2026年F1第16戦バーレーンGP(マレーシア開催) ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス) メルセデスは今週末のシンガポールGPで、2台のW17に大きく異なる仕様を採用するという異例の措置を取る。ドライバーズ選手権をリードするアンドレア・キミ・アントネッリはセパンで導入したアップデートを引き続き使用する一方、ジョージ・ラッセルはアゼルバイジャンGPまで使用していた仕様に戻す。
■ラッセルがグリッド降格前から2仕様比較テストを提案
この決定は、メルセデスがファクトリーで収集したデータを強く信頼していることを示している。マレーシアで期待どおりの成果を上げられなかったパッケージを、選手権首位のドライバーに引き続き使用させるからだ。
一方、ラッセルはパワーユニット(PU)交換によるペナルティで、いずれにしてもグリッド後方からスタートすることになる。そのため、チームが新しいパッケージの性能をより深く理解するための比較基準として、旧型パッケージを走らせる。
実際、ラッセルは自らこの方向性を提案したと強調した。チームが彼の考えに納得したのは、前戦セパンでリタイアを余儀なくされ、シンガポールでのグリッド降格ペナルティが避けられなくなった後だったという。
「実際には、日曜日のレース前に僕からこの話を持ちかけたんだ」とラッセルは明かした。
「だから、トラブルが起きた時点では、もう迷う必要はほとんどなかった。レース前の段階では意見が半々くらいで、僕自身は戻すことに賛成していた。レース前からだ。今となっては、迷う余地はまったくない」
■ふたりともアップデート版は失敗ではないとの見解
一方、アントネッリは、自分はこの決定にほとんど関与していなかったと認めつつも、その判断を支持した。
「データが示していたのは、セパンで実際に経験したこととは異なる内容だった。ただ、セパンは少し特殊なケースだったと思う。路面がとにかく荒れていて、一部のコーナーでは舗装が剥がれているところさえあった。しかも猛烈に暑く、路面温度は60度を超えていた。今週末は、もっと実態を反映した状態になるはずだ」
「気温が低くなり、路面の状態も大幅に良いから、有意義なテストになると思う。セパンでは低速域でかなり苦戦したが、ここには低速コーナーがたくさんあるからね。どうなるか見てみよう」
今週末、旧仕様で走ることを自ら進んで引き受けたラッセルだが、マレーシアで導入されたアップデートこそ、チームが進むべき方向だという確信も示した。
「僕たちは、マレーシア特有の問題だったという見方にかなり自信を持っている。レッドブルのペースを見ると、彼らは、今シーズンのこれまでの状況や他チームとの比較を考えれば、明らかに予想以上のパフォーマンスを発揮していた」
「実際、僕たちのペースをマクラーレンやフェラーリと比較しても、それほど大きな違いはなかった。極端に悪かったわけではないんだ。今週末のエンジンペナルティによって、仕様を元に戻して比較する絶好の機会が得られた。今回使用するのは、僕がバクーで優勝した時のマシンと同じ仕様だ」
「アップデートが機能していなかったことを示す兆候は何もない。バクーで使用したマシンは、ブダペストやザントフォールトで使用したものと同じだったことも分かっている。バクーではポールポジションを0.8秒差で獲得した一方、ブダペストではトップから0.4秒遅れていた。同じマシンを使い続け、ライバルたちも同じマシンを走らせていたとしても、極端な変動が起こる。状況によっては、1秒もの差がプラスにもマイナスにも生じることがあるんだ」
[オートスポーツweb 2026年10月09日]