2026年F1第14戦スペインGP アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) メルセデスF1チーム代表のトト・ウォルフは、チームがすでに2027年型F1マシンの開発を本格的に進めており、夏休み前から来季に向けてリソースを振り分けていることを明らかにした。
グラウンドエフェクト規則への対応に数年間苦しんだメルセデスだが、2026年に導入された新世代マシンでは高い競争力を発揮している。第14戦スペインGP終了時点でコンストラクターズ選手権では145ポイントのリードを築いており、フェラーリやマクラーレンが今季型マシンへのアップデートを続けるなか、メルセデスはすでに開発リソースの一部を2027年へと振り向けている。
■ここまで14戦10勝。今季の優位性が2027年型マシンの開発を後押し
マドリンクで行われたスペインGPでアンドレア・キミ・アントネッリが優勝した後、ウォルフは次のように語った。
「2027年に向けた作業は少し前、夏休みより前から始まっている。来年に向けてリソースを移しており、選手権でどの位置にいようと、計画どおりに進めていく」
メルセデスは2026年のタイトル争いが決着するのを待つことなく、すでにブラックリーで2027年型マシンの開発を進めている。現在の競争力によって生まれた余裕を生かし、次のシーズンに向けた準備を早い段階から進めているのだ。
わずか1年前までの状況を考えれば、これほど早い段階で2027年型マシンにリソースを振り向けられるようになったことは、メルセデスにとって大きな変化だ。
かつて圧倒的な強さを誇ったメルセデスは、グラウンドエフェクト規則が導入されて以降、苦戦が続いた。大胆なゼロポッド・コンセプトも期待した成果にはつながらず、ライバル勢が先行するなかで技術的な方向性の見直しを迫られた。
しかし、2026年のレギュレーション変更を機に状況は一変した。ここまで14戦中10戦で勝利を挙げ、コンストラクターズ、ドライバーズの両選手権をリード。ドライバーズ選手権ではアントネッリが首位に立っている。
この好調ぶりは、チームに開発面での余裕ももたらしている。すでに大量のリードを築いたため、今季型マシンにライバル勢と同じペースでアップデートを投入し続けることなく、より多くの技術リソースを次期マシンへ振り向けることが可能になった。
ただしウォルフは、145ポイントのリードがあるからといって、今季のタイトル争いを楽観視してはいない。彼はチャンピオンシップの勢力図がいかに早く塗り替えられてしまうのかを熟知している。
「リタイアすることもあれば、クラッシュすることもある。それが2戦続けば、それまで十分に見えたリードも、突然そうではなくなる。残り6戦となればなおさらだ」
「だから私としては、相手が数学的に逆転できなくなるまでは、ポイントのことは考えないようにすべきだと思っている。それまでは一戦一戦に集中し、毎週末、自分たちの力を最大限発揮するだけだ」
技術部門がすでに2027年へ目を向ける一方で、レースチームには2026年のタイトルを確実なものにするという仕事が残っている。
■マレーシアGPには大型アップデートを投入
2027年型マシンへのリソース移行が始まっているとはいえ、メルセデスが2026年型マシンの開発を終えたわけではない。マレーシアGPでは大規模なアップデートパッケージを投入する予定だ。
ただしウォルフは、開発したパーツが実際のコースでも期待どおりに機能するとは限らないと慎重な姿勢を示している。
「マレーシアにはかなり大きなアップデートを持ち込む予定だ。だから、まずはバクーでのもう1戦を乗り切らなければならない。ただ、開発したものがコース上で期待どおりの結果につながらないこともある」
「うまく機能してくれることを願っている。それによって、アップデートという点でも他のチームと同等のところまで行ければと思うが、どうなるかは分からない」
ライバルを追う立場にあった数年間を経て、今やメルセデスは、勝利を重ねる現行マシンでタイトルを争いながら、同時に次期マシンの開発を進められる立場にある。2026年の戦いに手を緩めることなく、その先を見据えた準備も着実に進めている。
[オートスポーツweb 2026年09月24日]