを感じた部分もありましたし、ドライバーとしてもかなり勉強になりました」とも話し、チームの技術力が追い上げの原動力になったことを実感していた。
その言葉通り、普段と異なるマシンセットを見出す作業は簡単ではなかったようだ。「レクサスRC Fとピレリの組み合わせは初めてでしたし、実際にマッチングには苦戦しましたね。もっとRC Fの良さを消さずに走れる方向性を突き詰めていかないといけなかった」と阪口。もっとも難しかったのは日没後のコンディションだという。
「今回はもう、とにかく夜間のパフォーマンスが全然上がらなくて。レース後半になるとピックアップも増えてしまいましたし、飛ばすのも簡単ではなかったです。一方で海外のトップチームは、コンディションが悪くても、ピックアップがついているときでも走りの自由度が高いように見えましたし、GT3マシンを熟知しているなと実感しましたね」
阪口は、今回はセットのスイートスポットの狭さが露呈したと話したが、海外のGT3ドライバーたちの走りについても、違いを感じたという。
「海外の選手は、S字とかシケインとかガンガン縁石に乗って曲げていくし、立ち上がりのほうもとくにスプーンカーブの1つ目とかはかなりアウトまで膨らんで走るので、細かなライン取りの違いはかなり印象的でしたね」
「ライン取りが違う分、こうした長いレースではコーナーのラバーの乗り方も変わってくるので、日本勢も必然的に海外勢のライン取りに合わせた走りにせざるを得なかったりもしたので、そこは興味深い部分でもありました」
「ただ、そのラインを走れないとダスティなところを走ることになるし、ピックアップもついてしまう。僕たちもガンガン縁石を使っていきたかったですが、正直僕らのセットでは難しい部分もありましたし、そういった自由度の差は、徐々にタイム差が開く要因になったのかなと思いますね」
そして阪口は、GT3で求められる技術がGT500やスーパーフォーミュラとはまったく異なることも改めて感じたという。
「言葉にするのが難しいのですが、GT3で速く走るには小ワザというか、微妙なスキルが必要だと感じました。GT500やSFとは全然違う引き出しが求められると思います」
「GT500はどちらかといえばオーソドックスなドライビングが速さにつながりますが、GT3はABSやトラクション・コントロールといった電子制御をうまく利用できないとタイムが出せないと思うし、クルマごとに特性が違う分、それぞれに合った向きの変え方や、速い縁石の乗り方なども違ってくるので、それぞれを理解した上での微妙なスキルで差がついてしまう気がします」
世界戦ならではのライン取りや、GT3ならではの走り方、初めてのドライバーラインアップも含め、今回の鈴鹿1000kmで得た刺激は大きいと阪口。
「個人で言えば、今週末はSROジャパンカップのシボレー・コルベット(Z06 GT3.R)と、鈴鹿1000kmのRC Fを乗り換えながらふたつのレースに出場したのも、アジャストが簡単ではなかったですが、いろいろなコンディションや状況を実際に体験することができた分、いろいろな走りを体に記憶させることができたと思います」
「松井選手と山内選手と組んだことも、ふたりとも速くて器用なドライバーなので、セッション後に雑談しながらお互いの走りを比較していても勉強になることが多かったし、良い刺激になったので一緒に走れて本当に良かったなと思います」
最後には「世界で戦うためには、引き出しの多いドライバーになることが必要だと思うので、もっとこういう経験を積んでいきたいし、やっぱりGT3マシンにはもっと乗らないといけないと改めて思いました。今後もバリバリ乗っていきたいですね」と意欲を示して締めくくった阪口。初めてのトリオ体制で挑んだ1000kmは、課題と収穫が濃密に詰まった週末となった。
また、海外ワークスドライバーと仕事をした関係者からは、セットアップの根本的なコンセプトの違いを感じたという声も聞こえている。阪口の言葉と合わせて考えるに、日本勢と海外トップチームのアプローチの差は、タイム以上に大きかったのかもしれない。
[オートスポーツweb 2026年09月14日]