セパン・インターナショナル・サーキット 1年間で20以上の開催国を訪れる2026年シーズンのFIA F1世界選手権。グランプリを開催するサーキットは、F1が選手権として初めて開催された1950年からカレンダーに名を連ね続ける伝統あるサーキットから、比較的新しい市街地コースまで、さまざまな歴史やキャラクターを持っている。そんなサーキットをひとつずつ紹介していくこの連載の16回目に扱うのは、セパン・インターナショナル・サーキットだ。
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■サーキットの基本データ
・名称:セパン・インターナショナル・サーキット・全長:5.543km・コーナー数:15・ラップレコード:1分34秒080(2017年 セバスチャン・ベッテル/レッドブル・レーシング)
アゼルバイジャンGPに続く、2026年の16戦目の舞台はマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットだ。ただし、開催されるグランプリは『マレーシアGP』ではなく、『バーレーンGP』。当初、第4戦として4月10〜12日にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われる予定だったバーレーンGPが4月開催を見送られ、その後も中東情勢が安定しなかったことから、10月にセパン・インターナショナル・サーキットで『F1ガルフ・エア・バーレーンGP・イン・マレーシア』として行われることになったからだ。
バーレーンGPは2004年に初めてF1を開催し、2011年を除いて毎年レースを行い、今年で通算23回目となる(サクヒールGP含む)。そのバーレーンGPを今年行うセパン・インターナショナル・サーキットは、1999年にF1マレーシアGP開催に向けて、クアラルンプールの南約45kmに位置するセランゴール州セパンに1998年に開港したクアラルンプール国際空港に隣接して建設されたもの。ちなみにこのクアラルンプール国際空港を設計したのは黒川紀章で、「森の中の空港、空港の中の森」をイメージした空港となっている。
サーキットの設計を担当したのは、のちにF1のサーキットを次々と手がけていくことになるヘルマン・ティルケ。16〜25mという広い幅をもつコースは、約900mの長いストレートが2本とそのストレート直後に低速コーナーを構えた典型的なティルケ・デザインとなっている。
F1のマレーシアGPは1999年から19回毎年開催されたが、2017年を最後にF1のカレンダーから姿を消した。しかし、二輪のロードレースは1999年から現在までセパンで開催し続けている。今年は10月30日〜11月1日に組み込まれており、セパンはロードレースにとってはシーズン終盤戦の風物詩ような存在となっている。
ロードレース以外にも日本のSUPER GT/JGTCが2002年から2013年までシリーズ戦を開催していた。2025年に再開催し、今年も6月にシリーズ第3戦として開催される予定だったが、中東の不透明な情勢の影響を受け、開催を断念していた。
このように、これまでさまざまなレースを開催してきた実績があるセパン・インターナショナル・サーキット。2017年以来9年ぶりのF1開催でもサーキット内の運営に問題はほとんど見当たらない。
心配なのは、9年ぶりにセパンを訪れるチームとドライバーたちだろう。2017年にマレーシアGPに出場し、今年セパンに帰ってくるドライバーはルイス・ハミルトン(フェラーリ)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、バルテリ・ボッタス(キャデラック)、エステバン・オコン(ハース)、ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)、セルジオ・ペレス(キャデラック)、ランス・ストロール(アストンマーティン)、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)、カルロス・サインツ(ウイリアムズ)、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)の10人。半分以上のドライバーが初めてセパンをF1マシンで走ることになる。
また、チームが所有している走行データは9年前のものしかなく、ファクトリーでの事前のシミュレーションなどの精度は今年これまでのグランプリほど高くないことから、金曜日のフリー走行では思わぬハプニングが起きるかもしれない。
もうひとつの懸念は、天候などの気象コンディションだ。赤道に近いマレーシアは10月に入っても最高気温は30度以上の日が続く。毎年この時期にグランプリを開催しているシンガポールGPはナイトレースだが、マレーシアでのレースは日中に行われるため、気温以上にコクピット内は暑くなることが予想される。グランプリが開幕する前から、国際自動車連盟(FIA)は「熱中症危険宣言」を告知し、関係者へ注意を促している。
約1時間半もの間、高温状態で最高心拍数170回(1分間あたり)という激しいドライビングを強いられるセパンのレースは、1500kcal以上のエネルギーを消費し、約3リットルの水分が失われる。ドライバーにとって、体力的に今シーズン最も過酷なレースになることは間違いない。
[オートスポーツweb 2026年10月01日]