2026年F1第17戦シンガポールGP ルイス・ハミルトン(フェラーリ) 2026年F1第17戦シンガポールGPの予選で最速タイムを刻んだのはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)だった。自身のF1キャリア通算50回目のポールポジションであり、シンガポールGPで初めて獲得したポールポジションでもある。同地ではこれまで4回、予選2番手に泣いてきた。それだけに、「ここでのポールは本当にほしかった。すごく嬉しいよ」と、素直に喜びを語っていた。
そして予選2番手にはシャルル・ルクレール、3番手にはルイス・ハミルトンとフェラーリの2台が続いた。フェルスタッペンとのタイム差は、ルクレールが0.054秒。ハミルトンが0.123秒だった。
ルクレールは予選の流れを振り返り、「Q1、Q2は酷かった。ブレーキングでずっと変なことが起きていてね。でもQ3は良かった。だからポールは獲れていたかもしれない。でもマックスが(僕以上に)いい仕事をしたみたいだね」と話していた。
タイム的にもかなりの僅差だっただけに、今季初ポールのチャンスをものにできなかった悔しさは十分に感じられた。だが悔しさという点では、ハミルトンの方がはるかに大きかったのではないか。Q1、Q2を首位で終える絶好調ぶり。Q2ではフェルスタッペンが0.1秒差まで迫っていたが、そのまま逃げ切って、フェラーリ移籍後初ポールポジションを獲るのではないか。そう期待させるほどに、ハミルトンの速さは安定していた。
ところがQ3では最初のアタックからミスが目立ち、フェルスタッペンに暫定ポールを許してしまう。最後のアタックでも自己ベストを更新できず、ルクレールにも逆転された。ハミルトンは、敗因をこう説明している。
「厳しいQ3だった。(最初のアタックで)ターン1、ターン3でスナップが出て、最後のラップもまとめられなかった。すごく微妙なスポットを見つけるのが大変だった。路面コンディションがどんどん変わっていき、そこに対応できなかったんだと思う」
このコメントで注目すべきは、「路面コンディションがどんどん変わっていき、そこに対応できなかったんだと思う」という部分だろう。
シンガポールは市街地コースで、さらにサポートレースもポルシェカップくらいしかないだけに、路面グリップはそれこそ周回ごとに大きく改善されていく。さらに今日の予選は、びしょ濡れだったスプリントで路面上のタイヤラバーがすべて流れ、グリーンな路面状態からスタートした。
そのため、路面グリップの改善度合いは、例年の予選以上に急激だったと思われる。ハミルトンに限らずアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)やランド・ノリス(マクラーレン)、そしてフェルスタッペンまでもが最後のアタックでタイムを更新できなかったのも、その要因が大きかったからか。とはいえルクレールは0.1秒速くなっている。ハミルトンもチームメイトと同じことができていたら。そう考えてしまうのは、ないものねだりでしかないが。
決勝レースに向けて、ハミルトンはこんな展望を語っていた。
「マックスは、速い。でも僕ら2台でマックスにプレッシャーをかけて行きたい」
確かにアイザック・ハジャー(レッドブル)がトラブルに見舞われQ1敗退となり、孤軍奮闘を強いられるフェルスタッペンに対し、2〜3番グリッドを占めるのはフェラーリの強みだろう。しかしチームプレイは、フェラーリが最も苦手とする分野である。そして今季のルクレールとハミルトンは闘志をむき出しにし、かつ制御不能状態のチームメイトバトルを何度も繰り広げてきた。
ひょっとして、ハミルトンのこのコメントは、「明日はしっかり、僕が納得できる指示を出してくれよ」という、フェラーリ首脳陣への牽制だったりするのかもしれない。
(取材・文 柴田久仁夫)
[オートスポーツweb 2026年10月11日]