10月2日公開の映画『時給三〇〇円の死神』に出演する西畑大吾、福本莉子 撮影:山��美蔓 (C)ORICON NewS inc. なにわ男子の西畑大吾と俳優の福本莉子がW主演を務める映画『時給三〇〇円の死神』が10月2日に公開を迎える。今作で亡くなった人に寄り添う“死神バディ”という異色の役柄に挑んだ2人に撮影裏での様子や作品への想いをインタビュー。初共演ながらともに関西出身ですっかり息ぴったりの掛け合いを見せた。
【ソロカットも】西畑大吾&福本莉子。ブラックコーデが映える2人を撮り下ろし 今作は藤まる(ふじまる)氏による小説『時給三〇〇円の死神』(双葉文庫)の実写映画化。未練を残したまま死んだ者に与えられる人生の“ロスタイム”を描く。西畑は、父の逮捕と両親の離婚、さらに多額の借金を抱えて人生に絶望している大学生の佐倉真司を、そんな佐倉を“時給三〇〇円の死神”という謎のアルバイトに勧誘する大学の同級生・花森雪希を福本が演じる。
■福本莉子から見た西畑大吾“佐倉真司”のキャラクター像「“この人だったら話してもいいかも”と思える」
――今回の作品のオファーを受けた時の感想と、その後台本を読まれた時の印象について、それぞれお聞かせください。
西畑:オファーをいただいた時は、まずこのタイトルから刺さるものがありました。「時給300円」とか「死神」とか、気になるところがすごく多くて。原作を読ませていただいて、(劇中の死者が)未練を残していることもあって、持っているものはすごく重いんですけど、人間だからこそその重さを和らげたり、癒やしたりする描写があって。アルバイトを通じて佐倉くんや花森さんが成長していく姿にすごく感動しました。そして、本当にオリジナリティーあふれる原作なので、その良さをすごく抽出してくださっている台本だと思いました。
福本:私もタイトルの「『時給三〇〇円の死神』ってなんだろう?」というところから始まって。読み進めていくと、まずこの2人の掛け合いがコミカルで面白くて。ボケとツッコミじゃないですけど、こういう2人の空気感がかわいらしいなと思いました。テーマは「死」を扱っていますが、コメディーシーンとのバランスがすごく絶妙だと思いました。いろんな死者の方が出てきますが、それぞれ世代が違って、親目線であったり子ども目線であったり、でも家族をテーマにしているため、とても普遍的であり、どの世代の方でも感情移入していただける作品になっていると思います。今までに読んだことがないような物語で、とても面白かったです。
――初共演でW主演ということで、アドリブも多かったとうかがいました。お互いの芝居の印象、ご本人の印象も含めてお聞かせください。
西畑:アドリブシーンは多かったですね。
福本:撮影の序盤が結構多かったですよね。自然に出てきたものもあって。探し物を探すシーンで「天ぷらの“ぷら”って何?」というのは原作にあるフレーズなんですけど、それ以外の「目玉焼きに何をかける派?」みたいなものは、現場で考えながら作っていきました。監督に「こういうことを言ってほしい」と言っていただいたり、私から佐倉くんに投げかけたりすることもありました。
西畑:僕はどちらかというと受け身の芝居が多かったので、福本さんは、大変やったと思います。花森さんという役自体もすごく天真らんまんで明るいんですけど、なぜ明るいのかというところが解き明かされていく中で、その切り替えのすばらしさを感じました。花森さんは、大事なシーンもすごく多くて、そこでの集中力がすごかった。もうオーラを放っていましたね。それを見て、かっこいいと思いました。
福本:佐倉くんは、最初はとても暗い人だなというイメージから、ちゃんとツッコミはしてくれるし、だんだん2人が打ち解けていって、最終的にはいいタッグバディになります。その関係性を作っていく中で、西畑さんの持っている優しさが佐倉くんを通じて伝わってきました。すごくどっしり構えていらっしゃるから、なんでも受け入れてくれる。そういう懐の大きさに、お芝居をしていてもとても助けられました。アドリブで何を投げかけてもなんでも返してくれるし、花森さんを演じていても“この人だったら話してもいいかも”と思えるようなキャラクター像を西畑さんが作ってくださっていたので、すごくありがたかったです。
西畑:こちらこそです。
――海や釣り堀、遊園地など、さまざまな場所で撮影されています。ロケ地で印象に残っている場所はありますか。
