IMSA最終戦プチ・ル・マンを制した6号車ポルシェのマット・キャンベル、ローレンス・ファントール、ケビン・エストーレ 10月3日(土)、アメリカ・ジョージア州ブラゼルトンに位置するミシュラン・レースウェイ・ロード・アトランタにて、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第11戦『モチュール・プチ・ル・マン』の決勝が10時間にわたって争われた。
全4クラスが参加するシーズン最終戦のこのレースは16回ものイエローコーションが出る荒れた展開となる中、ローレンス・ファントール/ケビン・エストーレ/マット・キャンベル組の6号車ポルシェ963(ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツ)が優勝を飾った。
また、GTPクラスの年間タイトルは31号車キャデラックVシリーズ.R(キャデラック・ウェーレン)のジャック・エイトケンが手にしている。
■“撤退レース”アキュラが予選でワン・ツーも決勝で同士討ち
10時間の長丁場で争われる恒例のシーズン最終戦。このレースでは、GTPワークス活動の「一時停止」を決めているアキュラARX-06にとってIMSAの最終レースとなった。
2日に行われた予選では、そのアキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・カーブ・アガジャニアン勢が速さを見せ、60号車のトム・ブロンクビストがポールポジションを獲得、93号車のレンガー・バン・デル・ザンデが2番手に続き、フロントロウをロックアウト。3番手にはシェルドン・ファン・デル・リンデがアタックした24号車BMW Mハイブリッド V8(BMW Mチーム WRT)が続いた。
タイトルを争うエイトケンの31号車は4番手、ラウリン・ハインリッヒの7号車ポルシェは7番手となり、エイトケンが選手権でのリードをさらに4ポイント拡大。これにより、土曜日の決勝レースでグリーンフラッグが振られてスタートを切った瞬間、エイトケンとチームのそれぞれのタイトルが確定した。
レース序盤は3番手スタートの24号車BMWがリードを取り、その後アキュラ勢がワン・ツーを形成。しかし、スタートから3時間経過後から雨が降り出すと、4時間を前に雷のためレースは30分間の赤旗中断となる。
リスタート後には路面が乾いていくなか、25号車BMWのケビン・マグヌッセンが、スリックタイヤでのアウトラップだったアレックス・パロウ(93号車アキュラ)の動きに対応しきれず、ターン3のバリアに激しくクラッシュを喫した。
この接触の前にはMSRの2台のアキュラがトップを争うなかで接触し、93号車のファン・デル・ザンデにはドライブスルーペナルティが科せられた。この上位勢の混乱により、ウェイン・テイラー・レーシングの10号車キャデラックが首位へと浮上し、31号車キャデラックが続く展開に。
夜を迎えるなか、31号車キャデラックはやがて首位に浮上し、24号車BMW、そしてエストーレがドライブする6号車ポルシェが3番手に続き、残り2時間の戦いへと突入していった。
6号車のファントールは残り50分、上位勢では最後に最終ピットストップを行い、燃料補給と左側タイヤ交換により首位を維持してコースに戻ったが、S字でコースオフを喫し、その先のコーナーでも再びコースを外れて31号車キャデラックのアール・バンバーに一時的にトップを譲る形となった。しかし2周後、最終コーナーでトラフィックを利用して首位の座を奪還した。
残り45分で24号車BMWのファン・デル・リンデがバンバーをかわして2番手に浮上。一方のバンバーはペースを落とし、ブロンクビストの60号車アキュラの後塵を拝する4番手まで後退した。
しかし、残り19分にロマン・デ・アンジェリスの23号車アストンマーティン・ヴァルキリー(ハート・オブ・レーシングチーム)とバンバーが接触し、31号車キャデラックがターン1のバリアに激突するアクシデントが発生。これにより最後のコーションが出され、接触の責任を問われた23号車にはドライブスルーペナルティが科された。
ファントールは、ドリス・ファントール、ロビン・フラインスと24号車をシェアするファン・デル・リンデからトラフィックの中での最終2周で激しいプレッシャーを受けたものの、最終的には1.205秒差でチェッカーフラッグに逃げ切った。
ファントールは、長年のチームメイトであり、自身にとって待望のIMSA初勝利を飾ったエストーレ、そしてポルシェ・ファクトリードライバーとしての最後のレースに臨んだキャンベルとともに、栄光の勝利を手にした。
これは、ニック・タンディとパトリック・ピレがGTLMクラスのポルシェ911 RSRで総合優勝を飾った(雨天により短縮された)2015年大会以来となる、ポルシェにとってのプチ・ル・マン完全勝利であり、同レースの29年の歴史においてポルシェのプロトタイプマシンが達成した初の総合優勝ともなった。
