衆院本会議で所信表明演説をする高市早苗首相=5日午後、国会内 高市早苗首相は5日の所信表明演説で、看板政策の「責任ある積極財政」に取り組む意欲を改めて訴えた。日本経済が「成長の好循環」に踏み出せるかどうかの分岐点に立っているとして、「今こそ『責任ある積極財政元年』の幕開けだ」と宣言。対照的に、裏付けとなる財源については具体的には言及せず、国民と市場の疑問に答える姿勢は見せなかった。
首相は演説で、経済安全保障に関する「危機管理投資」と日本の得意分野を強化する「成長投資」を推進するため、「日本成長戦略実行計画」を年内に策定すると説明。対象分野としてエネルギーや食料安保、サイバー、宇宙、人工知能(AI)、半導体などを列挙した。
こうした政府の財政支出が国内投資を引き出して雇用と所得を増やし、消費マインドを改善して税収が自然増に向かう「GDP(国内総生産)拡大の下での好循環」を実現すると力説した。
財政に対する市場の信認も意識してはいるようだ。財政の持続可能性は責任ある積極財政の「当然の前提」だと指摘。「経済や市場が想定と異なる動きを示した場合には、必要な対応を機動的に講じる」「政策を実行して結果を積み上げる。正攻法で市場の政府に対する信頼を高めていく」と理解を求めた。
ただ、「国内投資の呼び水として、大規模かつ長期の、予見可能性の高い財政支出を計画的に行う」と強調。財源は明示しなかった。消費税減税の財源に関しても「特例公債に頼らず確保する。心配には及ばない」と述べたが、具体策はなかった。
積極財政の影響もあって、長期金利は上昇を続け約30年ぶりの水準にある。首相は演説で「経世済民」が自らの志だと強調したが、既に物価高騰は国民生活に長く暗い影を落としている。