高温多湿な環境に夜型生活。バリアにも囲まれ、体力・精神面では最も過酷なシンガポール/サーキット紹介第19回

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2026年10月08日 17:10  AUTOSPORT web

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2025年F1シンガポールGP マリーナベイ市街地サーキット
 1年間で20以上の開催国を訪れる2026年シーズンのFIA F1世界選手権。グランプリを開催するサーキットは、F1が選手権として初めて開催された1950年からカレンダーに名を連ね続ける伝統あるサーキットから、比較的新しい市街地コースまで、さまざまな歴史やキャラクターを持っている。そんなサーキットをひとつずつ紹介していくこの連載の16回目に扱うのは、マリーナベイ市街地サーキットだ。

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■サーキットの基本データ

・名称:マリーナベイ市街地サーキット・全長:4.927km・コーナー数:19・ラップレコード:1分33秒808(2025年 ルイス・ハミルトン/スクーデリア・フェラーリ・HP)

 日本、マレーシア、バーレーン、中国に続いて、2008年にアジアで5番目のF1開催の地となったシンガポール。その舞台はシンガポール中心地のマリーナ湾岸地域に設けられた特設サーキットだ。

 最終コーナーから1コーナーまでのホームストレート区間以外は、一般道を利用したマリーナベイ市街地サーキットの最大の特徴は、公道であるがゆえに路面がバンピーであることだ。路面に目で見てもわからにいほどの凹凸があるため、マシンが常に上下に跳ねる。これにより、ドライバーは視界がブレ、運転が難しくなる。さらにセッション終了後はコースが解放され、レース関係者が通行し、サーキット管理者のトラックが走行するため、セッションに路面に付着したタイヤラバーがとれ、翌日には路面がスリッピーになる。

 4.927kmのコースには全部で19ものコーナーがあるため、シンガポールではブレーキング時の安定性とコーナー立ち上がりのトラクションがいつも以上に重要となる。しかし、バンピーな路面に加え、公道特有のかまぼこ状の傾斜(水捌けを良くするためにコースの中央が高く両端が低くなっている形状)がドライバーのペダル操作を苦しめる。通常、ブレーキング時にはアウト側のタイヤに荷重が乗るが、公道ではアウト側が低くなっているため、荷重が抜けやすく、ロックしやすい。

 しかも、ストリートコースであるためランオフエリアがほとんどなく、バリアに囲まれているので、1年を通して最も精神的に厳しいコースと言われている。

 高温多湿な気候もドライバーにとってはやっかいだ。シンガポールGPはナイトレースで行われるため、気温は日中に開催された前戦マレーシアGPのように30度以上にはならないと予想されるが、それでもマレーシアよりも南に位置するシンガポールはF1のカレンダーの中で最も赤道に近い場所。そのため、最低気温も25度を下回ることなく、蒸し暑い。

 さらにシンガポールGPはナイトレースという普段と異なる状況下で行うため、ドライバーにとっては体調管理も難しい週末となる。通常レースのスタートは午後3時だが、シンガポールGPは午後8時にスタートが切られる。そのため、ドライバーたちはシンガポールGPの週末は時計の針を5時間遅らせて、お昼頃に起きて、明け方寝るという夜型の生活する。

 こうしたコンディションから、シンガポールGPはドライバーにとって、体力的にも精神的にも1年を通して最も厳しいと言われている。

 F1史上初のナイトレースとして2008年に開催されたシンガポールGP。コースの照明がどれくらいドライバーの視認性を確保してくれるのかわからなかったヘルメットメーカーは初開催当初、数種類の晴れ用バイザーのほかに複数の雨用バイザーを準備して臨んだが、実際にコースを走行すると通常の晴れ用バイザーで十分なほどコースは明るかった。その理由はコース沿いに1500個も張り巡らされている光度2000ワットのメタルハライドランプだ。この照明により、コース上の明度は、通常のスポーツ施設の照明の約4倍となる3000ルクスにも達していたため、視界に問題はなかった。

 ただし、今年はスー​パー・エルニーニョによる高温の影響で、深​刻な森林火災に見舞われている隣国のインドネシアから飛散してきている煙害(ヘイズ)という新たな問題と直面しなければならないかもしれない。10月5日早朝には大気汚染指数(PSI)が129となり、シンガポール国家環境庁が、健康な人も長時間または激しい屋外活動を最小限にすることを推奨する「不健康」という指標を出し、状況は10月7日(水)になっても改善されていない。

 そんな状況を変えるかもしれないのが、週末に降る雨だ。土曜日は58%、日曜日は88%という高い降水確率となっているシンガポール。マレーシアGPでは混乱のきっかけとなった雨がシンガポールGPではヘイズ解消の切り札となるかもしれない。

[オートスポーツweb 2026年10月08日]

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