アグレッシブな燃料戦略で3番手を走行していたブロンクビストは、エネルギー不足のため最終ラップでのピットインを余儀なくされ、その結果、ルイ・デレトラズ/ジョーダン・テイラー/コルトン・ハータが駆るウェイン・テイラー・レーシングの40号車キャデラックが、表彰台の最後の座に立った。
ブロンクビストは6位でチェッカーを受け、アキュラARX-06のワークス活動に幕が下ろされた。なお、93号車はリタイアを喫している。
フェリペ・ナッセが駆る7号車ポルシェ、レース終了まで残り90分という時点で、ホームストレート上で宙を舞うクラッシュに見舞わた。これは、ファントールやRS1の28号車ポルシェ911 GT3 Rエボの後方で減速を強いられた際に発生したものだ。
ジュリアン・アンドラウアー、ハインリッヒとともに、デイトナ、セブリング、ロード・アトランタでの同一年全勝という史上初の快挙を目指していたナッセだったが、クラッシュ後は自力でマシンから脱出している。
LMP2クラスでは、見事な逆転劇でクラウドストライク・レーシング・バイ・APRの04号車オレカ07・ギブソンのジョージ・カーツとアレックス・クインが優勝とタイトルを手にした。ブロンズドライバーのカーツはこれにより『ジム・トゥルーマン・アワード』を受賞し、2027年のル・マン24時間レースへの自動招待枠を確保した。
残り1時間47分の時点でトム・ディルマンに追突された04号車は、修復作業を経て1周遅れから挽回し、最後のピットストップ・シークエンスでトップを奪い返していた。
■コルベットに悪夢。ポール・ミラーがGTDプロのタイトル獲得
GTDプロクラスでは、ヴァレンティン・ハッセ・クロット/マルコ・ソーレンセン/マッティア・ドルディ組のカー・ブランシュ68号車アストンマーティン・バンテージGT3が優勝を飾った。
最終スティントを担当したドルディは、AOレーシングの77号車ポルシェ911 GT3 Rを駆るハリー・キングを1.507秒差で抑え切った。これにより、チームに記念すべき初勝利がもたらされた。
この結果は、レース残り1時間の時点でトップを走っていたバッサー・サリバンの14号車レクサスRC F GT3のベン・バーニコートが、規定のパワートレイン・パラメータを遵守しなかったことによる警告を受け、残り25分を切ったところでペースを落としたことで実現した。
日中の酷暑の中でエアコンなしの走行を強いられたバーニコート、ジャック・ホークスワース、カイル・カークウッドの3人は、ウェザーテック選手権における同車の最後の参戦となったこのレースで、最後から2周目にエネルギー補給のためのピットストップを余儀なくされた結果、10位でフィニッシュしている。
タイトル争いでは、プラット・ミラー・モータースポーツが運営するコルベット・レーシングの4号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rにレース終盤のドラマが起きたことで、クラスポールシッターのニール・バーヘイゲンがクラス3位に入ったポール・ミラー・レーシングの1号車BMW M4 GT3エボのタイトル獲得が確定した。
バーヘイゲンはコ・ドライバーのコナー・デ・フィリッピとともにタイトルを獲得。このプチ・ル・マンでは、ダン・ハーパーが第3ドライバーとして加わっていた。
残り1時間余りの時点でデニス・オルセン駆る64号車フォード・マスタングGT3エボとニッキー・キャッツバーグ駆る4号車コルベットが接触するアクシデントがあり、その結果、パフ・モータースポーツの9号車ランボルギーニ・テメラリオGT3を駆るアンドレア・カルダレッリとサンディ・ミッチェルがランキング2位でシーズンを終えることとなった。
オルセンは接触事故の責任を問われてドライブスルー・ペナルティを科され、クラス9位でフィニッシュ。一方、4号車コルベットは1周遅れの12位に終わったが、シボレーはGTDプロクラスのマニュファクチャラー・タイトルを手にしている。
GTDクラスでは、フィリップ・エリスとラッセル・ワードが、インディ・ドンチェとともにウインワード・レーシングの57号車メルセデスAMG GT3エボを駆り、クラス優勝を果たすとともに、史上初となる3年連続のクラスチャンピオンの座を手にした。
エリスは、レース残り5時間でパンクに見舞われるアクシデントを乗り越え、マンタイの912号車ポルシェに0.733秒差をつけてフィニッシュした。
一方、クラス10位でフィニッシュしたブロンズドライバーのオレイ・フィダーニは自身3度目となる『ボブ・エイキン・アワード』を獲得し、2027年のル・マン24時間レース(LMGT3クラス)への自動出場権を手にしている。
2026年のウェザーテック選手権は全日程を終了。2027年カレンダーはすでに発表されており、1月末のデイトナ24時間レースで幕を開けることになる。
[オートスポーツweb 2026年10月05日]