アルガルベ・プロ・レーシングが運営していた2025-26年チャンピオンのクラウドストライク・レーシング・バイ・APRの4号車オレカ07・ギブソン アルガルベ・プロ・レーシング(APR)は安全上の問題を理由とし、AsLMSアジアン・ル・マン・シリーズの新しいハイパーカークラスへの参戦計画を延期した。チーム代表のスチュワート・コックスによると、ブロンズレーティング・ドライバーをヨーロッパを拠点とする冬季のチャンピオンシップに出場させることはリスクが大きすぎたという。
シリーズ史上もっとも成功を収めているこのポルトガルのチームは、プライベートチーム主体のハイパーカークラスの初めてのシーズンに、最大2台のポルシェ963を投入する予定だった。しかし、中東の情勢が不安定であることを受け、主催者は選手権の開催地をヨーロッパに移さざるを得なくなってしまった。
「我々は検討を重ねながら準備を進めており、このプロジェクトに非常に意欲的なふたりのブロンズドライバーを確保していた」と、コックスはSportscar365に語った。
「中東で起きている状況を踏まえると、ACOフランス西部自動車クラブは自分たちの意向どおりに行動することが非常に難しい立場に置かれていたと感じた。彼らがこの選手権をアジアや中東を拠点とするものとして維持しようと懸命に努力していたことは承知している」
「結局のところ、誰もが望んでいたのは暑い気候と、雨による中断が最小限に抑えられることだった」
コックスは、タイヤウォーマーを使用する場合であっても、ブロンズドライバーに各レースへの出場を義務付けることは今シーズンのカレンダーでは困難であると説明した。今シーズンのカレンダーには、11月のポール・リカール、1月のヘレス、2月のポルティマオでのレースが含まれており、これらのラウンドは気温が低いことがネックになるという。
「タイヤブランケットが導入されたのは良かった。現在のルールでは、ブロンズクラスのドライバーがレースをスタートする際、タイヤブランケットを装着できるからだ」と彼は述べる。
「しかし、東南アジアのセパン、中東のアブダビ、ドバイで行われる予定だったレースであれば、タイヤの温度がそれほど低下することはなかっただろう。それはブロンズクラスのドライバーにとって大きなメリットになったはずだ」
「結局のところ、こうしたマシンをドライブする際には正しいこと、つまり安全なことをしたいと思うものだ」
「我々の決定は純粋に安全性を考慮したものだ。それまでのテスト走行が充分でないジェントルマンドライバーが、グリッドに並んで『5分前』の表示が出され、タイヤブランケットを外さなければならない状況に置かれるのは避けたいという観点からだ」
「気温が10℃や15℃であっても、タイヤ温度は大幅に低下してしまう。フォーメーションラップに入る前にさらにゆっくりとしたフォーメーションラップを走らなければ、望ましいタイヤ温度まで上げることはできないだろう」
「プロドライバーにとってもオープニングラップで運転がかなり難しいと分かっているマシンを、そのような状況下でブロンズドライバーに運転させるのは賢明ではないと判断した」
「そのため、冬にヨーロッパでこのプログラムを実施するという計画は中止することにしたんだ」
APRがLMP2クラスに複数のオレカ07・ギブソンを投入してウインターシリーズを支援する方針は変わらないものの、コックスは、チャンピオンシップのアジアへの復帰が可能となれば、2027/28年シーズンのハイパーカークラス参戦に向けて準備を進めると述べた。
「ドライバーたちの意欲は今も変わらない」とコックスは語る。
「我々としては、中東や東南アジアといった、はるかに温暖な地域への復帰が正式に決定次第、ただちにプロジェクトを推進するつもりだ。最終的にはテストを行う時間も確保できるだろう」
「ACOは板挟みの状況にあり、カレンダーに関してあの判断を下さざるを得なかったのだと感じている。彼らは関係者全員の利益を守るために、自分たちの立場から正しい判断を下したと思う」
「我々は今後もプログラムを継続していく予定で、近日中に発表する予定だ」
コックスは、今シーズンのLMP2マシンの性能を制限しないためにも、主催者がハイパーカークラスの導入を1シーズン延期する決定を下すことを期待していると述べた。
LMP2マシンはIMSAの仕様と同様に、重量を重く、出力を低く設定されると見られている。この措置は、ハイパーカーのブロンズドライバーによる予想ラップタイムを踏まえ、クラス間の性能格差をさらに広げるためのものだ。
「ある意味では、もしハイパーカーによる選手権が実際に中止されるのであれば、LMP2がフルスペックのマシンで最後の一年を走れるようになるという点で、むしろ良いことかもしれない。現実的に考えて、もしそうなっても誰も不満を言うことはないだろう」と、コックスは語った。
「結局のところ、あれほど高価なマシンを駆ってグリッドに並んだドライバーが、最初の数周でコースアウトしたり、不注意なミスを犯したりするような不運に見舞われるのは、誰にとっても良いことではないだろう」
[オートスポーツweb 2026年09月30日]