西畑:あるシーンでホテルに入るところがあって。らせん階段を上った先に尾行している相手がいて、その尾行相手が熱烈なキスをしているところを、僕たちが下から見るという…(笑)なかなかあの角度からあんなに熱烈なものを見る機会はないので、人生でも初めてのレベルのものを見ました。それはすごく印象に残っています(笑)らせん階段の下というのも、ちょっとバレていそうな感じがあって。
福本:あれ、ちょっとバレていそうですよね。
西畑:いや、バレてるでしょ、あれは(笑)
福本:私は最後に登場する桜が1本あるシーンも印象に残っています。そのシーンのためだけに宇都宮まで行きました。
西畑:行ったね〜。
福本:桜が本当にきれいで、湖がちょうどその桜の木の下にあって、反射して見えるんです。桜がきれいな場所はたくさんありますが、その中でも結構印象に残る場所でした。
――お2人とも関西出身だと思いますが、芝居以外でカメラの外ではどんな話をされていたのか、現場の雰囲気を教えてください。
西畑:関西弁を聞けるのはやっぱりうれしかったですね。読み合わせの時とかは関西弁でしゃべっているから、セリフのイントネーションが関西になっている時もあって。渋谷凪咲さんも関西なので…。
福本:最初は関西祭りでしたね(笑)
西畑:佐津川(愛美)さんも含めると、関西人だらけでした。関西弁でしゃべりすぎて、読み合わせのイントネーションも「関西弁になってるやん」みたいなこともありましたけど、やっぱり安心感はありました。福本さんがよくお話ししてくれたのは、映画の話ですね。好きな映画の話をすごくしてくれて、ちょうど「もっと聞きたい」と思うところで話を終えるんです。「この先は?」みたいな。やっぱり話がうまいなと思いました。
福本:その映画をおすすめさせていただいて、ちゃんと撮影中に「観たよ」と言ってくださって、すごくマメな方だなと思いました。すごくうれしかったです。
――差し支えなければ、その映画のタイトルを教えてください。
福本:『ジョー・ブラックをよろしく』という、ブラッド・ピットさんが死神役の映画です。私がその映画がすごく好きで、何回も観ているんですけど、今回『時給三〇〇円の死神』ということで、ちょっとおすすめさせていただきました。
西畑:めちゃくちゃよかったです。ブラピがかっけぇ〜のよなぁ…。
――今回の作品に、その映画から影響された部分はありますか。
西畑:でも、金髪にしようかなと悩みました。ブラピみたいに。今、僕は金髪なんですけど、これはブラピ意識です(笑)
――関西弁がセリフに出てしまいそうになることはありましたか。
福本:撮影中は関西弁を封じていましたよね、割と。
西畑:割とね(笑)でも出てしまうんですよ、なぜか。
福本:結構強めですもんね、関西弁。
西畑:そうなんかな…。確かに昨日久々に会って「関西弁が強いっ!」って言われましたもん。そんなことないと思うねんけどな…。メンバーがこんな感じやから、あんまり気にならへんのやろうな。
――酒井麻衣監督が撮る美しい映像も魅力のひとつだと思います。お2人のお気に入りのシーンを教えてください。
西畑:お気に入りはたくさんあります。“死”を題材にしているからこそ、シリアスなシーンがすごく多いんですけど、その中でもクスッと笑えるような、息抜きになるような、癒やしになるシーンがあります。例えば、浮気調査をするところ。尾行しているところも結構アドリブですね。
福本:現場に行って新聞紙に穴があいているところを知るという。「なんですか?これ」って。監督が事前に用意してくれたんですけど、ノリノリでやってました。
西畑:そうそう。そういったシーンで、佐倉くんと花森さんとの関係性が垣間見えるので、ああいったコミカルなシーンがすごく好きです。
福本:私は最初の出会いのシーンが好きです。実際に雨を降らせたのですが、あんなに大きな雨降らしの機械があるのかって。
西畑:大きいクレーンですよね。交差点を封鎖して撮影したんですけど、その時は「これどうなるんだろう」と思っていました。でも完成した映画を見たら、CGも相まって、実写なんだけどアニメみたいな美しさ。現実とファンタジーの融合がすごくいいバランスで。本当に冒頭からすごく引き込まれました。
――演じられたキャラクターとご自身の性格に、共通点はありますか。
福本:花森さんは友達もいるんですけど、1人でふっと消えてしまいそうな儚(はかな)さがあるというか。でも行動力もある。私も1人でフラッとどこかに行ったりするようなタイプなので、そういうところは似ているのかなと思います。
