蕎麦切広大が2026年FDJ最終戦で逆転初チャンピオン獲得。雨の岡山で高橋和己との直接対決を制し優勝の完全勝利

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2026年10月06日 18:20  AUTOSPORT web

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2026年フォーミュラドリフトジャパン最終戦岡山を制し、逆転で自身初チャンピオンに輝いた蕎麦切広大(SHIBATA RACING TEAM)
 10月3〜4日、岡山県の岡山国際サーキットで2026年フォーミュラドリフトジャパン(FDJ)最終戦となる第6戦が開催され、単走予選トップから臨んだ蕎麦切広大(SHIBATA RACING TEAM/トヨタGR86)が追走決勝トーナメントを勝ち抜き今季2勝目を獲得。ポイントリーダーで昨年王者の高橋和己(TMS RACING TEAM MARK MA/E92 BMW M3)を準決勝ファイナル4の直接対決で下し、決勝ではジェイク・ジョーンズ(DRIFTSQUID INDUSTRIES/E92 BMW M3)も退けて、自身初のシリーズチャンピオンに輝いた。


■王座の可能性を残したのは6名。高橋和己が34点リードで迎えた最終戦

 4月に富士スピードウェイで開幕し、鈴鹿ツインサーキット、エビスサーキット西コース、スポーツランドSUGO、グランスノー奥伊吹、岡山国際サーキットを転戦するカレンダーで争われた2026年のFDJ。シーズン前半は勝者が入れ替わる混戦となったが、中盤以降に主導権を握ったのは高橋。第4戦SUGOと第5戦奥伊吹を連勝し330点でランキングトップに。一方の蕎麦切は第3戦エビスで優勝し、第5戦奥伊吹でも単走予選トップとファイナル4進出を果たして296点。首位とは34点差の2番手で最終戦岡山を迎えた。

 FDJは単走予選の順位に応じた最大7点の予選ポイントと、追走トーナメントの成績に応じた決勝ポイントが優勝100点、2位80点、ファイナル4敗退が64点(以下略)を合計する方式。最終戦の最大獲得ポイントは107点となるため、チャンピオンの可能性を残すのは330ポイントの高橋、296ポイントの蕎麦切、279ポイントの益山航(EVANGELION RACING/トヨタGR86)、265ポイントのRYUMA(HARSON TYRES Team ORANGE/トヨタGR86)、246ポイントの中村直樹(VALINO×日本環境開発Racing×N-STYLE/トヨタGR86)、232ポイントの夏昌浩(FAT FIVE RACING/S15ニッサン・シルビア)という6名だった。

 10月3日に行われた単走予選では蕎麦切が93点でトップを獲得し7ポイントを上乗せ。2番手は中村、3番手に益山が続き、高橋が4番手、RYUMAは14番手でトーナメントに駒を進めたが、王座候補のひとりだった夏はトップ32に入ることができず、この時点でタイトル争いから脱落。チャンピオンの行方は5名に絞られ、翌4日に雨の追走トーナメントを迎えた。

 追走トーナメントは蕎麦切と高橋がともにブロック左側に入る組み合わせとなり、ふたりが勝ち進めばファイナル4でタイトルをかけた直接対決が争われる。その思惑どおり、単走予選トップの蕎麦切は初戦トップ32で杏仁さん(Teamアカデミック/S15シルビア)、トップ16で塙彰拡(FreeStyle with レイテックオートワークス/トヨタGR85)を退けると、グレート8ではセナ(White River/E92 BMW M3)と対戦。これも制してファイナル4進出を決めた。

 対する高橋もトップ32でシェン・ニアン(Kazama with powervehicles/JZX100トヨタ・チェイサー)、トップ16で同チームの山下広一(TMS RACING TEAM 5FIVEX/E92 BMW M3)を下し、グレート8ではユキオ・ファウスト(Fausto racing with mini gt/S15シルビア)に勝利してファイナル4に進出。一方で益山はトップ16でRYUMAに敗れ、そのRYUMAもグレート8でジョーンズの前に姿を消した。トーナメント右側ブロックでは中村が斎藤太吾(Fat Five Racing/A90 GRスープラ)、�霤沈曲検�Hash9 Racing/JZX100チェイサー)を破ってファイナル4に進んだが、高橋が398点以上を確定させた時点で最大352ポイントの中村にチャンピオンの可能性は消失。王座の行方は高橋と蕎麦切のふたりに絞られた。


■ファイナル4で高橋と蕎麦切が直接対決。勝った方が王者に王手

 事実上のチャンピオン決定戦となった高橋vs蕎麦切によるファイナル4の一回戦。条件は明快で、高橋が勝った瞬間に2年連続タイトルが確定する。一方で蕎麦切が勝てば王座への望みをつなぎ、優勝すれば403点で高橋を上回って逆転チャンピオンに輝く。シーズン終盤を連勝して勢いに乗るポイントリーダーと、予選トップから後がない戦いを続けてきた追う立場の蕎麦切。ふたりがシーズン最終戦の準決勝で直接対決という、この上ない舞台が整った。

