マルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング) マルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)は、MotoGP第14戦サンマリノGPの決勝で、ホールショット決めトップを走るも1周目に転倒。優勝争いから早々に姿を消す悔しい結果となった。
前日のスプリントで2位に入り、決勝もポールポジションから好スタートを決めたベッツェッキだったが、ターン12でフロントを失い転倒リタイアとなった。それでも、予選やスプリントで見せた速さなど、週末全体から得られたものは多いと振り返る。
◆「ネガティブなことばかり考える必要はない」自身への過度なプレッシャーは否定
好スタートを決めた後、何が起こったのか。ベッツェキは短い言葉で答えた。
「その後? 転んだ。それだけだ」
タイヤの温度が転倒の原因だったと疑う向きもあったが、ベッツェッキはそれを否定した。
「タイヤはちゃんと準備できていた。ターン12から13へ向かう前に少しマシンが振られて、ブレーキングでうまくラインを作れなかった。そこからマシンを内側へ向けようとした時に、フロントが切れ込んでしまった。残念だった」
母国GPで首位スタートから1周目に転倒しただけに、悔しさは大きい。それでもベッツェッキは、週末全体を見れば前向きに捉えられる材料も多いと話す。
「ポジティブなことはたくさんある。まず速さがあった。それは良いことだ。予選もすごく良かったし、スプリントも良かった。スタートも昨日より改善できた」
「もちろん、今はつらいよ。それは否定できない。でも残念ながら、今はこういう状況だ。ネガティブなことばかりに集中するのではなく、もっとポジティブな部分を見るべきだと思う。厳しいよ。でも時間を巻き戻すことはできない。幸い、すぐにオーストリアGPがある。家に帰って数日しっかり取り組み、気持ちを切り替えて次へ向かいたい」
母国GPだったことで、普段以上に自分へプレッシャーをかけていたのかと問われると、それは否定した。
「いや。ポールポジションからスタートすれば、誰だって勝ちたい。ミサノだからとか、ほかの場所だからとかは関係ない。スタートにはものすごく集中していたし、すべてうまくできた。昨日も良かったけれど、今日は少しだけさらに良かった」
⎯⎯今回の転倒による身体への影響については、現時点で大きな問題はないとの見方だ。
「今のところは大丈夫そうだ。まだアドレナリンが残っているから、本当のところは明日の朝に起きた時にもっとわかると思う。ただ、肩は間違いなく問題ない。ひざは相変わらず少し痛いけれど、それは今回の転倒が原因ではないと思う」
そして、難しい結果に終わったなかでも、チームからのサポートに感謝を示した。
「もちろんだ。ずっとチームのみんなと一緒にいた。すごく支えてもらっていると感じるし、いつもそばにいてくれる。本当に恵まれていると思う」
■タイトル争いの重圧「ライダーなら戦わなければならない。嫌なら父の工場で働いていた」
今季はタイトル争いの中心にいるベッツェッキだが、その状況を特別視してはいない。
シーズン序盤にはタイトルに手が届く位置にいた一方、その後はマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が差を詰めてきた。そうした状況について問われると、ベッツェッキは「まだ何も手にしていない」と強調した。
「7戦を終えたところで、何かを手にしたなんてことはない。今だってそうだ」
「まだたくさんのレースが残っている。最初の7戦を終えた時点で、自分がもうタイトルをつかんだなんて考えたことは一度もないし、マルクだって今そんなことは考えていないと思う」
マルクについては、経験も速さも備えた簡単ではない相手だと認める。一方で、ホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)の存在も忘れてはいない。
「もちろんマルクは経験豊富で、とても速いライダーだから、簡単な相手ではない。マルティンも同じだ。彼がポイントで並んでいることを忘れてはいけない」
そのうえで、タイトル争いに伴うプレッシャーについて、ベッツェッキらしい言葉で受け止めた。
「でも、簡単だったら誰にでもできる。この種類のプレッシャーを受けたくないのなら、僕は父の工場で働いていただろう。でも僕はライダーになろうとしている。だから、こういうことと戦っていかなければならない。それも当然のことだ」
ここ数戦、アプリリア勢のなかではベッツェッキが特に強い走りを見せている。一方で、アプリリアとドゥカティの勢力関係については、どちらかが明確に抜け出しているとは考えていない。
「ライダー全員のレベルが非常に高い。それは間違いなく言える。みんながどれだけ努力しているか、どんなレースをしているかを見れば分かる。僕たちのバイクとパッケージがとても競争力のあるものだということも確かだ。でも、どのバイクが一番良いとか悪いとか、そういう話はいつもある。正直、どれが一番なのかは分からない」
ドゥカティが再びアプリリアとの差を縮めてきたのではないかと問われると、その見方にも否定的だった。
「僕たちが彼らを引き離したことは一度もないと思う。だから、彼らが追いついてきたという感覚もない」
「シーズン序盤から、全体的なレベルは大きく変わっていないと思う。もちろん、うまくマシンを合わせられて素晴らしい仕事ができたサーキットもある。結局、ライダーやマシンに合うコースもあれば、そうではないコースもある。いろいろな要素があるからね」
ポールポジション、スプリント2位と速さを示しながら、決勝は1周目で転倒。結果だけを見れば悔しい母国GPとなった。それでもベッツェッキは、速さそのものを失ったわけではないと分かっている。転倒の悔しさも、タイトル争いのプレッシャーも受け入れながら、意識はすでに次戦へ向いている。
Author:Gabriele Rubat情報元:Moto.it(9月13日掲載)
[オートスポーツweb 2026年09月15日]