ディフェンディングチャンピオンのチャズ・モスタートと、タッグを組んだファビアン・クルサード組のウォーキンショーTWGレーシング(WTWGR)ペアが、トヨタGRスープラ初の耐久レースで初優勝をもたらすことに いよいよシーズン終盤恒例のエンデューロ(長距離耐久)カップへ突入した、2026年のRSCレプコ・スーパーカー・チャンピオンシップ第10戦『AirTouch 500(エア・タッチ500)』が9月11〜13日にザ・ベンドで開催され、ディフェンディングチャンピオンのチャズ・モスタートと、タッグを組んだファビアン・クルサード組のウォーキンショーTWGレーシング(WTWGR)ペアが、トヨタGRスープラ初の耐久レースで初優勝をもたらすことに。
同時に僚友のライアン・ウッド/ジャクソン・エバンス組(WTWGR/トヨタGRスープラ)も3位に入るなど、WTWGRがエンデュランス初陣でダブル表彰台を獲得している。
シリーズが実施したイベント直前のアナウンスにより、フォードとシボレー陣営による“性能均衡(パリティ)”を巡る議論が現地メディアを賑わせるなか、今季も耐久カップ登録ドライバーとペアを組んでのエンデューロ・カップが開幕。週末のザ・ベンドと、続く10月8〜11日に控えるシリーズ最大の祭典『Bathurst 1000(バサースト1000)』の2戦で争われ、タイトル争いを展開するドライバーにとっては、相棒の働きが自身のリザルトに直接跳ね返る重要な局面ともなる。
その走り出しから快晴に恵まれたサウス・オーストラリア州の最新鋭トラックでは、予選シュートアウトでフォード陣営が先行し、古豪ディック・ジョンソン・レーシング(DJR)の2023年王者ブロディ・コステッキ(シェルVパワー・レーシング/フォード・マスタング)が、幸先よくポールポジションを射止めた。
しかしペアを組むトッド・ヘイゼルウッドは、併催されているトランザムで接触事故に見舞われ、古豪ギャリー・ロジャース・モータースポーツ(GRM)のジェームズ・モファットに最終ラップでコース外へ完全に弾き飛ばされる。
「彼のドライビングはかなりお粗末だったと思う」と振り返ったヘイゼルウッド。「彼とはこれで3戦連続の接触だから本当にガッカリだ。でも体は大丈夫だよ。最後のラップでは激しくぶつけられて耳を強打したけど、あれはちょっとやりすぎというか、不必要なことだった。今はもっと大きな、そして素晴らしい目標に集中すべきときだ。個人的には17号車(シェルVパワー・マスタング)の手応えはすごく良いし、ブロディ(・コステッキ)は最初から絶好調で素晴らしい走りを見せている。明日の決勝レースに向けて、準備は万端だよ」
しかし決勝を目前にした日曜ウォームアップは週末初の集中的な豪雨に見舞われ、運営側は急遽の判断で運用規定を見直し「レース中に必要と判断した場合、事前にマーキングされたパッドを使用してもよい」と通達。当初よりレースにおけるブレーキパッド交換は義務ではなかったものの、147周(500km)で争われる決勝に向け安全対策のバリエーションを追加することに。
迎えたレース序盤はやはりフルウエットのコンディションとなり、複数のアクシデントや3度のセーフティカー(SC)導入によってレース展開が大きく揺さぶられることに。その変化する路面状況や戦略を巧みに活かして順位を上げたのが11番手グリッドから出たクルサードで、首位のカイ・アレン/ティム・スレイド組(グローブ・レーシング/フォード・マスタング)を追い上げていく。
上位勢の中で最初にスリックタイヤへ交換したのはエバンスで、84周目にトヨタの2号車をウッドに引き継ぐ際にいち早くドライセットへ。同じく1号車も92周目にスリックタイヤへ交換し、モスタートは当初タイヤの温度を上げるのに苦労したものの、義務ピットのルーティンが終わる間に首位の座を奪う。
そのライバル陣営では、ウィル・ブラウン/スコット・パイ組(レッドブル・アンポル・レーシング/フォード・マスタング)がレース序盤に1周遅れとなる不運に見舞われながらも挽回して4位に入ったが、ポイントリーダーのブロック・フィーニー(レッドブル・アンポル・レーシング/フォード・マスタング)はコドライバーのニック・パーカットが序盤にザック・ベスト(ブランシャード・レーシング/フォード・マスタング)と接触し、修復のためにピットインを余儀なくされた影響で3周遅れの24位に終わることに。
