シャバダバふじさん年間330本ものイベントで司会を務めたこともあるという司会者・シャバダバふじさん。これまでイベントで司会を担当してきたグラビアアイドルは約1700人。今ではグラビア界で「司会といえばシャバダバふじ」と名前が挙がるほど、多くのグラドルや芸能事務所から信頼を集めている。
それだけの数の現場に立っていれば、当然、一筋縄ではいかない出来事にも遭遇する。そして、長年この世界で仕事を続けてきたからこそ見えてきた、グラビア業界の変化もあるという。約1700人のグラドルを見てきた司会者が語る、華やかなイベントの裏側と、今のグラビア界とは――。
◆「殺害予告が来た」会場の最前列に“脅迫メールの送り主”が…
1番印象深かったイベントについて聞いてみると「殺害予告が来たことですかね」と苦笑した。
「彼氏がヤキモチを妬いてしまったのかイベント開催に反対していて、『(イベントを)やったら殺す』と女の子に言っていたらしく。当然、本人も怖がってテンションがおかしかったんです。それでマネージャーさんが僕に『もしきたら何とかしてくれ!』と(苦笑)。結局こなかったので、取り越し苦労でした」
だが、実際に殺害予告をした本人が会場に来たパターンもあるという。
「もう10年以上前の話ですが、事務所宛に『開催するな』という脅迫メールがファンの方から届いたんです。しかもイベントが始まったら、送り主が最前列にいたので、マネージャーもスタッフもメーカーも何かあったら出て行けるように裏に隠れていたんです。その人が自分の握手の順番になった時に転んじゃって、そしたら裏からスタンバってた大人が一斉に出てきて。他のお客さんは何も知らないから、異様な光景だったと思います。結局、何もなかったからよかったですが」
◆グラドルに「絶対手を出さない」一人勝ちできた意外な理由
今ではグラビア界で「司会といえばシャバダバふじ」といわれるようになったが、ふじさんが司会業を始めた頃は、同じようにグラドルイベントで司会を務める芸人は他にもいたという。気づけばその多くが現場を離れていくなかで、ふじさんは今も第一線に立ち続けている。なぜ、この“一人勝ち”ともいえる状況を作れたのだろうか?
「シンプルに僕がグラドルに絶対に手を出さないからです(笑)。当時、他の一部の芸人さんで連絡先を聞いたり、手を出してしまう人もいたみたいで、その結果、仕事を失う。チャラい芸人が多いから、誠実なだけで評価が上がる。昔はよくイベント前に『うちの子を口説いてきた芸人がいてさぁ困るんだよねぇ』などとジャブを打ってくるマネージャーも多かったです」
意外なことに「そもそも僕はグラドル全く興味がない」と真顔で話す。
「今では審査員の仕事もしていますが、色恋に興味がないからこそ、冷静に良し悪しを判断できるんだと思います。僕の信念はグラドルを好きにならないことです。ただ仕事として、すっごく尊敬しています」
さらに司会をするにあたってのこだわりを聞いてみると「なるほど」と思うことがたくさんあった。
「あえて『可愛い』とは言いません。それはファンの人が言うことだと思うので。あと下ネタも言いませんね。苦手なんです。他にも司会でキッツイことを言って、主役をいじる芸風は嫌いですね。ラクしすぎ!(笑)。僕らがやるべきことは、主役のグラドルが滑らないようにすること。ツッコミを入れたり、貶す時も『言い方失礼ですみません。うるせえ!』とかね。そうしたら女の子も困らないし、お客さんも嫌な気持ちにならないんです」
今まで1700人の司会をやってきた上で、しんどかったグラドルはいるのか?と問うと「いません」と即答だった。
「司会者として“この子やりにくいな”と思った時点で自分が悪い。そういう考え方なので、明るい子、根暗な子、自虐がすごい子、病んでる子、全対応できます!それが僕の仕事。盛り上がったら全て自分の手柄だと思って欲しいです!」
◆「この人たちがいなくなったら…」グラビア業界に迫る危機
仕事に対する真摯な姿勢が、数多くのグラドルやマネージャーに信頼される秘訣なのだろう。
だが、最近のグラビア業界に一抹の不安を感じているそうだ。
「男性の欲がなくならない限り、このジャンルはなくならない、グラビアは必要不可欠だと思います。でも、昔の感覚だったらグラドルとはいえないような、いわゆる撮影会モデルもグラドルを名乗るようになって、とにかく数が増え過ぎました。謎の新人も多い。すでに特定のファンがついていて、売り上げが事前に確保できている子しかDVDが出せないから、業界的に売れる子を作る、育てていくという余裕がないんですよね」
以前、人気はないがDVDを大量買いするファンを抱えたグラドルがいたそうだが、発売直前で「会社が倒産した」と飛んでしまったこともあるようだ。
「一人が多く買うシステムだと、その人がいなくなったらどうにもならないし、認知に繋がらないから意味がない。純粋にこれから売れそうな子、必死に頑張っている子もいる。そういう子は、本当に何かしら応援したいです。数が多いぶんだけ、埋もれている子も多い。何とか引っ張り出してあげたいという気持ちはあります。グラドルに個人的な興味は無いとは言いつつも、業界に愛はある。今、DVDを作っているのって、この業界だけなんですよね。なのでDVDをコレクションする層にしか刺さっていない。この人たちがいなくなったらどうするの?っていう」
現在はイベントの司会だけでなく、グラビアコンテストの司会も担当。さらに自身がMCを務めるマシェバラ(ライブ配信サービス)の番組では、企画段階から携わるなど、グラドルが活躍できる場を増やすことにも力を入れている。
「僕も業界を盛り上げて恩返しがしたい。本当のグラビアをもう一度取り戻したいんです」
グラビア業界への愛が深い。そんなふじさんだからこそ、長年この世界で必要とされ続けているのかもしれない。
<取材・文/吉沢さりぃ、撮影/長谷英史>
【吉沢さりぃ】
ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720