2026年F1第14戦スペインGP表彰式 優勝したアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2位マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位ランド・ノリス(マクラーレン) 長年F1を取材しているベテランジャーナリスト、ルイス・バスコンセロス氏が、各グランプリウイークエンドのドライバーたちの戦いを詳細にチェックし、独自の評価によりベスト5のドライバーを選出する。今回は2026年第13戦イタリアGPと第14戦スペインGPの連戦を振り返った。
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■前代未聞の勝利を挙げたアントネッリ
アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)イタリアGP:予選7番手/決勝1位スペインGP:予選2番手/決勝1位
マンマ・ミーア! モンツァのティフォシが目の前でフェラーリを抜くドライバーに声援を送るなど、前代未聞のことだが、アンドレア・キミ・アントネッリがイタリアGPでそんなシーンをもたらした。19番グリッドから先頭まで駆け上がってみせたのだ。アントネッリは週末を通して圧倒的なパフォーマンスを見せていたが、熱烈なファンでさえ、これほど後方からスタートし、しかも同じマシンに乗るジョージ・ラッセルがフロントロウからスタートする状況で、彼が勝つと予想していなかっただろう。
そしてマドリンクでは、幸運の女神にも味方され、新サーキットでの初ウイナーとなった。バーチャルセーフティカー(VSC)が導入されたタイミングによって、勝利に値する走りを見せていたランド・ノリスがチャンスを失ったことでアントネッリが勝利を受け継いだのだ。しかし、アントネッリはやるべきことをすべて完璧にこなし、フロントロウを確保して、そこから勝利を受け継げる位置につけていた。彼は毎週末、ラッセルを打ち負かし続け、チャンピオンシップのリードはさらに強固になった。
■マシンとの相性がよくないコースで連続表彰台のフェルスタッペン
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)イタリアGP:予選6番手/決勝3位スペインGP:予選3番手/決勝2位
本来レッドブルのマシンに有利とは言えない2つのサーキットで連続して表彰台を獲得したことは、マックス・フェルスタッペンが依然として絶好調であり、わずかなチャンスを与えられればそれを両手でつかみ取るドライバーであることを示している。
イタリアでは、アントネッリとラッセルが首位を争うなか、その背後にフェルスタッペンが予想外に迫り、真の脅威になりつつあったことで、メルセデスは戦略を分けざるを得なかった。フェルスタッペンはレースの半分近くをメルセデス勢に引っ張られる形で走ったことで、後方のマクラーレン勢に対して十分なギャップを築き、彼らがペースを上げてきたものの、3位を確保することができた。
マドリンクでは、フェルスタッペンは素晴らしい予選ラップで3番グリッドを獲得。スタート直後の1コーナーでは好スタートを切ったルイス・ハミルトンに足をすくわれ、その結果、アントネッリに対するオーバーテイクも有効に生かせなかった。アントネッリの前の位置を維持していれば優勝の可能性もあったかもしれない。とはいえ、より速いマシンを抑えて2位に入ったのは素晴らしい結果だ。
■キャリア最高の走りも、不運で勝利を逃したノリス
ランド・ノリス(マクラーレン)イタリアGP:予選9番手/決勝4位スペインGP:予選1番手/決勝3位
イタリアGPでランド・ノリスは、予選Q3がチームの判断ミスによって台無しになったため、レースでは多くを取り戻さなければならなくなった。最終ラップでオスカー・ピアストリを抜いたことで、見事な追い上げのレースを締めくくったが、ノリスの最高のパフォーマンスはその1週間後、スペインで発揮された。
自身が「キャリア最高のラップ」と表現したほどの走りで予想外のポールポジションを獲得。しかし、誰もが驚かされたのはレースでのノリスのペースだった。
ノリスは最初の14周、他の誰よりも1周あたり0.5秒も速いペースで走行していたが、VSCによって勝利のチャンスを奪われた。ノリスはVSCが宣言されるわずか2秒前にピットレーン入口を通過していたため、ライバルたちはほとんど時間を失わずにピットストップを行えたのに対し、ノリスはグリーンフラッグ下でピットインしなければならず、5番手まで後退した。
その後、ノリスはフェルスタッペンとアントネッリに対して約15秒の差を取り戻し、最終的にはフェルスタッペンのすぐ後ろでフィニッシュした。マドリンクはオーバーテイクが極めて困難なサーキットであることを考えれば、ノリスにとって3位が最大限の結果だった。
■ミスなくポイントを稼ぎ、チームに貢献するリンドブラッド
アービッド・リンドブラッド(レーシングブルズ)イタリアGP:予選10番手/決勝8位スペインGP:予選10番手/決勝9位
リアム・ローソンが一時的にレッドブル・レーシングへ移っている間に、アービッド・リンドブラッドは一段階レベルを上げ、モンツァとマドリンクの両方でチームにとって重要なポイントを獲得した。レーシングブルズはアルピーヌとランキング5位争いをしており、アルピーヌは現在、中団で最も速いマシンでレーシングブルズに急激に追い付いてきている。
リンドブラッドは両方の週末でQ3に進出したが、特にモンツァでは、より速いアルピーヌの2台に対抗する術がなかった。しかし決勝では、ポイント圏内の座をめぐって懸命に戦い、非常に難易度の高い2つのサーキットで目立ったミスを一切犯さなかった。
レッドブルが新たな逸材を見つけたことに疑いの余地はない。しかし、フェルスタッペンとアイザック・ハジャーが、近い将来にどこかへ移ることはなさそうなので、リンドブラッドが大きなチャンスをつかむには、まだしばらく時間がかかりそうだ。
■完璧な1周でキャリア初ポールを達成したガスリー
ピエール・ガスリー(アルピーヌ)イタリアGP:予選1番手/決勝7位スペインGP:予選14番手/決勝12位
あるレースで素晴らしいパフォーマンスを見せたドライバーが、次のレースでは苦戦することは珍しくない。ピエール・ガスリーはマドリンクでは不可解なほど精彩を欠いたが、モンツァでのポールポジション・ラップは素晴らしいものだった。トップチーム以外のドライバーによるポールポジション獲得は、2022年サンパウロGPでケビン・マグヌッセンがハースに驚きのポールをもたらして以来のことだった。
モンツァの週末を通して、ガスリーは中団勢のなかでは他に大差をつけて最速であり、彼の完璧な1周と、チームによる完璧な仕事の組み合わせが、ガスリーにF1キャリア初のポールポジションをもたらした。
レースでポジションを落とすのが避けられないことは分かっており、ガスリーは戦うべき相手を慎重に選んで、最終的に7位という好結果を手に入れた。この結果は、アルピーヌがコンストラクターズ選手権5位争いで反撃を開始するきっかけをもたらしている。
[オートスポーツweb 2026年09月19日]