同じくDJRのコステッキにとっても悪夢のようなレースとなり、事故明けのヘイゼルウッドがスタートで出遅れたうえ、その後ピットレーンでの速度違反により15秒のペナルティを科され、勝機を逸する展開となってしまった。
そんなレース終盤には時間制限が適用される展開となり、モスタートは残り12分強で最後のピットストップを行うと、背後のアレンに約16秒の差をつけてコースに復帰。残りの周回を危なげなく走り切り、スーパーカー500km耐久での自身初優勝と、クルサードにとって2020年以来となる勝利を手にした。
そのウォーキンショーの2台は11番手(1号車)と14番手(2号車)からのスタートということで、トラブルを避けつつ集団を掻き分け、戦略を完璧に遂行してパドックに衝撃を与える結果を演出したモスタートは、トヨタ陣営全体が「大きな自信を持ってマウンテン(バサースト)に挑めるだろう」と語った。
「このコースではエンジンをかなり酷使することになるんだけど……マシンは500kmのレースを本当によく持ち堪えてくれたよ」と、予想どおり“ブルリング(闘牛場)”のような厳しい特性を持つザ・ベンドのウエスト・サーキットで、GRスープラのエンデューロ・デビューを飾ったモスタート。
「今日は本当にタフな仕事をこなしてくれた。今季のコースはとくにターン6のレイアウト変更やブレーキへの負担の大きさもあって、かなり過酷な『ブルリング』になっていた。ここではエンジンをかなり酷使することになるし、ターン6では車体に大きな衝撃が掛かるけど、クルマは500kmのレースを通じて本当によく持ち堪えた」
「チームは今季、新型のトヨタ車に関してあらゆることに懸命に取り組んで来たし、チームの2台……つまり2台のGRスープラが500kmを完走できたというのは素晴らしい結果だと思う。幸運にも彼らは素晴らしい仕事をしてくれたし、とくに『Bスペック(エンジン)』仕様が導入されたことも大きかったね」
モスタートの好調ぶりはレース後にも発揮され、チャンピオンはドーナツターンを連発してエンジンをさらに酷使してみせ、そのBスペックを投入した初陣で信頼性トラブルに見舞われた前戦クイーンズランド・レースウェイ(QR)での落胆を取り返すことに。同時にこの勝利で、モスタートはファイナル(最終決戦3ラウンド)への進出も確定させている。
「QRでの1件は少し奇妙な展開で、あのようなことが起こるとは予想していなかった。しかしチームは懸命に努力を続けてきたし、結果で報いることができて本当に良かった。この自信を胸に、バサースト(1000)に臨みたいと思っている」
同じくチームが1位と3位を獲得するという成果を残した後、CEOであるブルース・スチュワートは感極まって言葉に詰まりながら、エンジントラブルで連日の深夜作業に追われたここ数週間の苦難を振り返った。
「大きな喜びがある一方で、本当にホッとしたという気持ちも強い。我々は泥沼のような苦境や困難な道のりを乗り越えてきた。その点において、チーム全体、メンバー、そして長時間にわたって尽力してくれたスタッフの皆のことを思うと、本当にうれしくてたまらないよ」と続けたスチュワート。
「ありふれた決まり文句に聞こえるかもしれないが……これから話すことは、心からの本音なんだ。ダーウィン、タウンスヴィル、そしてクイーンズランドと続く一連のレースの合間に、ワークショップで起きたことは本当に並外れたものだった。普通なら悪魔にだって頼まないような過酷な状況でも、彼らは歯を食いしばって挑戦し、決して『NO』とは言わなかった」
「イプスウィッチでのリタイア(DNF)は痛烈な打撃だった。エンデューロ向けに投入された『Bスペック』のトヨタ製エンジンが、いきなり信頼性の問題に見舞われたんだからね。このチームは本当に最高だよ。彼らを誇りに思うし、今夜はみんなに1杯おごってやりたい気分だ。僕はもう年寄りだから、隅っこで静かに1杯やるだけだけどね(笑)」
「疑念というのはいつだって忍び寄ってくる厄介なものだけど、仕事場に行けばみんなが活気に満ちていて『いや、オレたちはこうやるんだ』と突き進んでいる姿がある。本当に最高だよ。こんな日はそうそうあるものじゃないからね」
前述のとおり、このエンデューロ・カップは次戦10月8〜11日の第11戦『Bathurst 1000』で締め括られ、資格を得たタイトル候補者による3戦の『The Finals(ファイナルズ)』へと続いていく。
[オートスポーツweb 2026年09月17日]