西畑:共通点でいうと、基本受け身なところ。佐倉くんと花森さんの関係って、花森さんが話し始めて、それに対して答えるというのが最初の方は多いんですけど、僕も基本的に受け身です。自分が何か行動を起こすことはそこまでなくて、相談もどちらかというと、されることの方が多いです。
福本:ご自身で解決されるんですか。
西畑:そう、自己完結しちゃうから。そういうところも似ているなと思いました。あと、ちょっと暗いところですかね(笑)
――酒井監督が、西畑さんについて「座長として常に撮影現場を引っ張ってくれた」、福本さんについて「さまざまな挑戦をしてもらった」とおっしゃっていました。
西畑:引っ張った記憶はまったくないんですけど、死を題材にしているので、シリアスなシーンももちろんあるし、心苦しいシーンも、大変なシーンもありました。でも、現場の士気は下がっちゃいけないと思うので、明るさと、やる時はやるという切り替えは意識していました。酒井監督が作り出してくれたものがすごく大きかったと思います。監督のこだわりや、この作品に対する愛に僕たちもついていこうと思えた。座長らしいことは、差し入れを入れたことぐらいです(笑)
福本:差し入れは大事ですよ〜(笑)
西畑:差し入れを入れたら、すごくみんな喜んでくれるんですよ。それが気持ちよくて、いくらでも差し入れしたくなる現場でした。
福本:1番テンションが上がった差し入れは、宇都宮の餃子です。撮影中に1パック、私1人で食べましたもん。
西畑:合間時間があったので、宇都宮餃子を大量に買っていきました。
――今作において、福本さんが自分でも「挑戦した」と思うことはありますか。
福本:この役がすごく挑戦でした。自分の中ではつかめない役どころで、傍から見てもつかめない役どころなんですけど、そこをひも解いていくと、過去の出来事があったり、なぜ花森さんが明るくなったのか。彼女はそうせざるを得なかったんだというところから作っていきました。佐倉くんを振り回すので、そこにはパワーが必要。やっぱり魅力がないと振り回しているように見えないのでどうしていくかというのはすごく悩みました。酒井監督は「今まで見たことがない福本さんを見せたい」とおっしゃっていて。クランクイン前の面談の時に話していて、「普段の感じがすごくいい」と言ってくださったので、できるだけそこに近づけたいと思いました。どうしてもセリフを言うと綺麗になりすぎたり、単調に見えたりするところもあるので、どうやって変化をつけていくかというのは、自分の中ですごく挑戦でした。
――「普段の自分に近づけてほしい」と言われるのは面白いですね。
福本:そうですね。普段のしゃべり方の感じがいいと言われました。小悪魔みたいなかわいさもシリアスさも欲しい。そこは難しかったですね。
――作品を撮り終わってから、普段の生活に変化はありましたか。
西畑:より感謝しようと思いましたね、何事にも。やっぱり死というものはいつ訪れるかわからないので、今すぐかもしれないし、何十年後かもしれない。いつ訪れてもいいように、未練を少しでもなくせるように、人に対してより大きな愛を、大きな感謝を持とうと思います。
福本:私も、周りの人を大切にしようと思いました。この作品を観るとすごく優しい気持ちになれると思うんですよ。人の気持ちは外からは見えないし、いろんな思いを抱えながら生きているんだなと思うと、ちょっと世界に優しくなれるというか。花森さんが目指す世界平和につながっていくんじゃないかなとも思います。
――もし「死神のバイトをしませんか」と言われたら、お2人はどうしますか。
西畑:ちょっと魅力的すぎるんですよね、いや、時給300円は全然魅力的じゃないし、交通費も出ないですが…。終えた時の特別賞与で願いごとを1つ叶えられるというのがちょっと大きすぎる。でも、いろんな死者がいるでしょうけど、まず、その死者のために動こうと思える。仕事を終えた時に記憶はなくなっちゃうんですけど、人間として優しくなれそうですよね。
――もし願いごとが叶うのなら。
西畑:僕は軽井沢に別荘を1つほしいです。半年終わって記憶がなくなったけど、なぜか別荘だけ残っているというのを目指しています(笑)
福本:でも絶対、死神協会ケチですよ。
西畑:そっか、300円やもんな〜(笑)
福本:それか、受け持った死者が軽井沢の別荘を持っていて、「良くしてくれたからあげるよ」というパターンはあるかもしれない。
西畑:なるほどね。じゃあ軽井沢の死者に会いに行きます!
