2026年FIA-F4第9・10戦に初参戦した富下李央菜(TGR-DC RS F4) 9月19〜20日に宮城県のスポーツランドSUGOで2026年FIA-F4ジャパニーズチャンピオンシップの第9・10戦が争われた。TGR-DCレーシングスクール(TGR-DC RS)からシリーズ初参戦した女性レーシングドライバーの富下李央菜は、雨混じりのレースで2戦連続完走。大会終了後には手応えを感じるとともに「もっとガッツが必要だった」と課題も感じたようだ。
TGR-DC RSの29号車をドライブする武藤雅奈の負傷欠場により、急きょFIA-F4に初参戦することになった富下。金曜日の予選後にはフォーミュラ初SUGOでも「少しでも順位を上げてゴールしたい」と抱負を述べていた。
翌日に行われたFIA-F4第9戦は21番グリッドから決勝レースに臨むことになったが、コースは朝に降った雨の影響で若干のウエットコンディション。ただ、路面の一部が乾きつつあったことで富下をはじめとする一部選手は晴れ用のスリックタイヤを選択。富下が普段参戦するKYOJO CUPは路面状況によってタイヤが指定されるため、初のFIA-F4でいきなりの“雨スリック”で実力が試される状況になった。
「ほぼ初めての雨スリックだったんですけど、最初のスタートはうまくきることができました。ただ、だんだんと路面が乾いてきていましたが、そこに気づくのが遅くなってしまい、自力ではなかなか追い上げることができませんでした。スピンする車両などもいたので、その分追い上げることができたという感じです」と初戦を振り返る富下。
順位としては13位フィニッシュでポジションアップとなったが「何台かレインタイヤの車両が順位を落としてきていましたけど、やっぱりスリックタイヤで表彰台に上がっている選手もいたので、自分ももう少しペースを上げていければよかったなと思っています」という悔しさも滲ませた。
続く20日(日)の第10戦は朝から降る雨で完全レインコンディション。20番手スタートの富下は「そもそも結構後ろの位置からスタートだったので水煙で前が見えなくて、雨のSUGOもあまり走ったことないので、ブレーキもどこで踏めばいいんだろうみたいな感じでした」とウエットレースの後方集団ならでは難しさもあり24位完走。そんな中でもレース中には気づきがあったようだ。
「今日はウエットタイヤで昨日と違いますし、どんな感じかなといろいろ考えながら走っていました、でも、なんというか抑えて走りすぎていて、途中から意外とグリップしていることに気づきました。そこを気づいてからはペースを上げることができましたけど、最初にうまく対応しきれず、慣れるのに時間がかかってポジションを落としてしまいました。前半から攻めることができていれば、もう少し順位が上がっていたかもしれません」
FIA-F4初陣の2戦をそう総括した富下。スターティンググリッドにはTGR-DCレーシングスクールの片岡龍也校長や、スーパーフォーミュラとスーパーGT GT500クラスで活躍する小林利徠斗の姿もあった。彼らからは「KYOJOよりグリップしないから気をつけて」というアドバイスを貰ったと言うが、レースを終えた富下が言うには「そう言われたんですけど、思っていたよりもグリップしたのでちょっと真に受けすぎたというか、ビビらされすぎましたね(笑)。もうちょっと勢い良くいけたらよかったかな」と、やや不満がある様子。
また、富下にとってフォーミュラでの男女混合戦も初となったが、モータースポーツにおいての「違いはない」ときっぱり。一方で6台のマシンを走らせているTGR-DC RSはドライバーミーティングも大所帯。ドライバーも10〜20代の若手ということで「チームメイトのみんながすごく元気よくて賑やかでした(笑)。私はちょっと違うタイプなんですけど(苦笑)、すごく楽しそうなことは感じましたね」と新鮮な体験だったと言う。
そして、FIA-F4とKYOJO CUPは同じF4規格車両ということで基本的なマシンの動きはそこまで変わらないとのこと。ただ「FIA-F4はアンダーステアが出るとステアリングがめっちゃ軽くなります。KYOJOのマシンはアンダーステアが出ても急に軽くなったりせず、ステアリングはずっと重い感じなので、そこは違いましたね」ということを感じたと振り返る。
急きょのFIA-F4代役参戦ながら2戦連続完走を果たした富下。フォーミュラ初SUGOとなったFIA-F4第5大会の週末を通した学びを聞くと「やっぱりFIA-F4は予選ポジションがかなり大事だと思いました。例えば今回の予選では赤旗で走行時間が少なくなりましたけど、そこにどう合わせていくかや、昨日のレースだったら雨スリックで路面の変化に対応していく力も必要だなと感じました」と語る。
「今回の予選も、もう少しタイムを出せたなという想いはかなりありますし、今日のレースはもうちょっとガッツが必要だったなということも感じたので、いろいろ勉強になりました。もし次があるなら予選から10番手以内に入って、もっと上位を狙いたいです」
次戦以降の参戦は何も決まっていないとのことだが、そう語る表情は悔しさよりも明るいように見えた。いずれにしても初のFIA-F4では大きな収穫があったようだ。この経験を今後どのように活かしていくかにも期待したい富下のFIA-F4初挑戦だった。
[オートスポーツweb 2026年09月20日]