
「いまが一番、幸せです」
とびきりの笑顔でそう語るのは、瀬藤美代子さん(75)。現役のセクシー女優で、熟女専門の風俗店でも働いている。だが、5年前までは性風俗の仕事とは無縁の専業主婦だった。70歳で新たな世界に飛び込んだきっかけは、娘との何気ない会話だったという。
■70歳の仕事探しは「全滅」
「10年ほど前に離婚し、その後はコロナ禍もあって働けず、娘に養ってもらっていました。70歳になって『何か仕事をしなければ』と応募を始めたのですが、電話で年齢を伝えただけで断られて。全滅でした」
ある日、居酒屋で娘と仕事探しについて話していたとき、以前「AVに興味はありませんか」と声をかけられたことを思い出した。
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「当時は『とんでもない』と断ったんです。でも娘が『そんな仕事もあるんだね。面白そうだから、やってみたら?』と言ってくれて」
再婚した夫とは20年以上性生活がなかった。離婚後のトータルで数えれば、セックスとは30年近く無縁だったという。
「このまま死ぬまで経験しないのも、少し寂しいかもしれない。そんな気持ちもあって、娘に背中を押される形で応募しました」
熟女専門のプロダクションに連絡し、面接へ。娘は事務所の入るビルの下まで付き添ってくれた。その日のうちに契約が決まり、宣材写真を撮影した。
「人前で裸になるのは初めてで、とても恥ずかしかったです。本当は腹筋をして、おなかを引き締めてから挑みたかったんですけどね(笑)」
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■家族を優先してきた日々
美代子さんは24歳で結婚し、2人の娘を出産。34歳で離婚した後は、シングルマザーとして子どもたちを育てた。45歳で子連れの男性と再婚すると、夫の連れ子や義母の世話も担い、約20年にわたって育児と介護に追われた。
「最初の夫が、初めて体を許した相手でした。再婚相手はとても淡白な人で、20年以上セックスレス。40代のころ、友人から夫との仲むつまじい話を聞くと、自分は女性として負けているような気がして、コンプレックスを抱いていました」
長く性生活から遠ざかるうちに、性欲もなくなったと思っていた。だからこそ、初めての撮影で感じたことは、自分でも意外だったという。
「相手の若い男優さんが丁寧にリードしてくださって、『こんなにも気持ちがいいものだったんだ』と感動しました」
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監督やスタッフの気遣いもうれしかった。
「『いい笑顔だね』と声をかけてくれたり、緊張をほぐそうと好きなLUNA SEAの曲を流してくれたり。長く専業主婦をしていて、夫から大事にされていると感じることも少なかったので、皆さんが私を大切にしてくれることが、とてもうれしかったんです」
■4年間で17作品に出演
それから約4年間で、熟女シリーズを中心に17作品に出演。親子や祖母と孫といった設定のほか、高校教師を演じた作品もある。
「息子と母親、友人の母親、婿と姑、孫と祖母といった設定がありました。定年退職後に再雇用された高校教師役で、男子生徒と保健室で……という作品もありましたね。セリフを言ったり、アイロンをかけたり、キュウリを刻んだり。日常の一場面を演じるのも楽しかったです」
撮影には慣れたものの、自分の出演作品は恥ずかしくて、いまだに1本も見たことがないという。
その後、出演していたシリーズが終了。現在はセクシー女優として活動するかたわら、熟女専門の風俗店にも勤める。転身するときも娘に相談した。
「『思い切って風俗で働いてみようかな』と話したら、『もうこの年なんだから、好きなことをやればいいよ』って(笑)」
店には、作品を見たファンが全国各地から訪れる。客の年齢も、成人したばかりの青年から85歳までさまざまだ。
「若いお客さんには『あなたのお母さんより年上だよ。リアルにおばあちゃんと孫になっちゃうよ』なんて言うんです。年上が好きといっても限度があるでしょう、ってね(笑)」
親族や知人に仕事を知られることへの不安は、あまりない。
「『そんな仕事をして』と言われたとしても、人に迷惑をかけているわけではないんだから、いいじゃないって。それで縁を切りたいというのなら、『どうぞ』と言います」
■家賃を払い、旅行代も貯められるように
働き始めた目的のひとつは、娘に頼りきりだった暮らしを変えることだった。
「いまは娘と2人でマンションに住み、家賃を折半しています。旅行の費用も貯められるようになりました。ただ、老後が安心できるほど稼げているわけではありません。20年くらい前に脱いでいれば、もっといいお金になったかもしれないですけどね(笑)」
収入だけでなく、美代子さん自身の考え方も変わったという。
「若いころは“こうでなくてはいけない”という考えに縛られていました。自由なことがあまり許されない環境で、70歳になるまでお酒もほとんど飲まなかったんです」
かつて美代子さんにとって、セックスは愛情表現だった。夫との間にそれがないのは、愛されていないからだと思い続けていた。
「この仕事を始めてから、セックスは気持ちがよく、楽しいものなのだと素直に思えるようになりました。同世代の方も『もう年だから』と、性生活やおしゃれを諦めないでほしいですね」
最後に目標を尋ねると、明るい声で答えた。
「80歳までは、いまの仕事を続けられたらうれしい。そのためにも健康でいたいですね。いまは本当に、人生が楽しいです」
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