福本:ピンポイントで?(笑)
――福本さんは、死神のバイトに誘われたらどうしますか。
福本:興味本位で受けるかもしれないですね。どんなものなんだろうって。時給300円でも。お金とか賞与とかじゃなくて、人生経験としてちょっと受けてみたいなって。別に軽井沢の別荘とかいらないです(笑)
西畑:僕はもう下心しかない(笑)確かに人生経験だしね。これほど鍛えられる仕事はない気がしますよね。
――福本さんは特別賞与の願いごととして欲しいものはありますか。
西畑:しいて言えばね!(笑)
福本:しいて言えば、私は海外の別荘です。
西畑:いや全然、俺より欲深い(笑)
福本:海外の土地が欲しい。ヨーロッパとか。狙っていこうと思います。
――タイトルに関連して、やってみたかったアルバイトや、憧れているアルバイトはありますか。
西畑:やっぱりカフェの店員さんって、ずっと憧れがありますよ。カッコイイ!もちろんチェーン的なお店もいいけど、ちょっとテラスがあるような、表参道とかにありそうなカフェ。
福本:表参道のテラスがあるカフェにめっちゃ関西弁の感じの方がいるの面白いですね(笑)
西畑:やっぱり憧れはありますよ。大阪で言うと、梅田とか?そういう都会のカフェで、テラスがあって、ちょっと自然も見えて…みたいな。
――犬を連れている人がいたり。
西畑:いいですね〜。なんかそういうところでモテたい人生でした。運んで、一目ぼれされて、帰る際に連絡先を渡されるみたいな。そういうモテる人生を歩みたかったです。
福本:すごい細かい設定まで考えてるんですね(笑)私はずっと飲食店のバイトに憧れています。なぜかというと、まかないが食べられるので(笑)まかない目当てで飲食店がずっとやりたいです。最近はアパレルとかもいいなと思います。姉と買い物に行って、姉をスタイリングして「これ似合うんじゃない?」と選んだりするのですが、それが好評なんです。なので、お客さんをスタイリングして似合わせコーデを組んでみたいです。
――今回の作品で、お2人が感じた作品に込められたメッセージをご自身の言葉で教えてください。
西畑:今生きているこの時間、当たり前のように思っているもの、人、それは当たり前だけど当たり前じゃない。その儚さであったり、すばらしさみたいなものを感じ取っていただける作品になっているのではないかなと思っています。そういった愛すべき時間であったり、尊い物事が、より彩度を上げてくれるような映画になっているんじゃないかな。
福本:誰しも生きているうちは、悩みであったり、トラウマであったり、人には言えない思いがありながらも、皆さん、懸命に生きていると思うんです。この作品は温かく包み込んでくれるというか、“そういう気持ちがあってもいいんだよ”と思わせてくれる。すごく寄り添ってくれる作品だと思います。
――最後に、これから本作をご覧になる皆さんに一言ずつお願いします。
西畑:劇場でご覧になっていただいた後に、当たり前の日常や、今生きている人生というものが少し尊く、愛すべきものなんだなと感じ取っていただければ幸いです。死神のアルバイトを通じて成長していく、佐倉くんと花森さんの姿にもぜひ注目して見ていただけたらと思います。
福本:今ある日常や、毎日生きていることに対して、少しでも肯定してもらえるような、そんな作品になっています。とにかく映像がきれいですし、本当に映画館の大きなスクリーンで観ていただきたい作品になっています。