医師が指摘! 「大食いコンテンツ」が視聴者の健康を蝕(むしば)む危険性とは? 韓国YouTubeでは収益停止も日本では野放し...

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2026年10月09日 07:40  週プレNEWS

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大食いやフードファイト系コンテンツは視聴率の面では鉄板だが、さまざまな問題を孕(はら)んでいる


大食いやフードファイト系コンテンツは視聴率の面では鉄板だが、さまざまな問題を孕(はら)んでいる


日本のバラエティ番組やYouTubeコンテンツでは、長らく「鉄板ネタ」として人気を博している大食い企画。しかし、海の向こうでは厳しい目が向けられ始めている。

今年9月、韓国の大食い系配信者が、YouTubeから収益化停止を受けたと公表。また、韓国の複数メディアも、極端な暴食や食事制限や運動によらないダイエット方法を実践して公開していたYouTube配信者に、収益停止が相次いでいると伝えている。過去に投稿した600本以上の動画のうち、300本以上を非公開や削除に追いやられた配信者もいるという。

【写真】食を扱うコンテンツの本質とは

こうしたYouTubeの対応の裏側には、韓国社会に潜む大食いコンテンツへの根強い批判があるとみられている。むろん、日本でもテレビやYouTubeの大食い企画は多くの視聴者を惹きつける一方で、「もったいない」「グロテスク」といった忌避は存在する。しかし韓国での批判の根底には、さらに大きな警戒感が横たわっている。

韓国在住のフリーライターが、その過程を解説する。

「韓国ではYouTube黎明期からグルメ系の企画がキラーコンテンツで、『モッパン系』と呼ばれる出演者の飲食を配信するチャンネルが多数誕生しました。しかしここ10年ほどの間に、グルメ系チャンネル業界は視聴者争奪戦に突入し、過激な企画を競って配信するようになってきた。そのひとつが大食いです。

さらにここ数年は、意外性が重視されるアテンションエコノミーの宿命として、痩せた女性が大食いを披露するというのも定番になってきた。すると一部の視聴者は彼女たちに憧れ、『大食いしても太らない方法』を探すようになる。結果、暴食と嘔吐を繰り返す過食嘔吐ほか極端なダイエット法に手を出す人が増えているのではないかという指摘は、韓国社会では繰り返されてきました」(韓国在住ライター)

その背景には、若者を中心とした極端な体重管理が問題となっていることもありそうだ。2025年に韓国疾病管理庁がまとめた「青少年健康行動調査」によると、調査対象の女子中高生2万6409人のうち、直近30日間に断食や医師の処方なしの痩身薬の自己投与、嘔吐または下剤の服用といった不適切な体重管理を行った割合は14.8%に達している。日本に同様の調査が存在しないため比較はできないが、韓国で無視できない割合の女子中高生が、危険なダイエットに手を染めているのは確かだろう。

一方、医師・産業医でメンタルヘルステクノロジーズ取締役の小倉行雄氏は、大食いコンテンツが及ぼす公衆衛生への影響についてこう指摘する。

「他人の大食いを見ただけで健康な人が摂食障害になる、という因果関係が確立しているわけではありません。ただ、過食症に悩む患者さんは、大量の食べ物や食べる音が刺激となり、食への衝動を呼び起こすことがあります。

過食症治療中で視聴後に過食したくなる、食事を極端に減らしたくなると感じたら、症状が悪化する可能性もあるので動画から距離を置き、主治医に相談してほしい」(小倉氏)


大食いでも痩せている女性を娯楽として配信することは、視聴者に過度なストレスを与える可能性もあるという


同時に、一部の大食いコンテンツは摂食障害の患者以外にも過度なストレスを与える可能性があるという。

「『大量に食べても細身』という姿を娯楽として強調することには、特に若い世代に、無理な食べ方や過度な痩せ願望を促し、食事量や体形に対する認識をゆがめるおそれがあります。また、細身の出演者が大量に食べる姿と自分を比較して苦しくなることも考えられます。大食いコンテンツを発信する側にも、『動画を見て苦しむ人がいる』という点に配慮が必要です」(小倉氏)

さらに、大食いコンテンツの出演者の健康にも配慮が必要だ。

「摂食障害は、食べる量や外見だけでは判断できず、大食いコンテンツの出演者に患者が多いとも断言できません。しかし、食後に自分で吐く行為を繰り返しているなら、摂食障害の可能性を含め、医療につなぐ必要があります。

嘔吐は胃酸で食道や歯を傷つけるほか、脱水やカリウム不足から不整脈を招き、命に関わる場合もあります。テレビやYouTubeコンテンツの制作者は、出演者の健康状態に留意する義務があります」(小倉氏)


食を扱うコンテンツは、「美味しさ」や「健康」を伝える本来の姿に戻るべき時期に来ているのかもしれない


ちなみにYouTubeを運営するGoogleは、全世界共通のポリシーとして、自殺や自傷行為とともに摂食障害の助長、美化、方法を解説する動画の投稿を禁じている。さらに「異常な食行動の詳細ではなく、障害がもたらす影響に注目すること」や、「摂食障害が一般的に複雑な合併症を引き起こす可能性を視聴者に伝えること」、「摂食障害の予防と対処法に関する情報とリソースを動画自体と動画の説明の両方に含めること」を推奨している。

つまり、韓国で始まった大食いコンテンツに対する規制強化は、日本へと波及する可能性も大いにある。テレビ番組も含め、短絡的に大食いぶりを見せつける企画は再考を余儀なくされそうだ。

文/吉井透 写真/photo-ac.com、ぱくたそ

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