 雨が降り続くウエットコンディションのもとで行われた1本目、先行は蕎麦切、後追いは高橋。先行の蕎麦切は雨でグリップの低い路面でも指定ゾーンを正確に捉える安定した走りを披露する。対する後追いの高橋は失速を避けるためか走行ラインがイン側に入り込んでしまい、アングル不足やインカット気味の走りとなって後追いの得点を落としてしまった。

 先行・追走を入れ替えた2本目では、高橋がスピードに乗った鋭い振り出しの先行を見せる。しかし、後追いの蕎麦切も落ち着いたコントロールで高橋の走行ラインをしっかりとトレースし、安定した追走でフィニッシュまで駆け抜けた。審査員の判定はジャッジ3名全員が蕎麦切の勝利を提示。高橋はここで敗退となっている。

 逆転チャンピオンに向けて勝ち上がった蕎麦切。決勝の相手は右側ブロックを勝ち上がってきたオーストラリア人ドライバーのジョーンズ。トップ32でルカ・メルリ(FAT FIVE RACING/S13シルビア)、トップ16で小橋正典(HARSON TYRES Team ORANGE/A90 GRスープラ)、グレート8でRYUMA、ファイナル4では中村といった実力者を破る快進撃を見せていた。

 決勝戦1本目は蕎麦切が先行、ジェイクが後追い。進入でわずかにつまずいた蕎麦切だったが、即座に修正してアウトゾーンまで綺麗なラインを描く。ジェイクは強烈な飛び込みで肉迫したものの、アウトゾーンでの脱輪やラインが小さくなるミスが出た。2本目は先行のジェイクが深いアングルで飛び込むも、インクリップがやや空く走りに。一方の蕎麦切はウエット路面を感じさせない見事なシンクロを見せ、着実に距離を詰める圧巻の追走技を披露した。

 判定はワンモアタイムなしで決定。蕎麦切は単走予選と追走トーナメントを両制覇する完全勝利で今季2勝目を挙げ、予選ポイント7点と優勝の100点を合わせて最大の107点を獲得。累計403ポイントとし、398ポイントの高橋を上回って逆転で自身キャリア初のチャンピオンに輝いた。

 蕎麦切は「まず初めに、ここまで走ってくるなかで温かく迎え入れてくれた皆さん、そして応援し続けてくれたスポンサーの皆さま、チームの皆さま、ファンの皆さま、ずっと応援し続けてくれてありがとうございます」と感謝を口にした。

 そして、優勝が絶対条件だった最終戦を「今回のラウンドは優勝をしないとチャンピオンが獲れないという状況で、すごく緊張しました。それでもチーム、応援してくれる皆さまに力をいただいて、勝ち切ることができました」と振り返り。自身初チャンピオンということで、喜びはまだ実感に変わっていないようだ。

「ちょっと……、まだあまり実感が湧いていなくて(苦笑)。僕はシリーズチャンピオンという経験が今まで一度もなかったので、今は正直どう反応していいか分からないところもあります。ただ、シリーズチャンピオンの称号には憧れがすごくあって、ずっと獲りたいという強い気持ちを持って戦ってきました。本当にこのようなかたちで、最後に優勝という最高の結果とシリーズチャンピオンで締めくくれたことは本当に嬉しいです。支えてくれた皆さん、本当にありがとうございます」

 近年の蕎麦切はD1グランプリの活動に集中しており、今季のFDJには2023年以来の復帰参戦となっていた。その初年度でのチャンピオン獲得という栄光を、蕎麦切はシバタイヤ/柴田自動車の柴田達寛代表取締役の奥様である故・柴田浩美さんに捧げると語った。浩美さんは“ひろみちゃん”の愛称でSHIBATA RACING TEAMのお母ちゃん的存在として日本のドリフトシーンで親しまれており、チームのエースドライバーである蕎麦切とは中学生時代から親交があったが、2025年10月に闘病の末に永眠されていた。

「僕が持っているのは柴田社長の奥さまであり、僕としても母のような存在だったひろみさんのお人形です。本当にひろみさんが『広大がFDJで走っている姿をもう一度見たい』という言葉からFDJへの再参戦が始まりました。ひろみさんにしっかりと届くように良い走りをして、良い結果を出せるように戦ってきました。ずっと可愛がってくれましたし、本当にひろみさんがいなかったら僕はこの場に絶対いなかったですし、大切に大切に育てていただいた方に、最高の結果と最高の走りをお届けできたかなと思います。天国から笑顔で応援してくれていることも感じていますので、最後に一言言わせてください『ひろみちゃんやりました! 本当にありがとうございます!』」

 ラジコンドリフターから実車転身後に掴んだ初王座に喜び一色だった蕎麦切とSHIBATA RACING TEAM。2026年のFDJはシーズン終了となったが、もうひとつのドリフト競技であるD1GPでも蕎麦切は最終戦を前にランキング2位につけており、夢の“国内トップドリフト完全制覇”にも期待がかかる。

[オートスポーツweb 2026年10月06日]

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