2026年F1第14戦スペインGP ジョージ・ラッセル(メルセデス) メルセデス-AMG・ペトロナス・フォーミュラ1チームのジョージ・ラッセルは、チームメイトのアンドレア・キミ・アントネッリを追い抜くことは「極めて困難」であり、2026年のチャンピオン争いから脱落したことを事実上認めた。
ラッセルによるこの率直な評価は、アントネッリが今季8勝目を挙げた一方で、ラッセルは5位にとどまったスペインGPの後に下されたものだ。この結果により、直近の5戦におけるラッセルとアントネッリのポイント差は25ポイントから81ポイントまで拡大した。
理論上はまだ9戦が残されており、ラッセルはタイトル獲得の可能性が計算上消滅したとは認めていない。しかし心情的にはすでに次に進んでいる。
「終わったというつもりはないが、僕がこの争いに加わっている可能性は極めて低いだろう」とラッセルは語った。
「争いに加わっていると考えてさえいない。そうは思っていないからだ。そのおかげでひとつひとつのレースに集中することができて、できるだけたくさんのレースで勝とうとしている。なるようになるだろう。でも……まあ今の状況はそんな感じだ」
タイトル候補としてシーズン開幕を迎えたドライバーにとって、これを認めるのはつらいことだ。しかしアントネッリが容赦ない安定感を発揮していることで、ラッセルに残された余地はほとんどなく、日曜日の結果はその差をさらに広げることになった。
■早すぎたVSCにより、感触のハードタイヤを序盤に手放すことに
ラッセルはスペインGPの5位という結果について、メルセデスがマドリンクで発揮できた実力を大幅に下回っていると考えている。ラッセルは予選で6番手だったため、オーバーテイクが極めて困難なこのサーキットにおいて、レースの前にすでに厳しい状況に置かれていた。
レースでは、ランス・ストロール(アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チーム)がリタイアし14周目にバーチャルセーフティカー(VSC)が導入されたことによって、状況はラッセルにとって受け入れ難い方向へと向かっていった。ラッセルはハードタイヤでスタートし、レース終盤までこのタイヤで走り続ける戦略を望んでいた。しかしVSCが導入されたことで、メルセデスはラッセルをピットに入れてハードタイヤからミディアムタイヤに交換。一方ライバル勢の多くは、ミディアムタイヤからハードタイヤへと切り替えることで恩恵を受けた。
「(バーチャル)セーフティカーのタイミングには本当にフラストレーションがたまる」とラッセルは述べた。
「僕たちは40周目まで走り続けたいと考えていた。キミやミディアム勢、ソフト勢のドライバーたちが15周目あたりでピットインすることはわかっていたけれど、(バーチャル)セーフティカーが14周目に導入されてしまった」
ラッセルはミディアムタイヤでの走行に苦戦し、最終的にはもう一度ピットストップを行って、感触のいいハードタイヤに戻さざるを得なかった。
「ハードタイヤは群を抜いて最も感触がよかった。ミディアムのまま走り続けるのは、大きなギャンブルになっていただろう」
「失うものは何もないと思っていた。結局のところ、どう転んでも今の結果にはなっていたと思う。だから少し残念だ。オーバーテイクが非常に難しいコースで、それは誰にとっても少しイライラすることだったと思う」
オーバーテイクの難しさは、レース終盤にシャルル・ルクレール(スクーデリア・フェラーリHP)が順位を守り切ったことによって浮き彫りになった。フェラーリはルクレールを48周目までステイアウトさせ、その後新品のソフトタイヤに交換。ラッセルはルクレールにプレッシャーをかけ続けたが、あと一歩のところで4位を逃したのだった。ラッセルにとっては、状況のせいでメルセデスの本来持っていたペースが正しく順位に反映されなかったことが、より大きなフラストレーションになった。
「パフォーマンスは結果以上によかった。でも、予選がすべてを決めるという点では、モナコのようだった」
アントネッリとの対比はこれ以上ないほど鮮明だ。ラッセルがチャンピオンシップの差が広がるのを見守るしかなかった一方で、20歳のアントネッリは14戦で8勝を挙げ、12回の表彰台を獲得している。スペインGPは、アントネッリを捉えることがますます困難になっているという印象をさらに強めるものとなった。
そのためラッセルは、計算をやめ、自身が直接影響を及ぼせる唯一の戦い、つまり次のレースに焦点を絞っている。その姿勢にラッセルが降伏する様子は見えないし、依然として可能な限り多くのレースで勝ちたいと望んでいる。しかし、もはやチャンピオンシップが彼の考えを占めることはない。ラッセルにとって、タイトル獲得の可能性は数字的にはまだ消滅していないかもしれないが、彼の心のなかでは、それはすでに“他の誰かの戦い”になっている。
[オートスポーツweb 2026年09月16日]